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大統領就任前から議会が混乱 イーロン・マスク氏が横槍

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FOMC後のアメリカ株価は大幅下落となった。10日間株価が下落したのは1974年のフォード政権以来。またインフレ抑制が思うように進んでおらず金利が高止まりする予想がでている。一部には「利上げ」が排除できないとする見方さえ出てきた。さらにアメリカの株はヨーロッパの株に比べ不当に割高な状態が続いていて「そろそろ赤信号だ」と指摘する人もいる。

ここにもう一つ不安定要素が加わった。それがトランプ政権である。超党派の予算合意が覆され数日以内に合意がなければ政府閉鎖もやむなしと言う状態に追い込まれている。連邦職員はクリスマスに給料が受け取れないかもしれない。混乱のきっかけになったのは例のあの人である。

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FOMC後の株価は大幅に下落した。ダウの下落幅は1100ドル超だったそうだ。金利引下げは行われたものの来年の金利引下げが2回に留まるかもしれないためだ。すでにヨーロッパ株に比べて不当に株価が高い状態が続いていることや一部では「利上げ」が囁かれていることもあり、弱気派はそろそろ値崩れするのではないかと見ている。現在のニューヨーク株はやや戻しているが取引開始後に買い戻しの動きがあったあとは若干下落傾向といったところ。

ただし経済の状況は極めて好調。第三四半期の確定値は市場予測を上回った。失業保険の申請も減っている。また中古の住宅市場も好調だ。依然旺盛な購入意欲を持った人々に支えられているそうである。つまり経済の過熱傾向が見られることになりFRBの抑制的な利下げ(もしくは利上げ)を支持する内容となっている。

そんな中政治で波乱があった。アメリカの会計年度は10月から始まるのだが当時は大統領選挙を控えており暫定予算しか議会を通過していない状態になっている。12月になれば共和党有利に交渉が進められるだろうという予測があったためとみられる。

議会共和党の期待通り来年は大統領・上院・下院ともに共和党主導状態になる。ジョンソン下院議長は満を持して超党派のつなぎ予算案をまとめた。3月14日まで政府を維持できる内容だった。

ところがこの予算案にイーロン・マスク氏が噛みついた。つなぎ予算を犯罪と罵り賛成した議員たちは2年後落選させるべきだと恫喝している。つなぎ予算に入っている補助金に嫌悪感を示す内容だった。

またJDヴァンス次期副大統領も債務上限の引き上げはバイデン政権で行うべきと表明した。真意は定かではないが問題が起きても「民主党政権でやったことだ」と責任回避ができる。

トランプ大統領は政治にはあまり興味がなく自身のブランド価値を上げることにのみ熱心だ。このため複雑な「政治問題」に関しては最側近の意見を鵜呑みにしてしまうことが多いと言われてきた。案の定、具体案を示さずに両氏の意見を受け入れて「予算案には反対する」と表明。結果的につなぎ予算合意が白紙撤回された。今後下院共和党はトランプ政権(正確にはイーロン・マスク氏ら)の顔色を伺いつつ新しい予算の策定を目指すが、民主党には協力しない理由ができた。

この「白紙化」はつい先程決まったため期限内に合意がまとまるかがよくわからない情勢になっている。仮に合意が切れてしまうと連邦職員がペイチェック(給料小切手)を受けられない可能性が出ている。アメリカのクリスマスは日本で言う正月に当たる重要なシーズンだ。つまり日本で言えば官僚が年越しできないというのに似た状況になっている。

ただ有権者の中には根強い政治への不信感があり連邦政府閉鎖くらいの「ガツンとした」動きがなければ政治家は目覚めないだろうと考える人たちも少なくない。

おそらくこうした横槍は有権者の政治不信を背景にトランプ政権の4年間常態化すると見られる。そもそもアメリカの経済は加熱しているのではないか、株価もバブルなのではないかという懸念がある中で不安定な4年間の幕開けを予想させる出来事になった。

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