日米の経済についての概況をお知らせする。大統領選挙がビッグイベントだが次のFOMCでは0.25%の利下げの公算が99%となった。日本にとっては若干の円高要因となる。
問題はこの経済統計が経済の悪化を示しているのかソフトランディングに向けた良い兆しなのかが見えないという点にある。
日銀の植田総裁は金利据え置きを決めたがその後の総裁会見の内容はややタカ派的と受け止められた。このため「【日本市況】日経平均1000円安、日銀の早期利上げ警戒再燃-債券下落」という忙しい展開だった。株式市場はそれほど敏感に反応しないだろうと(個人的には)思っていたので意外な反応だった。
続いてアメリカの10月の雇用統計が出た。ハリケーンが連続して襲ったこともあり雇用の内容が良くなかった。ただハリケーンは既知の悪材料だったため受け止めはやや冷静で「0.25%の利下げが確実になった」と報道されるのみだ。アメリカの経済は比較的順調と受け止められており金利さえ下がればなんとかなると考えている人が多いのだろう。
大統領選挙前にイランがイスラエルを攻撃するのではないかという憶測が出ている。例によってAxios経由のイスラエル側からの情報で「イランが全面に出るのではなくイラクからの攻撃を偽装するのではないか」という内容。このため原油先物が続伸しているという。
ただしイスラエル発の情報なので政治的意図が含まれていると見られる。真偽は不明だ。
イスラエル軍幹部が戦争の集結を望んでいるという発言もでている。イスラエルはイスラエルにフリーハンドを与えてくれるトランプ氏が大統領になるのを待っている可能性があるがCNNの報道の真意も不明。イスラエルの政治状況は微妙なバランスの上に成り立っているためどちらかの陣営が自分たちに都合の良い状況を作り出そうとアメリカ世論に訴えかけている可能性が高い。文脈依存度が高く戦争の行方を読み解くのは容易ではない。つまり引き続き不透明度の高い状態だ。
日本政治のステークスを握るとされる玉木雄一郎氏が「日銀の利上げは当面(向こう半年)行わないほうが良いのではないか」と発言しており、日銀が独立性を発揮できるかは不透明。玉木氏の言う向こう半年とは「参議院選挙前までは」ということなのだろう。
玉木氏は防衛増税についても先送りを示唆している。民意が離反し議席を減らした自民党の石破総理がこれを押し返すのは難しそうだ。だが、参議院選挙が終わると与野党とも選挙を気にしなくて済む。このあとになって与野党の本音が出てくるのかも知れない。
さらに見出しで取引をする傾向がある海外の投資家が日本の政治の文脈を理解するかどうかは未知数である。アメリカが0.25%の利下げをすれば当然日米金利差は縮小し円高傾向になる。円高を嫌い株価が下がるという局面も想定される。
このエントリーはアメリカ大統領選挙で起こるかもしれない混乱については扱わなかった。今起きている動きと可能性は分けて考える必要がある。
コメントを残す