8,600人と考え議論する、変化する国際情勢と日本の行方

やっぱり働いたら負けだった 自民党小野寺五典政調会長が丁寧な説明

Xで投稿をシェア

やっぱり働いたら負けだった。ひろゆきさんの投稿がネットで静かに話題になっている。

ひろゆきさん、「『日本で働いたら負け』は正解でした」 103万円の壁を巡る自民・政調会長の発言に強烈な皮肉

中日新聞は「ひろゆきさんの皮肉」と書いているが果たしてそうなのか。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






日曜日の朝には日曜討論などサラリーマンが多く見るであろう政治番組がある。
その中で小野寺五典政調会長が「国民民主党の言う国民は一部の人達=納税者似すぎず、自民党は全体のことを考えなければならない」と繰り返し強調していた。

これについて「年金生活者が多くこれからの生活者は大変だなあ」などと考えた。この時点では「年金生活者がどれくらいいるのか後で調べよう」などと呑気に考えていた。炎上しても仕方ない発言だがテレビのプレゼンテーションが整って見えるので「ちゃんとした議論」に聞こえてしまうのである。

しばらく経ってからXを見ると「国民の6割は所得税を払っていない」というトレンドワードが出ていた。どうやら小野寺発言が静かに炎上しているようだ。田崎史郎氏といっしょになにかの番組に出演した小野寺五典氏政調会長の発言にキャプションが入っている。ただしそれがなにの番組なのかは触れられておらず、したがって本当にそんなことを言ったのかはわからない。また識者の間でも「6割が所得税を払っていないというのはいくらなんでもいいすぎなのではないか?」という指摘が上がっていた。

ただし文脈としては

  • 国民民主党は納税者を「国民」と言っている
  • 実際の多数派は所得税を支払っていない
  • だから我々自民党は所得税を支払っていない「国民=多数派」を代表して所得税を取り立てて「国民」に分配する

との説明を繰り返している。つまり国民を「納税者・非納税者」に分断したうえで「非納税者を代表する」と宣言してしまっている。小野寺五典政調会長にはどこか頭の回転がスローなところがあり、おそらく自身の情報発信がこのように受け止められているとは自覚していないのではないかと思う。

いずれにせよ玉木雄一郎氏にとっては「してやったり」だろう。

玉木氏はこの数字はあながち間違いではないとの見解を披瀝しつつ(とはいえ統計として実数を掴んでいるわけではない)

令和3年(2021年)の給与所得者4,692万人、申告所得者633万人の合計5,325万人が所得税を納めている人として、令和3年の日本の人口が1億2,551万人。よって、比率を計算すると、所得税を納めている割合は42.4%となります。所得税に関して言うと、納税者4割、非納税者6割というのは、そんなに外れた数字ではないかもしれません。(異論・反論あればお願いします。)

自分たちは「納税者を支援する」と宣言している。

住民税非課税世帯への給付などは、特段の財源の手当てなくさっさと行ってきたのに、控除額を引き上げて納税者の負担を減らそうとすると反対する。こんな政治が続いてきたからこそ、国民民主党は、働いて税金を納めている納税者の立場に立った政策・政治をブレずに進めます。

両者とも「党勢拡大」に一生懸命になるあまり「国民」を2つに分断していることには全く気がついていないようだ。

いずれにせよ結論としては自民党・公明党政権は分配政党なので働いた人たちや企業からは何かを召し取って働いていない人たちに分配するという政党だった。働いた人たちと企業が十分な余力を持っているからこそ成り立つ政党だ。自民党が意図的に国民を困窮化させたまで主張するつもりはないが結果的には国民の困窮化は進んでいる。

企業が業績を上げている状態では働けば働くほど成果が上がり賃金が上昇する。しかし下り坂の斜陽企業では頑張った社員ばかりに仕事が押し付けられ潰されるという構図が生まれる。今の日本は社会全体が斜陽企業化していると考えると「頑張って働いた人ほど損をする構造」ということになるだろう。

ひろゆき氏は単に「構造分析」をしているだけでその価値判断には言及していない。ただこうした社会構造を温存することに対して「社会全体として損をする」ということはわかっているため「バカだなあ」という表現を使う。全体を俯瞰してみればその「バカさ加減」は明白だが議論に参加している人たちは必ずしもそうは思わない。

その意味で「働いた人が負け」というのは単に事実について言及しているだけで必ずしも皮肉ではないのではないかと感じる。実際の投稿内容を見ると単に「多数を代表する現在の制度では4割の労働者は無視される」という構造の話しかしていない。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

Xで投稿をシェア


Comments

“やっぱり働いたら負けだった 自民党小野寺五典政調会長が丁寧な説明” への2件のフィードバック

  1. 小野寺氏が出演していたのは「プライムニュース」です。発言自体は日曜日ではなく、12/20(金)出演のものです。youtubeにアーカイブがありました。国民全体のことを考えているという意図の発言が分断を生んでいるのはなんとも皮肉だなと思いました。

    https://youtu.be/RZ4QD2m8wDw?list=PLknnL7zLH4lLOr6VE1uCs0mvnYEs6ASbW&t=781

    1. Quoraでも今しがた同じご指摘をいただきました。フェイクではなかったんですねえ。ありがとうございました。