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脅迫犯は14歳 動機は「誰か助けてくれると思った」

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池袋暴走事故の遺族を脅迫していた容疑で14歳の中学生が書類送検された。警察経由で伝わった動機が「脅迫すれば警察から相談先を教えてもらえると思った」だったことで衝撃が広がっている。

学校で「言語化」教育を行わないことによる弊害が日本で広がっているようだ。我々がネットで情報交換をする際には「合理的に対応できない人達が一定数存在する」ことを織り込んでおく必要がある。誰とでも話し合いができるわけではないということだ。

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池袋暴走事故の遺族に脅迫状が送られた。脅迫される側は開示請求をするまでその人がどんな人なのかわからない。捜査の結果、脅迫状を送りつけてきたのが14歳の女子中学生であるとわかった。

中学生は自宅のパソコンからメールを送っていたということで、動機について、「悩みがあったが、誰にも相談できなかった。脅迫すれば警察から相談先を教えてもらえると思った」などと供述しているということです。

池袋暴走事故の遺族を脅迫の疑い 14歳の中学生を書類送検(NHK)

この供述はよくできているが「整理されすぎている」と思う。

Quoraで政治フォラームをやっていると「取引型」の人に出会うことがある。注意を惹きつけるためにわざと乱暴な文章を送りつけてくる。ここで反応しないでいると今度はおとなしめの文章が送られてくる。つまり関係を取り結ぶために取引を試みるのだ。こうした元少年少女は多数存在するしプロフィールを見て驚くこともある。意外と高い地位に就いている高学歴の人もいる。

普通の人間は生育過程で「愛着」という感情を身に着けてゆくとされている。愛着は共感能と結びついている。笑顔には笑顔が返されるが攻撃すると攻撃が返ってくると徐々に認識するのだ。

ところがこの愛着がうまく育てられないひとがいる。この人は共感能による愛着が学べないためにうまく相手の愛着を引き出すことができない。また安定した人間関係を経験していないため一度関係が取り結ばれたとしても「見捨てられる不安」を感じると相手を攻撃したりする。人は生まれながらに共感する能力を持っているが環境によってはそれをうまく育てることができない。

だが共感による愛着を育てられなかったことは人生の失敗を意味しない。バックアッププランがある。それが合理性だ。

生育過程で愛着と共感が育てられなくても「不具合を言語化」することで自己認識を高め相手に自分の問題をわかってもらうことは可能だ。そもそも完全な人間関係を構築できる人のほうが稀でほとんどの人は「言語化」によって問題を補完しなければならないと考えることもできるだろう。

この少女は自分の混乱した状態を把握できておらずおそらく周りの大人に言われるがままに自己作文してしまったのではないかと思う。

運の悪いことにネット社会には「悪いお手本」がたくさんある。

ヨーロッパが専門の国際政治学者である東野篤子氏がウクライナ問題を巡ってSNSでの誹謗中傷に悩まされていた。彼女は「自身の職業的正義」から相手に反論を試みたことが火に油を注ぐ結果となった。

情報開示請求したところ、茨城県警の生活安全課の課長だった事がわかったと主張している

東野篤子氏の間違いはおそらくネットの向こう側にいる人達が「合理的な人間である」と仮定してしまったことにあると思われる。実際には言語化が苦手で愛着や共感にも問題を抱えている人かもしれないという認識が足りていない。あるいはネットではじめて「そのたぐいの人」と出会ってしまい対処の仕方がわからなかった可能性もある。

茨城県警の対応も問題だった。

彼らはコレれを「組織の恥」と考えたのだろう。東野さんの再三の申し立てにも関わらず身元を明らかにしていない。新聞では45歳の警察官で「警部だった」というところまでしか伝えられていない。

ウクライナとロシアの複雑な問題が単純化されているところからこの元警部はおそらく問題を扱える程度の知識と予備知識を持っていない。だが「生意気な女性とリベラル」は叩いてもいいという「社会常識」は持っている。そして「叩いてもいい」と彼が勝手に認識した人を叩くことによって社会との関わりを実感しようとしている可能性がある。

茨城県警が組織ぐるみで「組織の恥」を隠そうとしているため、この元警部の「真の動機」が見えてこない。あるいは単に仕事のストレスの捌け口として生意気なリベラルの女叩きをしていたのかも知れないし、組織に不満がありその捌け口として権威のある女性教授を叩いていたのかも知れない。

おそらくそもそも「なぜこんなことをしでかしたのか」を言語化する時間が必要だろう。言語化できないのは少年少女だけではない。日本にはそのような元少年少女が多数いる。実名ではそれがわからないが匿名文化のあるネットでじっくり付き合っているうちにそれを痛感させられる。

14歳の少女の問題では「不安を抱えつつそれを言語化できない人が極端な行動に出る」と問題を置いた。ところが実際には警察そのものが自分たちの問題を正しく認識する努力を行っていない。おそらく社会全体に「言語化不全症候群」のようなものがあるはずだ。

このことから我々がネットで攻撃を受けた場合には「ネットには自分たちの不安を言語化して理性的に処理できない人が大勢いる」ということを認知しておくべきだろうと感じる。対処できる場合は対処すればいいと思うが、そうでない場合もあると知っておくべきだろう。

なおこうしたたぐいの人はアメリカ合衆国にも存在する。トランプ次期政権はバイデン大統領のヘリテージを潰すことで庶民の鬱屈した感情の捌け口を作ろうとしている。このためDOGEの削減対象になった人たちがSNSでの苛烈な批判にさらされるのではないかと怯えているそうである。つまり、アメリカの言語化できない人たちは政治によって武器として利用されつつあり日本よりも問題は深刻化している。

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Comments

“脅迫犯は14歳 動機は「誰か助けてくれると思った」” への2件のフィードバック

  1. 匿名を希望のアバター
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    確かに普段はおとなしいのにいくら叩いてもいいと思ってる存在が現れた途端
    息をするレベルで相手を叩き始める人がネット上ではゴロゴロしてますからね。
    正直まともに聞いてたらその人の人格を疑いたくなってきます。
    自己肯定感が満たされてなかったりすでに抱えてる不満や不安のはけ口が欲しくて
    たまらなくなってるとかが多いんだろうなあとは思いますが、それと共に自分の
    理解の範疇を超えてたりありのままの自分を受け入れてくれない(と思い込んでる)
    存在を排除したいという感情も多分にある様な気はします。

    1. SNSに参加している以上私じしんもそうなってしまう(あるいはそう見られる)可能性があるわけですよね。完全には防ぎきれないわけですからと時々客観的に自分の発言をチェックするというゆとりが必要なんでしょうね。コメントありがとうございました。