東京都知事選で石丸伸二氏が躍進したとき「SNS有権者が馬鹿だから騙された」とする声があった。その後も動揺が続いていて、選挙時のポスターやSNSを規制すべきだという声が出ている。
この度ルーマニアで同じようなことが起こり第一位の候補者が排除される方向で議論が進んでいる。
どこの国にも同じような状況があるものだと感じる。
ルーマニアの大統領選挙の第一回投票で極右とされるカリン・ジョルジェスク氏が躍進した。泡沫候補と見られていたため与党はこの結果を受け止めることができず「TikTokがアルゴリズムでジョルジェスク氏を優遇したのではないか」とする声が出ていた。
ルーマニアの最高裁判所はロシアの影響が確認できたとし大統領選挙のプロセス全体を無効化した。選挙はすべてやり直しとなる。またジョルジェスク氏は選挙から排除される可能性が高いという。ただしこの排除が有権者を刺激し別の極右に票が集結するかもしれないとREUTERSは指摘する。
ルーマニア国立バベシュ・ボヨイ大学のセルジウ・ミシコイウ教授(政治学)は「裁判所はジョルジェスク氏の再出馬を認めない可能性が極めて高い」と指摘。「極右候補のうち誰が選挙戦に残るか次第だが、その人物を中心に人々が結集する可能性がある」とし、人々が過激化し、街頭で抗議デモが発生する恐れがあると述べた。
ルーマニア大統領選、憲法裁が無効判断 ロシア寄り候補が首位(REUTERS)
背景にある事情は日本と極めて似通っており石丸伸二現象、玉木雄一郎現象、斎藤元彦・立花孝志現象と共通する要素がある。既存政党はSNSを使った選挙キャンペーンに苦労している。一方でSNSを使ってあっという間に有権者の心を掴んでしまう人がいる。すると既存政党は「あの陣営はなにかインチキをしているに違いない」と考えてしまうのだ。
ルーマニア憲法裁判所は詳細を明らかにしていないそうだが、確かにロシアの介入があった可能性はある。だがその一方で周囲が乾燥していなければ放火が成功しないのも確かである。APはきっかけがなんであったにせよ既存政党とのつながりを感じられなくなった人々の共感を呼んだ可能性が高いという分析を紹介している。
Cristian Andrei, a political consultant based in Bucharest, says that Georgescu’s unexpected poll performance has less to do with his appeal and more due to voters growing tired of an out-of-touch political class.
Who is Calin Georgescu, the far-right populist who won the 1st round of Romania’s presidential race?(AP)
つまりSNSやポスターをいくら規制してもそこに本質的な価値はなく政党が有権者の暮らしと離れつつあることが問題だという指摘になっている。同じ分析が日本にも当てはまるだろう。政治議論の「丁寧な説明」はもはや言葉遊びに堕落しており有権者には全く響かない。そんななかビール(あるいはもっと安いチューハイ)を片手に政治をネタに面白おかしく盛り上がる人たちが増えていると感じる。
政治家は選挙になるまでそれに気づきもせず、選挙の結果を突きつけられても否定に走ってしまうのだ。
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“「ルーマニア版の石丸伸二」が大統領選挙から排除される” への1件のコメント
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