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FOMCは0.5ポイント下げで決着 ドル円と株価はは乱高下

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11月の大統領選挙前最後のFOMCだったそうだ。0.25ポイント説と0.5ポイント説があったが結果的には0.5ポイント下げて決着した。利下げを好感し直後のニューヨークの株価は上昇したようだがその後沈静化して下げている。ドル円も円高方向に触れていたが一時間ほどでトレンドが逆転した。

今年のスケジュールは大統領選挙が11月5日投票、FOMCは11月6日・11月7日と12月17日・18日の2回だ。つまり今回が大統領選挙前の最後のFOMCだったということになる。

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まずロイターの記事から事実を確認してゆく。

  • 米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き下げた。
  • 利下げは4年半ぶり。
  • 年内にさらに0.50%ポイントの追加利下げを実施する見通しも示した。

そのうえでパウエル氏の見通しは次の通り。

労働市場の強さは維持できると言っているので「アメリカ経済は景気後退局面に入らない」と主張している。だが市場の一部で囁かれていた「インフレ調整から雇用安定にシフトする」という見方は否定された。つまり以前インフレが再燃する恐れがあるとFRBは考えている。

  • 物価安定最大雇用という二大責務の双方に注意を払いつつ、目標達成を妨げるリスクが生じれば金融政策スタンスを適切に調整する用意がある
  • 今回の決定は、緩やかな成長とインフレの持続的な2%回帰という状況において政策スタンスの適切な調整によって労働市場の強さを維持できるというわれわれの自信の高まりを反映している
  • インフレ圧力が決定的に弱まったとは言えない

背景にある事情は意外と複雑だ。

「サーム・ルール発動」によりアメリカの経済はリセッションに入ったという説が流れ8月初旬に大規模な株価の値崩れがおきた。サーム氏は「リセッション」を否定しつつ「それでもアメリカの雇用は危険な状況にある」と言い続けている。金融市場にパニックを起こさないようにしながら雇用を守る必要もあるということだ。

FRBは0.50%利下げ、雇用懸念で 「サームの法則」の経済学者が予測(REUTERS)

今回の議長声明でパウエル議長は「7月の労働統計を事前に知っていれば利下げは7月にやっていた」と述べている。つまり労働統計の変化は確実にFRBの懸案事項になっている。しかしながら「インフレ圧力が決定的に弱まったとは言えない」とも言っているのだからインフレを抑えつつ雇用も守るという二律背反状態に置かれていることがわかる。

ドル円は決定直後に141円線を割り込んで円高になった。金利差縮小が意識されたのだろう。だがその後1時間程度で円安が進行し始めた。結果的に昨日より若干円安傾向の142円台で推移している。

このところドル円相場は

  1. 日米金融当局の発表で動き(今回は急激な円高)
  2. さらに議長声明など詳しい情報を見て動き(今回は円安)
  3. 冷静になった翌日にさらに動く(まだどうなるかわからない)

という状態になっている。

NYダウも利下げ発表後は一時株高になった。だがパウエル議長発言が出ると「利下げ期待」が縮小し103ポイント下げて終わっている。ヘッドラインに踊らされる市場の一喜一憂ぶりがわかる。

FRBが18日、0・5%の利下げを決めた。景気の下支えにつながるとして、FRBの発表後にダウ平均株価は一時370ドル超値上がりし、4万2000ドル近くまで上昇した。

NYダウ、103ドル安の4万1503ドル…FRB利下げ発表直後は一時370ドル超値上がり(読売新聞)

日本の株価もまたドル円相場に影響を受ける。今回は1と2が1時間程度で起きたことになる。金融当局と統計に踊らされる状態はまだまだ続きそうである。

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