資源制約と放漫な金融 アメリカが悪性インフレに陥りつつある理由

  • 日本はスタグフレーションに陥っていると考えられるがアメリカも実は悪性インフレの入り口にいるようだ
  • 資源制約で物価水準が引き上がるとサービス産業がそれに追随するという構造があるという
  • この構造はどこか1970年代に似ている
  • トランプ氏の公約を見る限りこの構造的インフレは定着する
  • この構造を理解できれば、おそらく日本も同じ状況に陥りつつあると気がつくだろう
  • こちらは岸田政権が人工的に作り出している

ロイターが「コラム:米有権者、インフレ鈍化でも物価高巡る不満消えない訳」というコラムを出している。内容は極めて簡単だ。アメリカは悪性のインフレに陥りつつあると指摘している。

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ざっくり 「結局今の日本はスタグフレーションなのか」問題を考える

  • 今はスタグフレーション。
  • 原因は2012年のアベノミクスだが下請けや労働者が犠牲となりインフレが防がれてきたものではないか。
  • アベノミクスが持続不能とる条件が整ったことで、抗い難いインフレが始まりスタグフレーションが顕在化した。
  • 定義上スタグフレーションを防ぐためには金融緩和をやめ生産性を上げるしかない。
  • アメリカは長期に渡り悪性インフレに苦しんだが「ボルカーショック」によって金融正常化が行われた。ただしこの間に2度の景気後退を経験したそうだ。
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下請けを「パートナー」と呼べばいじめは解決? 政府の甘すぎる認識

日経新聞に「「パートナー」ならいじめないか 下請法に名称変更論」という記事が出ている。無料では冒頭部分しか読めないが下請法という言葉そのものがいじめの温床になりかねないので名前を変えればいいのではないかという議論だろう。甘すぎると感じる。

しかし、この問題を深掘りしてゆくと結局は根本解決のためには生産性を向上させる必要があるという結論になってしまう。

日本は経済も政治もそれを実現できていない。これが「部屋の中の大きな像」になっている。誰も解決策を見出せないため見なかったことにしているのだ。

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ざっくり 日銀マイナス金利解除で円高ではなく円安を予想する人たち

  • わかりにくかったブログの分類を「詳細」や「ざっくり」まとめにわけることにした
  • 週明けの19日に日銀がマイナス金利政策を解除すると各社が断定的に報じている
  • マイナス金利が解除されると円高に動く(予想中央値は1ドル=140円・年末)というのが通説だが
  • なぜか円安を予想する人たちがいる
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ロイターがアメリカの株価の調整局面到来に注意喚起 金融関係者はパニックを警戒か

アメリカの株価が近く景気後退局面に入るのではないかという観測をロイター通信が出している。これはバブル崩壊ではなく「単なる調整だ」という説明である。金融市場関係者はアマチュア投資家たちのパニックを恐れているようだ。スマホ一つで預金の移動や株の売買ができてしまうため去年の今頃はデジタルバンクラン(デジタル取り付け騒ぎ)も起きていた。群集心理に巻き込まれれば単なる調整局面ではない極端な動きも予想される。だから事前に呼びかけておこうということなのだろう。

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日経平均1000円下落とストップ安 普段から地道に情報収集してこなかった人たちは大慌て

先日書いたようにアメリカのテック株ブームに翳りが出ておりNVIDIAも利益確定の動きが出ていたことなどから予想された動きだった。結果的に全体の株価は900円下落となりさくらインターネットはストップ安気配となった。実際にストップ安になっている株も出てきている。午後になって下落幅は1000円を超えた。

おそらくまとめサイトなどで「みんなが見ているニュースを見ていれば安心」というランキング依存の人は逃げ遅れているかもしれないが、地道に情報収集していた人たちは「逃げ切れた」と安堵しているのではないか。普段から分厚い情報収集網を持っている人たちの方が助かる確率が高まるのは災害と同じだ。

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ひっそりとアベノミクス終了予告 時事通信が「日銀YCC撤廃」の観測気球 円は一時146円台に

日銀は見切り発車気味にゼロ金利政策を撤廃しようとしている。この下準備としてYCCの撤廃が決まったようだと時事通信が伝えている。土曜日の朝に時事通信へのリークとしてこっそりと発表された「観測気球」で、金融政策決定会合を前に市場の動向を見極める狙いがあるものと思われる。アメリカの情勢変化もあり一時円相場が146円まで高騰したことから「何事か」と慌てた人も多かっただろう。

実際に何かが決まったわけではないが多くの人が大きな変化を予期している。

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日経平均が怒涛の40,000円超 「バスに乗り遅れるな」でSBI証券アプリもつながりにくくなるほどの大盛況

月曜日は朝から景気の良いニュースで溢れた。東京証券取引所が9時に開くとすぐさま40000円を突破した。このニュースを見て「バスに乗り遅れるな」と感じた人がSBI証券のアプリを開こうとして接続障害が起きている。Yahoo!ニュースのコメントを見るとNISAなど株式熱の高まりを受けて過去10ヶ月で200万口座が増えているそうだ。Web側に問題がなかったところからPCではなくスマホで株を買おうとした人が増えていることがわかる。株式投資の裾野は確実に広がっているのである。

ただし依然「これはバブルに過ぎないのではないか」と感じている人もいるようだ。株価上昇のニュースを尻目に「蚊帳の外」という人も多い。一方、アメリカの報道を読むと「バブルだからこそ今乗っておけ」という人もいる。同じ現象でも国によって評価が変わるものだと感じる。

このバブルが崩壊する過程において「わかっている人」と「そうでない人」の淘汰が進むものと思われる。乗り遅れた人、降り遅れた人と「わかっている人」の間で落差が生まれるのである。預貯金さえしておけば誰でも老後の資金が確保できるという時代は終わったと言えそうだが、それが日本人全般にふさわしいものなのかには疑問も残る。

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流れに乗るべきか乗らざるべきかそれが問題だ 株価4万円目前だが「安易な投資は控えるべき」と警告する専門家も

デイリー新潮が「バブルの再来? 株価4万円目前だが専門家が「投資は控えるべき」と語る理由」という記事を出している。株価が絶好調だと聞いているのに「なぜ?」とクリックしてしまいたくなるようなタイトルである。これが週刊誌の狙いなんだろうとは思ったが釣られてみることにした。結果からいうと両論併記した後でNISAの仕組み(損をしても控除が受けられない)について解説し、最後に余裕のない人は投資は控えましょうというだけの内容だ。しかし構成が工夫されており最後まで「どっちなんだろう?」と読ませる構成になっている。

記事を調べる一環としてBloombergの記事も読んだ。こちらはAIがバブルだと考えていた人たちにも「この動きを無視できない」と考えるようになったという内容だった。「知らずの米株、ウォール街の弱気派は出遅れ挽回に躍起」というタイトルである。「所詮バブル」と思っていても無視できない程度の熱狂にはなっていることがわかる。

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「政府がデフレ脱却宣言を検討」との一部報道 岸田総理の支持率向上を狙った動きだが却って国民から反発される恐れも

衆議院の予算審議が終了し2024年度の政府予算の自然成立が確実なものとなった。立憲民主党は政治とカネの問題の対策が不十分だとして週明けの審議を求めていたが不発に終わったようだ。最終日に目立った混乱はなかった。

締めくくり審議で注目を集めた質問があった。今はインフレかデフレかと問われ岸田総理は明確な回答ができなかった。ところが共同通信が意外な記事を出している。実は政府はデフレ脱却宣言を検討していると言うのだ。仮に実現すれば投資家だけでなく国民生活にも影響が出る。と同時に曖昧な首相答弁とは矛盾する点に違和感も感じる。

今回は2つのことを考える。まずは日銀の認識を調べる。政府の経済認識は一貫してあやふやなものなので投資家達は岸田総理の発言にはそれほど注目していない。投資の観点からは日銀総裁の発言だけを追っていれば十分だろう。現在は間違いなくインフレだが日銀の望む状況にはなっていないという認識が示されている。日銀は円安を容認しているようだ。

その上で、政府に何が起きているのかを考察する。岸田総理が支持率を向上させるためにデフレ脱却宣言をやるのではないかという観測は早くから出ていた。と同時にそれは国民から猛反発されるだろうとも予想されていた。実際に今回のYahoo!ニュースのコメントを見ると識者達は当惑するか反発している。

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