まるで株元から腐食した桜の大樹 岸田総理の「政治とカネの問題」の危うい解決策

  • 立派な桜の木が春の強い風に倒れてしまうことがある
  • 蕾をたくさんつけているが実は幹が腐っていて強風に耐えられないのだ
  • 下村さんの政倫審での対応を見て今の自民党も似たような状態にあると感じた
  • さらに岸田総理の処分案を見てその気持ちがさらに強くなった

自民党の政治とカネの問題に関する対応が決まったようだ。

除名や離党勧告は行わず、党員資格を停止したり公認しないなどの措置になりそうだ。

また処分は予算成立後の4月になるという。岸田総理の政権運営にとっては極めて合理的で違和感はない。だが本当にそれでいいのだろうかと複雑な気持ちになる。

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徳島県が中華製粗悪タブレットの被害に 地方と教育はGIGAスクール構想を扱いかねているようだ

徳島県が中華製の安いタブレットを購入して被害に遭っている。価格につられて購入したそうだが3年で半分以上が壊れてしまった。

メーカーに問い合わせをしようとしたがメーカーと連絡がつかないそうである。Amazonでもメーカーと連絡がつかないのはよくあることだが行政でもこんなことが起きるのだ。

「これだから中華は」とか「徳島県の担当者も甘すぎるよな」と思ってしまうのだが、調べてみると意外と根深い問題を孕んでいる。

教育行政を預かるトップの人たちにやる気が感じられない。例えていうのなら「眠りながら歩いている」印象だ。日本のIT化も前途多難だと感じる。教育格差はますます拡大するだろう。

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ライバル野党不在で緩み切った自民党が反省なき党大会 岸田総理は孤立と苦悩を深める

スマホ用の記事のマーカーに「ざっくり」をつけることにした。「ざっくり」とついていない記事はやや長めになる。


自民党の党大会を前に岸田総理が全国幹事会、青年局、婦人局の会合に出席した。幹事会では岸田総理に対して政治とカネの問題を解決せよとの要求が出された。だが、地方でも政治資金の杜撰な使い方が明らかになっている。つまり地方組織が自らの襟を正さない限り国民の政治不信は払拭できないだろう。強力な野党がなく負担増に諦めムードになる中で自民党に自浄作用は期待できない。

一方で全く別の角度からこの問題を捉える人がいる。政党や派閥が俯瞰する力を失ったことで政策立案ができなくなりつつあるというのだ。政策立案ができないと状況が打開できない。すると人々は政治に対する興味を失ってしまう。悪循環が生まれている。

緩みと焦りが交錯する自民党では岸田総理の孤立が深まっている。任期満了・退陣がほぼ既定路線となりつつあるが、岸田総理は突発的な行動で周囲を慌てさせることがある。公認調整が進まない中、仮に自爆解散が行われれば選挙とその後の国政に大きな混乱も予想される。

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ざっくり 核密約の存在がアメリカの行政文書で正式確認

  • 1960年の安保改正を目前にアメリカ側が日本側に核持ち込みを容認するように求めてきた。
  • 日本側が密約によってアメリカの依頼に応じていたことがアメリカ側の行政文書で分かった。
  • 政府は核密約に対して曖昧な態度を取り続けているが逆に非核三原則解除の議論もなかったことにされている。
  • 周辺国で核兵器の脅威が高まる中、この問題は「部屋の中の象」になってしまっており、我が国の安全保障を語る上で大きな弊害になっている。
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「内政干渉だ」 ラーム・エマニュエル駐日大使のXのアカウントが一時お祭り状態に

ラーム・エマニュエル駐日大使のXのアカウントが一時炎上した。きっかけは札幌と東京でそれぞれ出された同性婚の制限が違憲または違憲状態という判決だった。ラーム・エマニュエル駐日大使の発言そのものは民主党的価値観にそったものであり特に意外な感じはない。

むしろ、日本人が持っている独特の「上下」関係の感覚がわかり興味深い炎上となった。細かな反論が多いことから「多様性敵視警察」のような人たちがいて自警団活動を行なっていることもわかる。

日米同盟をめぐる人々の感情は複雑かつ鬱屈したものとなりつつある。岸田総理が扱いを間違えれば4月の訪米は大惨事となるだろう。

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政倫審と政局の影で着々と進むスタグフレーションの固定化と国民負担増の議論

現在、国内政治は3つのトラックが走っている。政治とカネの問題、岸田総理対茂木幹事長の争いという政局問題、そして国民負担増の議論だ。このうち政治課題として語られることが多いのは政治とカネの問題なのだが、国民生活においてはスタグフレーションと負担増議論の方が重要度が高い。ところがこの全体を支える政権自体が極めて不安定な状態に陥っている。岸田総理が孤立し突発的に何かやりかねない状態になっているのだ。

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マッドマンセオリーによる政党ビジネスの破綻処理が成功 旧N国党(みんなでつくる党)が破産

政党ビジネスという新しい形のスキームが破綻した。旧N国党(現在はみんなでつくる党という名前だったそうだ)の破産が決まった。党首の座を巡って立花孝志氏と大津綾香氏が対立していたというのが表面上の対立点だが、実際には持続可能性のないスキームからの出口戦略だったと考えられる。

心理学的な駆け引きに長けた立花孝志氏側の勝利ということになりそうだが、後には債権者(300人)が取り残されることになった。立花孝志氏はこれら300人の債権者から追いかけられる立場になっても不思議ではなかったがなぜか「彼らの代わりに戦う闘士」ということになってしまっている。ニクソン大統領も信奉していたマッドマンセオリーの成功例といえるのかもしれない。

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玉木雄一郎国民代表のわかりにくい説明はなぜ詐欺に見えてしまうのか?

玉木雄一郎国民党代表(@tamakiyuichiro)が「自分の説明の何がわかりにくいのか説明せよ」とSNSのXで要請している。そこでわかりにくい理由を考えてみた。

原因は課題のズレである。有権者はまずどうすれば負担増を受け入れなくて済むかを考える。理解できなければ離脱するが自分で実行ができなくても離脱してしまう。そしてその後は説明の中身を理解せず「これは詐欺なのだ」と拒絶するようになる。一方で玉木さんは自分達の経済政策を有権者に売り込むことが仕事になっている。やりたいことが最初からズレているのだ。

だがこの投稿の真骨頂はコメント欄だろう。給料が上がらない世界を所与と考えており玉木氏の説明を拒絶するものが多い。長年蓄積した政治不信の正体は実は我が国というシステム関する不信任なのかもしれない。

玉木さんにとっては有権者が今どこにいるのかを知るいい機会になったのではないかと思う。また玉木さん以外の人にとっても有権者の生の声を知る貴重な資料となっている。ぜひ一度コメント欄を否定せずに読んでみることを全ての政治家にお薦めしたい。

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いつのまにか植民地化した日本の国内経済 賃金上昇に大きな格差

日本経済を見ていて「なぜ誰も暴動を起こさないのか」と思うことがある。意外とこの国の統治はうまくいっているのかもしれない。働いても働いても報われないと思っている人が多いはずだが置かれている状況を変えようとまで思う人は多くない。あるいはインドのカースト制度のように「生まれ持ったカルマのせいだ」と運命を受容している人が多いのかもしれない。「自己責任」とは便利な言葉である。

日本はデフレから脱却しインフレ状態に入った。このため低成長時代には目立たなかった国内格差が誰の目にも明らかなものになりつつある。これを誤魔化すのが今の政治に課せられたミッションになっている。政府が説明をすればするほど国民が混乱するのはそのためである。

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岸田総理は詳細を明らかにせず 社会保障費負担の押し付け合いが始まった

日本の社会保障に関する議論が崩壊した。おそらく、今回の総選挙は国民にとってかなり厳しいものになるだろう。本来的にはパイを増やすことによってしか解決できないが与野党共にこの議論を避け続けている。縮小均衡では負担の増加が不可避だ。この負担を誰に押し付けるのかというのが現在の国内政治の議論の実態である。だから支持政党なしが増えるのである。

日本経済は好調な一部経済と不調な二部経済に分化している。だが、これに気が付かついていない人も多いようだ。ある人に「今の日本は植民地のようだ」と書いたところ話がうまく通じなかった。経済に詳しい人でも意外と気がついていないということがわかり興味深かった。

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