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日銀が利上げを見送った結果円安が進行 現在157円台

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日銀が政策決定会合を開き利上げを見送った。結果的に円安が進行し現在157円台で取引されている。背景にあるのは過去の株価下落のトラウマだった。

中立金利は1%に届かないのではないかという予想もでておりこのまま円安が定着する可能性がある。日銀はアベノミクスの振り返りレポートを発表しアベノミクスの副作用について総括している。金利のない世界に慣れてしまった人々の意識転換は極めて難しい。

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この数日、比較的若い有権者の国民民主党や維新に対する期待についてQuoraなどで意見聴取を進めてきた。

まず、ブログの統計を見ると若手を中心に情報収集に熱心な人たちがいる。いわゆるデジタルネイティブの人たちは情報収集に熟達しており効率的に幅広く情報を集めるのも苦にならないようだ。

しかし意見表明については極めて消極的な人が多い。原因の一つに思い込みを押し付けてくる中高年世代があるのではないかと思う。デジタルノンネイティブで情報リテラシーが低い割に「若手に説教をして自分の意見を押し付けても構わない」という権利意識を持っている。

様々な情報を読み取って「メリット・デメリット」を考えたうえで国民民主党や維新を応援しているという人がいる一方で「なんとなく漠然とした印象」から特定政党を支援している人もいる。一度印象がついてしまうとそこから抜けられなくなるという人も多い。

コメントを暮れた人の中に「自民党は守旧派政党で立憲民主党と維新はその劣化版だ」と書いてきた人がいた。おそらく最初にそのような印象がついてしまうとその印象がそのまま変わらずに残るのだろう。安倍総理の時代に政治を見始めた人の中には「安倍自民党こそが保守を代表する改革政党だ」と考えるだろうが、安倍後に政治に関心を持ち始めた人たちは「岸田・石破自民党は守旧派」で国民民主党や維新こそが「改革政党だ」と考える人もいるだろう。

この世代の特徴はそもそも成長経済を知らないという点にある。このため「自分たちの手取りを増やすためには誰かへの分配を縮小する必要がある」と感じている。

では社会情勢の方はどうだろうか。

焦点:日銀、中立金利「1%に届かない」との見方も 経済・物価の加速弱く」と言うコラムを見つけた。日本には経済成長の「芽」のようなものがいくつもあるそうだが、社会全体としてはそれを活かしきれていない。このため中立金利(つまり経済成長)が1%に届かないのではないかとする内容になっている。

そもそも利上げ=成長経済がどのようなものなのかを人々が忘れてしまっており、なかなか経済の転換ができない。また政党政治も低成長に慣れてしまっており選択肢が「現状維持」と「誰かから奪って分配する」の二択になっている。つまり情報リテラシが高かったとしてもその視野は低成長を前提としたものとなり「誰かから奪ってくるしかない」という結論に至るということだ。このうち現状維持政党が守旧派と見られ、誰かから奪ってくる政党が改革派とみなされる。

例えば立憲民主党は分配組み換え政党だが最近は守旧派と見られることが増えている。現役世代の高い負担を前提にした政党だからである。現在一部に消費税減税を研究する人達が現れた。改革派回帰を狙っているものと思われる。これは大阪では改革派だったが万博を通じて守旧派と見られることも多い維新にも言える。現在もっとも新しい改革派政党は国民民主党だろう。税源を示さずに減税を訴えている。

ではなぜそんな事になってしまったのか。

原因の一つは間違いなくアベノミクスにある。日銀が過去25年の総括レポートを出した「非伝統的政策は完全な代替手段にならず、2%目標への政策運営が適切=日銀レビュー」というタイトルになっている。政治的にはアベノミクスを否定することはタブーになっているため配慮して「2013年依然も含めた「非伝統的な」手法」の総括になっている。おそらくこれがアベノミクス批判であると気が付く人は少ないだろう。

2013年以降の大規模な金融緩和については、金融市場や金融機関収益などで一定の副作用があったものの、現時点で「全体としてみれば日本経済にプラスの影響をもたらした」と評価。一方、国債市場の機能度の回復が進まないことや、大規模緩和の副作用が遅れて顕在化することなど、今後マイナスの影響が大きくなる可能性には留意が必要とした。

非伝統的政策は完全な代替手段にならず、2%目標への政策運営が適切=日銀レビュー(REUTERS)

要するに、経済成長の芽がありながらもそれが活かせないのはアベノミクスで低成長・低金利に慣れてしまったためと言える。結果的に円安から脱却できずコストプッシュ型のインフレに苦しむことになった上に今後は少子高齢化を背景にした人手不足と賃金上昇に苦しむことになる。

しかしながら成長経済を知っている人達の指摘も経済成長を知らない人たちからみれば「守旧派の戯言(たわごと)」扱いされてしまうかもしれない。アベノミクスについてネガティブなことを書くと「またアベガーか」という一言コメントが付くことが多い。

なお日銀が金利引き上げを見送ったのはアメリカの雇用統計ショックと利上げが重なった結果として日経平均が大幅下落したことがトラウマになっているのではないかと感じる。

だが、FRBが主導する金利下落局面が終了し2025年には利上げの可能性さえ排除できないという情勢になっている。アメリカの株価は今後荒れた局面に入る可能性がある。つまり「チャンスの窓」が閉じた状態のため円安要因が続くことになり日銀は円安圧力に追い込まれるように利上げに踏み切るかもしれないという見方もでているようだ。

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