このところアメリカの議会で次々と選挙を意識した保護主義化の動きが進展している。日本製鉄のUSスチール買収にバイデン大統領が懸念を表明した。日本のメディアはこれに神経を尖らせている。一方若者は「あのTikTok」がアメリカで使えなくなるかもしれないいうニュースにショックを受けているかもしれない。TikTokに関してはトランプ氏が反対しているにもかかわらず議会主導で禁止法案が審議されている。議員たちが選挙を控えて排外主義的な動きを加速させていることがわかる。議員たちは必ずしもトランプ氏を個人的に信奉しているというわけではない。選挙に有利だからトランプ氏を支援しているのだ。
“アメリカ下院でTikTok禁止法案が可決 アメリカの議会で進む保護主義化の動き” の続きを読む精神的に他人から搾取されシステム隷属している人ほど成田悠輔氏を叩きたくなる
成田悠輔氏がSNSのXで叩かれている。人に「なぜ彼が叩かれているのか」と問えば、おそらくは「過去に老人は集団自決すればいい」と言い放ったからだと得意げに説明してくれるだろう。精神的にシステムに隷属する人ほどこの傾向は強いものと考えられる。スマホのみで断片的に情報を取りそれが全てだと誤認してしまうからだ。当時の発言の前後を見ても成田氏の発言を正当化できる要素は見つからない。人々はそこで「私は切り取っているわけではない」と満足してしまう。
“精神的に他人から搾取されシステム隷属している人ほど成田悠輔氏を叩きたくなる” の続きを読むイギリスで富士通のITシステムに高まる批判 きっかけはテレビドラマ
今、イギリスで富士通のシステムに対する批判が高まっている。原因は1999年から2015年まで行われた裁判だ。富士通が作った「ホライズン」と呼ばれるITシステムによって冤罪が作り出された。
郵便局の副局長が700名以上も横領容疑で郵便局から訴えられた。最終的には900名以上が裁判にかけられたという。だが後の調査でこれがシステムのバグによる冤罪だったことがわかっている。素直にバグを認めて修正していれば良かったのだがその後も隠蔽がおこなわれたことで被害が拡大している。
このニュースには日本と共通するある特徴がある。日本の場合は文春砲をきっかけに大騒ぎが起きるが、この件はテレビドラマがきっかけになっている。昔の問題が今になって掘り起こされているのだ。
“イギリスで富士通のITシステムに高まる批判 きっかけはテレビドラマ” の続きを読む全銀ネットの障害に総括「障害が起きないという潜在意識」によって引き起こされた
全銀ネットが2日にわたって停止し他行への振り込みができなくなったのは10月だった。あれから2ヶ月が経ち世間の関心は次第に薄まってきている。全銀協とNTTデータが会見を行い総括している。
当初「メモリ不足」と言われ一時否定されていた結局はメモリ不足だというところに戻ってきた。設計チームはメモリ領域を展開するように求めていたがプログラミングサイドがその指摘を見落とした結果事故が起きたのだそうだ。全銀ネット側は「事故が起きないという潜在意識があり油断があった」としている。
OSに不慣れだったのではないか、AI生成のせいではないかなど様々な説があったが、最終的には「誰かがなんとかしてくれるだろう」という請負ピラミッドではよく見られる典型的な事例だったと言える。
“全銀ネットの障害に総括「障害が起きないという潜在意識」によって引き起こされた” の続きを読むChatGPTのOpenAI社で「意識高い系」の取締役会が敗北 アルトマン氏がCEOに復帰へ
OpenAIでアルトマンCEOと取締役会の内乱が起きた。ロイターの記事をもとに構図を単純化すると、早いうちから一般に技術を解放してストレステストを行うべきだとするアルトマンCEOと功利的利他主義という考え方を持った取締役会の対立だった。
結果的に技術者とマイクロソフトを味方につけたアルトマン氏が勝利し功利的利他主義の取締役たちからなる役員会は刷新されることになる。理想主義の取締役会が現実主義の人たちに置き換わるということだ。Twitterの取締役会とイーロン・マスク氏の抗争の時にも浮き彫りになったように、アメリカの科学技術発展の背景には一種宗教的な文化闘争がある。
この辺りの機微をうまく理解しないことにはアメリカの成長の源泉を理解することはできないのだろう。
全銀ネット障害の原因はAIによる自動化推進だった可能性 生成プログラムの不具合をNTTデータが謝罪
10月の連休明けに障害を起こし2日間銀行間振替が止まった問題に進展があった。NTTデータが謝罪会見を開き「生成プログラムに異常があったようだ」と謝罪した。記事の中には詳しい記述はないがプログラマー不足の解消と省力化を目指したAI化を推進していた中で起きた不具合だった可能性がある。しかし、仮に今回の障害が自動化の弊害であったとしてもそれについてはあまり語られることはないだろう。実際にこれで不安の種が取り除かれたかどうかはわからないが「原因が特定されたことで次の更改は無事に進むだろう」と希望的観測を書くにとどめたい。
“全銀ネット障害の原因はAIによる自動化推進だった可能性 生成プログラムの不具合をNTTデータが謝罪” の続きを読む日本の銀行間振込を2日間混乱させたのは誰か 待たれるNTTデータの釈明と情報公開
全銀ネットが会見を行った。今回は報道ではなく記者会見の様子を見た。2時間50分近くの会見だったがTBSなどいくつかの媒体が配信しYouTubeに記録が残っている。このエントリーでは前回、前々回の記録について情報をアップデートした上で、最後にNTTデータの責任問題について考えたい。
記者たちはあえて「疑惑の追及」のようなことはやっていなかったが、どうもNTTデータが情報開示に後ろ向きのようである。全銀協も独立した第三者委員会の設置は考えていないようなので、本来ならば国がきちんと入って介入する必要がありそうだ。今後「中央銀行の発行するデジタル通貨」などFintechの重要性は増してゆくのだから問題があるならばこの時点で清算しておくべきだ。
“日本の銀行間振込を2日間混乱させたのは誰か 待たれるNTTデータの釈明と情報公開” の続きを読む全銀ネット障害は「OSアップデートでアプリを直したら銀行間振り込みが数日止まりました」だった
全銀ネットについて「COBOLとメインフレームはもう限界だろう」というようなことを書いた。
今回全銀ネットのエラーの内容がわかったのだが実はそんな難しい問題ではなかったようだ。32ビットOSを64ビットOSに移行するにあたってプログラムを書き直したら「容量不足」が起きてプログラムが止まってしまったようだ。要するにWindowsXPで動いていたものをWindows11に変えたらメモリが足りなくてアプリが止まりましたという程度の話だったようだ。実際にはアプリが止まった訳ではなく中の大切なデータがぐちゃぐちゃになったそうだ。
ちなみに作業を手がけているのはNTTデータだった。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」でおそらくたいして注目されるような話でもないと思うのだが、前回の情報には不確かな点も多かったので最新の情報にアップデートしておきたい。
“全銀ネット障害は「OSアップデートでアプリを直したら銀行間振り込みが数日止まりました」だった” の続きを読むマイナンバー健康保険証問題より深刻な医療機関のIT脆弱性問題
マイナンバー健康保険証の懸念点の1つは「医療機関から健診データが漏洩する」というものだった。ただし根拠はかなり脆弱なもので、どちらかといえばあまりITに詳しくないマスコミが騒ぎを大きくしていたような側面がある。
ITメディアニュースに「医療団体、ITベンダーに「サイバー被害の一部を負担するべき」と提言 情報提供不足なら契約になくても責任求める」と言う記事が出ていた。この手のニュースがYahoo!ニュースに出てくることはないのだろうが、Feedlyではよく読まれているようだ。サイバー被害の対策費用を誰が出すかで揉めている。放置すれば情報漏洩やシステムダウンのリスクが高まる。
マイナ健康保険証問題よりもずっと深刻な問題が放置されていると感じた。原因は医療機関とIT業界の意識のズレである。特に医療機関の時代錯誤ぶりは目に余るものがある。ただし医療機関の意識を変えるためには抜本的な政策転換が必要だ。おそらく今の日本にはそれほどの危機感はない。
“マイナンバー健康保険証問題より深刻な医療機関のIT脆弱性問題” の続きを読むChatGPTやBingを使うと国際政治学の難しい記事も簡単に読めるようになる
Twitterに国際政治学の記事が流れてきた。フォーリンポリシーの「One World, Rival Theories」という記事である。国際政治理論の潮流にはどんな流派があるのかということを扱った英文の記事なので「読んでみたいなあ」とは思うのだが英語だしかなり長い。政治学の素養もないし「読むのは面倒だなあ」と思った。
ここでChatGPTでラクをしようという考えが浮かんだ。実際にやってみたところ10秒程度で要約と翻訳が完成した。これで国際政治の記事を読まずにまとめ記事が量産できるか?と期待したのだが、世の中はそんなに甘くない。まとめは間違っていた。
ただChatGPTが全く無能かというとそんなこともないようだ。使い方によっては非常に役に立つ。繰り返しになるが英語と政治学の素養がないにもかかわらず大体の骨子が理解できてしまうのである。ChatGPTとBingのチャットボットを使って記事をまとめてみた。
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