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ハリス氏は黒人女性だからアメリカ大統領にはふさわしくない SNSで飛び交う誹謗中傷

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バイデン大統領が大統領選挙から撤退し民主党ではハリス氏が後継にほぼ決まった。民主党は8月7日までに新しい代表を決めて8月19日と20日に開かれる民主党大会に備えることにしている。共和党では早くもハリス氏への攻撃が始まった。支持者の中にはハリス氏が黒人(実際にはジャマイカ系とインド系のハーフ)であるから大統領にふさわしくないとか、笑い方が下品な女だから大統領の風格に欠けるというあからさまな批判も混じっている。「枕営業でトップに登りつめた」という主張も流布しているそうだ。日本でも女性政治家に対する人格攻撃は珍しくないがアメリカにも同じような差別は存在する。

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同じような誹謗中傷は都知事選でも見られ今も続いている。攻撃されているのは「女らしくない蓮舫氏」と「人物を理解せずに切り抜きで飛びついた浅はかな石丸支持者」だ。

特に蓮舫氏に対するマスコミの扱い方は「蓮舫氏が女性である」ことを前提にして男性より少し格下であることをほのめかすものになっており、日本社会に薄っすらと残っている女性蔑視の根深さを伺わせる。男性だけでなく年配の女性(上沼恵美子氏のような)が参加しているのも特徴だ。女の敵は女だ。

ただ、アメリカと日本には大きな違いがある。

日本の差別は「相手を認めない」という受動的な意地悪だ。女性や若者はうっすらとした被差別感情を持っているが、では「具体的にどんな差別に遭遇したのか」と聞いても明確な答えは返ってこないだろう。一方ハリス氏の被差別体験は具体的だ。

まず、両親は公民権運動で知り合っている。ハリス氏は公民権運動が成功したカリフォルニア州の出身であり差別を経験することなく成長することができたが合衆国には今でも黒人であるという理由で警官や保安官補に撃ち殺される人がいる。また南部諸州を中心に人工妊娠中絶の違法化の違法化の動きがある。望まない妊娠をした時点で女性のキャリアは中断されることになるだろう。

今回、バイデン大統領からハリス副大統領に候補が移ったことで諦めかけていた黒人とアジア系が投票に戻ってくるのではないかとAxiosは伝えている。ハリス氏が有色人種の女性であるという理由で被害者感情に囚われると、それに続く多くのアメリカ人が人生の選択を制限されることになる。

こうした切実さもありハリス氏には1日のうちに多額の寄付が集まった。Axiosは大統領選挙の寄付が記録更新したと伝えている。内容分析は今後行われるのだろうが、バイデン大統領への寄付は「トランプ氏を大統領にしてはならない」とする人たちの小口献金が主だった。一方、日本では「どうせ世の中は変わらない」とばかりに都知事選挙が終わって数週間たった今も支援者たちの自己正当化や恨み節が溢れている。都知事選挙の候補者は被害者感情に囚われるだけに終わっており運動は何ら成果を残さなかった。

日本の差別には2つの要因がある。

  • 変化の拒否
  • 社会的序列への異常なこだわり

まず日本の差別には「変わりたくない人たち」の「受動的な」差別という色彩がある。例えば「女性の社会進出は重要」という前提も「でもやっぱり孫の顔は見たいわよねえ」というお姑さんの一言で覆ってしまう。全く悪気がないのが特徴だがお嫁さんの側は「暖簾に腕押し」と感じるだろう。

もう一つ見逃せないのは社会的序列への異常なこだわりだ。とにかく自分のほうが「社会的に上」であることを示したい人たちはSNSで女子供を追い剥ぎしても良い決まりになっている。日本のSNSは社会的序列無法地帯といえる。

嘘だと思うなら政治的論争を仕掛けてくる相手に対して「動揺せずに」「社会的弱者」というレッテルを張り返してやるとといい。SNSのネガティブな政治議論の大方はこれで解決する。「欲しいものが得られない」と感じた追い剥ぎたちは別のターゲットを探すための旅に出かけてしまうのである。

この日本の受動的差別に対抗するために生み出されたのが「論破文化」である。石丸伸二氏の主張はその進化系だった。話し合いを持ちかけられるとその前提を覆して対話全体を無効化してしまう。つまり「お前の言う事など聞かない」という意思表示である。

ただこれもネットによって消費されると「石丸話法」という一発芸扱いになった。石丸氏は人によって態度を変えるので「石丸話法」が聞かれないと「なぜ芸を披露しない」と批判の対象になるそうだ。テレビ芸人が一発芸を披露しないとディレクターに文句を言われそのうち飽きられるのに似ている。

結果的に日本人は対話を拒否し「受動的に社会に参加しない」という選択をする。これが行き着いた結果が少子高齢化である。

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