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「ひとまず危機は去った」 CPIの発表後アメリカの株価が回復

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アメリカで消費者物価指数が発表された。内容は市場の予測どおりだったが「リセッション懸念は去った」という評価となりアメリカの株価は大幅続伸している。バイデン大統領は自信の経済政策は正しかったと誇らしげだ。トランプ氏は自身の経済政策を発表しバイデン政権はインフレでアメリカの家庭を破壊したと語った。ハリス氏も今週に経済政策を発表する予定になっている。

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アメリカのCPIが発表となり3年半ぶりにインフレが3%以内に収まった。だが依然FRBが目標とする2%を上回っているために利下げはあるだろうが大幅利下げにはならないと考えられている。

小売の売上も良かったことから雇用統計を元にしたリセッション不安は払拭されアメリカの株価は大幅続伸した。

興味深いことにドル円も149円台で取引されている。CPIの発表後他の通貨に対してはドル高進行となっていたが円はリスク回避傾向が払拭されて価格が下がった。

ウォール街「恐怖指数」急低下、先週の急上昇はテクニカル要因か(REUTERS)

このことから日本が依然投機マネーの調達先とみなされていることがわかる。株価ショックに起因する政治的圧力から日銀の今年度内の利上げは難しくなったものと見られている。

また、今回の一連の流れから日本の株価と為替はアメリカ経済の従属変数化していることがわかる。正確にはリスク回避傾向が高まると投機資金の調達先になっている。海外投資家は円を手に入れるがその円は日本国内で使われることはない。そのまま売られて他国通貨と交換されてしまうのだ。アベノミクスを放置した結果とは言え恐ろしい事態である。

そんな中、トランプ氏が経済政策を発表した。バイデン政権はインフレでアメリカの家庭を破壊したと批判している。ではトランプ政権のインフレ政策とはなにか。それは化石燃料の採掘である。アメリカ産の化石燃料が出回ればエネルギー価格が低下し「すべてが丸く収まる」と言っている。

トランプ氏の経済政策は、関税強化・移民制限(労働力不足)・法人税減税などインフレ要因になる政策が多い。だがトランプ氏はこれらを経済政策とは考えていないようである。おそらくトランプ政権では高いインフレが起きるだろう。しかしトランプ氏は単に「FRBがきちんと仕事をしないからインフレになっていればいい」と主張すれば良い。とにかく自分だけが正しくあとの人たちが間違っているというトランプ主義を信奉する支持者は多い。

とはいえ「バイデン政権が環境に配慮しすぎたためにエネルギー価格が上昇した」という考え方はアメリカでは広く浸透しているようだ。ハリス氏はエネルギー政策についてはあまり詳しく言及せず「曖昧な」表現にとどまるのではないかと言われている。経済政策では中間層にアピールし環境保護については別枠で取り扱いたいということなのだろう。富裕層と中間層以下が完全に分離したアメリカではこのようなやり方でなければ経済政策は発表できない。

いずれにせよ、当初の予測通りアメリカの雇用統計に対する反応は過敏だったということがわかりつつある。日本のテレビの情報に踊らされて株を売ってしまった人たちは大いに教訓とすべきだろう。テレビ報道はこと経済に関する限り全く情報を伝えていないのである。

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