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バイデン大統領のAI規制でマグニフィセント・セブン株が動揺

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日銀が1月23日と24日に政策決定会合を開く。今回利上げに踏み切らなければ1ドル160円台も見えてくると言う論評が出ている。しかしながら2024年中盤に利上げを決めたときには株価が4000円も下がった事がトラウマになっているようだ。

そんななかアメリカの株価に大きな変動があった。トランプ政権下でインフレが高止まりするのではないかという予想があり株価が下がっていた。

S&P500はやや反発しているがハイテク株は引き続き調子を崩している。何があったのだろうか?と思っていたのだがバイデン政権が新しいAI規制を導入したことでエヌビディア株などが下がったのだという。日本株もそれにつられて下がっているということのようだ。

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日銀が1月23日と24日に政策決定会合を開く。今回利上げに踏み切らなければ円安が進行するだろうとされている。

現在は「円安か金利上昇か」という二択になっているようだが、そのうち「円安と金利上昇の2つのリスクが日本を襲うことになるのでは?」と指摘する人もいる。

また、筆者は現在の日本について「金利上昇か円安か、いずれかを受容しなければならない」とも繰り返し論じてきた。その上で「どちらも忌避すれば、いずれどちらも引き受けさせられることになる(厳密には円売りに追い立てられるように利上げを強いられる)」といった警鐘も鳴らしてきた。この点で年初から日本で起きている円や円金利の動向は不安を覚えているところである。

コラム:訂正:通貨防衛戦の様相を呈する円相場、1月会合で円安を食い止められるか=唐鎌大輔氏(REUTERS)

日銀幹部は金融市場が幹部の講演内容で上下することを恐れているようでメッセージングに慎重になっているようだ。

日本政府(石破政権)は明確な姿勢を打ち出さないため日銀が対応を丸投げされた状態になっている。責任回避姿勢が目立ち積極的なリーダーシップは見られない。

そんななかで日本のハイテク・半導体株が下がった。日本の株価は金利差と半導体株が牽引する状態になっているのだがこの内の半導体株の価値が毀損されアドバンテストの株価が下がった。直接の原因はエヌビディア株の下落とされている。

これについてTBSはバイデン政権の新しいAI規制が……と報道していた。何があったのだろうかと調べてみたところ、Xで何度か見つけた「地図」が目に入った。「ああこのことだったのか」と思った。

バイデン政権は世界の国を「お友達」「そうでもない地域」「敵」に分類し「中国を含む敵対国」へのAIチップの輸出を規制する方針を固めた。しかしながらその実施はトランプ政権に委ねられる。

このバイデン大統領の意思決定の背景にはトランプ政権に負のヘリテージを押し付けたいという意地悪な狙いがあるのだろう。日本製鉄の買収を退任直前にブロックしたのと同じ思惑が感じられる。様々なトラブル(訴訟など)が予想されるがその頃にはバイデン氏は大統領ではなくなっている。

Xで見かけた地図の出典はBloombergのようだが一般公開版には情報が出ていなかった。ASCIIがBloomberg出典として紹介した地図がそのままコピペされてXで出回っているようだ。

現在Apple社は多様性プログラムの維持を株主に訴えかけている。しかしながら「SIRI盗聴問題」を抱えている上に(トランプ次期大統領の対応次第だが)厳しいAI規制の結果としてAIチップの入ったiPhoneを中国に出荷できなくなるかもしれない。

Apple社はとても「多様性がどうの」と言っていられる状態ではなくなってしまうのかもしれない。

これまでApple社を始めとしたマグニフィセント・セブンは「投資の安全な逃避先」とみなされていた。ところがトランプ政権下ではおそらく政治の思惑によってその安定が突如として破壊されていしまうかもしれない。とはいえアメリカ金融市場以上に安全な投資先もなかなか見つからないのが実情である。

大金持ちは金利が「タダ同然」の日本でお金を借りて主要国の不動産を買い占めるような資産運用ができるそうだ。スペインはこうした投機目的の不動産売買に税金をかけられないか検討しているようだ。東京のマンションも高騰しているのだから同じようなことをすればいいのにと感じるが、規制当局は「土地の需要が突然減ると地下が崩壊しかねない」という恐れを持っていると指摘する専門家もいる。確かに少子化と貧困化が進む日本の場合は海外からの投資家需要が減るとおそらく地価は大きな影響を受けるだろう。

日本のNISAブームでは特定の金融商品に人気が集中している。自分で情報を確かめる人は少なく「みんながやっているから」「ランキングで人気だから」という理由で飛びつくのだろう。突然の金融変化に慌てて「こんなはずではなかった」と手放してしまう人も出てくるかもしれない。

資産を単に貯金し続ける(つまり何もしない)のは危険だが、みんながやっているからという理由で背景にある理屈を理解しないのも危険と言えるだろう。日本の一般庶民が資産を守るにはなかなか厳しい環境になっている。

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