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9月の利下げは小規模なものに アメリカでCPIが発表

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アメリカで消費者物価指数が発表されたがその後の株価の動きが実に不思議だった。アメリカ経済は依然インフレ基調だがその勢いは鈍化している。「9月の大規模利下げ」の予測は完全消滅した。

株価はCPIの発表の後に一時的に下がった。その振れ幅はダウのほうが大きかった。サービス価格は低下しなかったがモノの価格は下がっており実体経済への懸念のほうが大きかったものと想像できる。だが結果的にどちらも株価は上昇している。市場も動向を掴みかねているようだ。

また140円台の円高に触れていた為替も142円台に戻している。

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REUTERSの「米CPI、8月は2.5%に鈍化 基調インフレに依然粘着性」から引用する。

  • 前年比2.5%上昇した。前月の2.9%から鈍化。前月比では0.2%上昇。昇幅は前月と変わらなかった。
  • サービス価格上昇、モノの価格は下落。
  • 0.5%ポイント利下げは正当化されない可能性。

問題なのはアメリカ経済がリセッションに入るのか入らないかだ。急速に経済が冷え込んでいるならば急いで利下げをしなければならないが、依然インフレそのものは収まっていない。また、サービスとモノの価格の動きが異なっており複雑な内容になっている。

このため株価の動きが複雑だった。ダウは一時40000ドル台を割ったと記事は伝える。ではナスダックはどうだったのか。

一体どちらなんだろうか?と思った。

ナスダックはいったん下げた後に上がっており16時にクローズした時点では369.65ポイント上昇だった。

ということはダウが下がりナスダックが上がったということなのかと思ったのだが、実はダウも終値では124.75ポイント上昇している。

つまりCPIが発表された直後は感覚的に「リセッション」が想起され(特に)ダウが一時大幅に下がったがその後で株価が回復したということだ。結局どちらも株価は下がらなかったのだ。

この機会に資産を整理しようという動きと割安になった株を買おうとしている人たちがいるということになり非常に複雑な情勢だ。

アメリカ経済の動向は非常に読みにくい展開になっているが、これが日本の為替と株価に大きな影響を与えている。

前日はドル円が一時140円台の円高に触れる場面があった。このときには「中川審議委員の発言が利上げを想起させる」などと説明されていた。ただREUTERSで実際の発言内容を聞くと「どうとでも取れそうな内容」でしかない。自民党総裁選が行なわれている時期に日銀関係者が明確な意思を示すことはありえないだろう。

11日の東京外国為替市場の円相場は対ドルで1%上昇し、一時約8カ月ぶりとなる140円台を付けた。日本銀行の中川順子審議委員の発言や日本株の下落を受けて、円買いが加速している。

円が対ドルで1%上昇、日銀審議委員発言や株安で1月以来の140円台(Bloomberg)

このように海外投資家の不安定な心理状態がアメリカの株価を大きく動かし、その余波が日本に大きな津波を引き起こしていることがわかる。なおハリス・トランプの討論会はこと経済という面で見れば内容に乏しく金融市場には全く影響を与えなかった。

自民党総裁選では「日本を再び世界のてっぺんに」などと威勢のいい言葉が飛び交っている。だがこの威勢の良さはあくまでも政治ムラの中の話であって金融市場に与える影響は限定的だ。

日本は経常黒字の状態が続いているが海外で稼いで海外の投資すると言う状況が続いている。つまり日本はスルーされている。日本企業も海外投資家も日本の政治と市場にほとんど期待していないことがわかる。

よく指摘されているように、この第一次所得収支の黒字の相当な部分は日本に戻って来ずに海外で再投資されていると考えられ、黒字でも円高要因となっていない可能性がある。

コラム:止まらぬ資金流出、対外投資超過は過去最高ペースに=佐々木融氏(REUTERS)

また過去の自民党政権の無策ぶりによって成長産業は作られず、デジタル赤字が固定している。

一方、いわゆるデジタル赤字の一部となる「通信・コンピューター・情報サービス」の赤字額は2246億円と、過去最大を記録した今年5月に次ぐ額となった。また、「保険・年金サービス」は2723億円の赤字と1カ月の赤字額としては過去最高となった。

コラム:止まらぬ資金流出、対外投資超過は過去最高ペースに=佐々木融氏(REUTERS)

日本政治と国民生活の乖離は部分最適化を生み日本を縮小に向かわせている可能性がある。確かなエビデンスはないが「コメの価格を巡る状況」などを見ると政治の無策を織り込んだ国民は節約志向を強め結果的にコメの市場が縮小している可能性がある。政治に期待が向かわない限り日本国民が経済成長を目指そうという気にはならない。このため節約志向がすっかり我々の暮らしに張り付いている。

同じようなことが投資の世界でも起きているのかもしれない。

日本には政府など全く必要ないなどと主張しようとは思わないが、こんな状態が続くなら議員の数は最低限に減らし政府の規模も極端に削減して構わないのではないかと言う気持ちになる。国民経済の向上につながらない政府など単なるお荷物でしかないからだ。

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