資源制約と放漫な金融 アメリカが悪性インフレに陥りつつある理由

  • 日本はスタグフレーションに陥っていると考えられるがアメリカも実は悪性インフレの入り口にいるようだ
  • 資源制約で物価水準が引き上がるとサービス産業がそれに追随するという構造があるという
  • この構造はどこか1970年代に似ている
  • トランプ氏の公約を見る限りこの構造的インフレは定着する
  • この構造を理解できれば、おそらく日本も同じ状況に陥りつつあると気がつくだろう
  • こちらは岸田政権が人工的に作り出している

ロイターが「コラム:米有権者、インフレ鈍化でも物価高巡る不満消えない訳」というコラムを出している。内容は極めて簡単だ。アメリカは悪性のインフレに陥りつつあると指摘している。

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ロイターがアメリカの株価の調整局面到来に注意喚起 金融関係者はパニックを警戒か

アメリカの株価が近く景気後退局面に入るのではないかという観測をロイター通信が出している。これはバブル崩壊ではなく「単なる調整だ」という説明である。金融市場関係者はアマチュア投資家たちのパニックを恐れているようだ。スマホ一つで預金の移動や株の売買ができてしまうため去年の今頃はデジタルバンクラン(デジタル取り付け騒ぎ)も起きていた。群集心理に巻き込まれれば単なる調整局面ではない極端な動きも予想される。だから事前に呼びかけておこうということなのだろう。

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結局、今の日米の株価はバブルなのか? アメリカの金利高止まりと株価上昇の現在地とこれから

日経平均の最高値更新を背景にした記事を何回か書いた。主に訴えたかったのは「経済がデフレ期からインフレ期に移行したにもかかわらず岸田政権の見通しが変わっていないのは危ない」という点だ。だがSNSのXを見る限り人々の関心は「結局、この流れに乗るべきなのか?」という点にあるようだ。こんなに儲けましたというニュースも流れる。だが一方で「下手に手を出して損をしたくない」という気持ちも強い。

自分で情報にあたって判断すればいいのでは?と思うのだが、どうも事情はそれほど簡単ではないようだ。人々が迷っている理由は二つあるようだ。第一にこれまでの経済が成長を前提にしていなかったために成長のある世界がどんなものなのか想像がつかない。次に情報が多すぎる。さまざまな情報が飛び交っておりどう整理していいかわからないという人が多いようだ。現在さまざまな媒体が「現在の株式市場」について有料の記事を書いており、株式市況解説はレッドオーシャン化しつつあると言ってもよい。迷っても当然だ。

ここに新しい記事を「投げる」と返って混乱しそうだ。そこで、これまでの流れをおさらいすることにした。つまり今回のエントリーは「わかっている人には当たり前」のことしか書いていない。むしろそんなに単純化していいのか?と不満を感じる人さえいるかもしれないと言った程度の単純なことしか書いていない。つまり、この記事を読んでも市況がわかるようにはならない。だが自分なりにどう情報を整理していいかの助けくらいにはなるかもしれない。重要なのは自分なりに流れを掴み「わかっていることとわかっていないこと」を仕分けすることだ。

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イエレン財務長官が勝利宣言か ソフトランディングをめぐり思惑が交錯

イエレン財務長官が「ソフトランディング達成」を宣言したと読める記事がBloombergに出ている。だが、どうもこの記事のタイトルがおかしい。ロイターの表現は控めに「米経済「ソフトランディング」に向け進行中=財務長官」となっておりソフトランディングが成功したとは書いていない。現在完了形か進行形なのかで意味合いが大きく異なる。

ヘッドラインがずれる背景はなんだろうか。まず投資家は楽観的な予測を好む。さらに大統領選挙が近づいたことで政府も問題よりも成果を強調するようになっている。この2つが合わさり過度に楽観的な報道が生まれるのだ。当然「穴」も大きくなる。

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賃金上昇を伴った景気の好循環は実現するのか 日銀と岸田総理の見解に相違

日本銀行とFRBの政策決定イベントを滞りなく通過した。日銀は1%に迫った金利状況を容認するものの思い切った金融政策の変更は行わなかった。FOMCは事前の折り込み通り金利を据え置いた。

急速な円安の進行を受けて日本のメディアは神田財務官に「いつ為替介入をするのか」を質問し為替介入と円安抑制に関して日銀・財務省が積極的な動きを期待している。

一方で、岸田総理の国会との説明と日銀のレポートの間に乖離が見られる。岸田総理は所得減税によって賃上げを伴った景気の好循環が作られると説明している。では日銀はどう考えているのか。また消費者・経営者はどのような判断をしているのか。関連記事を調べた。

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バイデン大統領が執務室から異例の呼びかけ ウクライナとイスラエル支援のために国民の団結を訴える

バイデン大統領が執務室から演説を行った。ウクライナとイスラエルを支援することはアメリカの価値観を守るために極めて重要かつ有益な投資であると主張し、そのために国民が団結するべきだと訴えた。しかしながら中東ではイスラエルとアメリカを非難する声が広がり続けている。一方で下院では3回目の投票が行われたが離反者はさらに増え続けた。バイデン大統領の声がワシントンに届いたのかは不明である。アメリカの政治の混乱は次第にアメリカ経済に影を落とすようになり日本の経済にも直接的間接的な影響が出始めている。

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長期金利上昇、円安、12月のFRB利上げ観測の高まり 好調な9月のアメリカの雇用統計を受けて

もはやあまり目先の統計に一喜一憂していても仕方ない状況だが一応流れだけを補足しておきたい。それぞれのニュースを読めばわかる単なる「まとめ」であり特に分析や評論はない。ニューヨークの株価はこのところの悲観からやや反発して終わったようだ。連休明けの日本の株式市場にポジティブな影響があることを望みたい。

アメリカで雇用統計が発表された。失業率が低いまま雇用者数が増えアメリカの経済が順調に成長していることがわかった。これにより12月のFRB利上げ観測が高まっている。

これにより長期金利が上昇(債権価格が下落)する。金利差が開くので円安の流れがやや加速し再び149円水準に戻ってきた。好調な雇用統計は好景気の証なので株価が上がってもおかしくないのだが金利上昇の圧力を受けてニューヨークの株価は一時下がったそうだ。しかしやがて回復して今週の取引を終えている。アメリカの投資家の複雑な心理が伺える。

アメリカの経済は加熱しておりこのまま破綻に向けて突き進むのでは?と一部のエコノミストは心配を始めているようだがアメリカのCMでお馴染みの「エナジャイザー・バニー」のように着実な前進を続けている。エナジャイザー・バニーは電池で動いており電池が切れるまでとにかく前に進み続ける。

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「アメリカドルに手を出すのは、今はちょっとやめておけ」と言う話

連日、日本円で運用しても利子はつかないので「ドルで運用した方がオトク」と言う話を書いている。だが「今、ドルを買うべきだ」と言う話は一切していない。単に研究しろと言っているだけだ。

なんかずるいーなあと思うかもしれないのだが理由がある。来月の動向がどうなるかがよくわからないのだ。さらに、150円は既に「オーバーシュート」の領域に入っていると言われている。

年末にかけて155円程度まで円安が亢進する可能性もある。情報を順序立てて組み立てればそれなりの方針が立てられるが既に情報酔いしている人は手を出さない方がいいかもしれないと思う。ギャンブル好きの人には活躍のチャンスだが、単に「あ、値上がりしている」で買ってしまうと後で損をする可能性も高い。

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来月はアメリカ経済統計の発表停止に注意 政府閉鎖の影響で

ロイターで大きく報道されているので知っている人は既に知っていると思う。アメリカの政府が閉鎖されると経済統計の発表が止まる。アメリカの株や債権に投資をしている人や為替動向に興味・関心のある人は、アメリカの議会動向を注意しておいたほうがいいかもしれない。

米政府当局者は25日、米議会が期限までにつなぎ予算案を可決できず政府機関が一部閉鎖されれば、雇用統計や消費者物価指数(CPI)など、主要経済指標の公表が無期限で停止されることになると発表した。

米政府閉鎖なら雇用統計など主要指標の発表が停止=当局者(Reuters)

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ぶっ壊れたまま突き進むアメリカ経済と出口を模索する日本経済の行く末についてあれこれと考える

このところ経済専門メディアの報道を見てもよくわからないと感じることが多くなった。これまでの経済の常識が通じなくなっていると感じる。Reutersなどの記事を読んでゆくと。アメリカの経済が一種の狂乱状態に入っているようだ。つまり経済としては「ぶっ壊れている」ことになる。ただ、このぶっ壊れた状態はしばらく続きそうだ。つまり誰もが「狂乱」だとわかっているのにそのまま踊り続けているということになる。「その先」を考えた投資をしている人もいるが、大半は明日の利益を求めて奔走することになる。

このエントリーに結論はない。単に「この先どうなるのだろうか」ということを考えているだけだ。

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