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アメリカ株への資金流入が止まらない……

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外交・安全保障面では孤立主義に傾斜するアメリカ合衆国。また史上最も愚かな貿易戦争も始まりそうだ。しかしながらアメリカ株への資金流入は止まらない。この状況をどう理解すれば良いのかを考えてみた。具体的に言えば「アメリカ株はバブル状態にありこれ以上投資しないほうが良いのか?」という問題だ。

この状況を理解するために小谷哲男氏が指摘する金ぴか時代との類似性を見てみたい。南北戦争の復興から始まり鉄道会社の破綻によって終りを迎えたのが金ぴか時代だ。

なお今回の記事はChatGPTによるまとめを多用しているため原典資料がない。したがって内容の妥当性については今後様々な記事などを使って検証する必要があるだろう。

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REUTERSが「コラム:泥沼にはまるトランプ関税、根強いインフレさらに悪化も
」という記事を出し、Bloombergが「米株へのマネー流入止まらず、トランプ関税は謎のまま-慎重さ欠如か」という記事を出している。今回はこの2つが両立するという前提を置く。

そもそもの起点はアメリカ経済の一人勝ちだった。経済は自信を深め「経済至上主義」の価値観が社会を支配する。弱肉強食・適者生存(経済ダーウィニズム)・強者総取りという価値観が蔓延する。この結果「経済が政治を支配して何が悪い」という空気が生まれているのが今のアメリカ合衆国である。

民意によって選ばれた大統領がすべての価値観を決めるという考え方は現在司法闘争に発展している。鈴木一人さんの最初の記事は1年前のもの(選挙キャンペーン中)で次の記事は今月のものになる。

このイデオロギーが程度成功すると(あるいは成功しているように見えている時代)には一部の貧困層を置き去りにしたままで経済成長が始まる。アメリカ人はきつい傾斜がついたトレッドミルの上を喜んで歩き(あるいは走り)続ける。良いインフレも悪いインフレもない。インフレに勝った人と負けた人がいるだけであり負けるのは悪いことだという時代だ。

過去に類似の事例を見つけるのは難しいことではない。小谷哲男教授が指摘した「金ぴか時代=金メッキの時代」もその一つだ。

リンカーン大統領は南北戦争に勝利した。北部の工業地帯は自信を深め西部開拓に力が入る。鉄道会社が路線を伸ばし沿線の不動産が開発される。しかし大資本がお互いに結びつき市場が寡占化される。経済力を強めた資本は政治との関係を強化するが「南北戦争勝利」という成果があるため国民は共和党を支持し続ける。

やがてこの経済成長はバブル化するが、政治が規制強化に熱心ではなかったこともあり金融機関は不透明になっていた。1873年恐慌(「ジェイ・クック商会」が、ノーザン・パシフィック鉄道への過剰投資により破産)と1993年恐慌(フィラデルフィア・アンド・リーディング鉄道の破綻)で幕を閉じた。

これがChatGPTによる「あらまし」である。

金ぴか時代と現代の違いはそのきっかけだろう。

南北戦争は自力での戦争勝利だったがアメリカ合衆国の経済が一人勝ちしているのはウクライナの戦争の影響が大きい。資源を持たないヨーロッパが資源を持っているアメリカ合衆国に負けている。さらに経済成長のきっかけもおそらくバイデン政権のコロナ対策だろう。国から豊富な資金が流入した。

これまでは没落した白人層の焦りがトランプ政権の人気を支えていたのではないかと思っていたのだが、それだけでは説明できないことも多い。やはり経済で自信を深めているアメリカという要素を入れ込む必要がある。多様化して変化し続けなくてもやって行けるであろうという自信だ。

フロンティアとしてのAIと西部(その象徴としての鉄道産業)に類似点を見出すのはそれほど難しくない。また、大資本が政治に参加しConsumer Financial Protection Bureau (CFPB・消費者金融保護局)の廃止に向けた動きが加速している。規制よりも成長という時代が幕をあけようとしている。

何も南北戦争に遡らなくても「インターネットバブル」と「エンロン事件」を覚えている人も多いのではないかと思う。もともとレーガン政権(共和党)で規制緩和が行われ次のクリントン政権(民主党)でもその動きが引き継がれたという時代に起きている。議会共和党を中心に規制緩和圧力が強くかかっていた。

この規制緩和に勝機を見出したのがエンロンだったのだが「ファイナンス・エンジニアリング」という手法が取り入れられている。リスクをわからないように切り刻み分散させる手法だ。高度な数学が使われ投資家のリスク判断が難しくなった。

この前後にインターネットバブルが起きて崩壊している。経済優先の時代に期待された「ニューエコノミー」がインターネットだった。しかしながらこのインターネットバブルは新しいイノベーションも生み出した。例えばAmazonが生まれたのもこの時代であり「バブル=悪」とは言い切れない。

今回はトランプ政権のEUに対する強気すぎる外交的対応を見てゆくのだが、その背景に抜き差しがたいエスタブリッシュメントに対する劣等意識と「自分たちは経済で生き残ってきた」という自信が入り混じっているようにみえる。

確かにこのバブルはやがて弾けるのだが、かといってお祭りに参加しないわけにもいかない。そしてどこまでが経済成長でどこからがバブルなのかは誰にもわからないのである。

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Comments

“アメリカ株への資金流入が止まらない……” への2件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    投資家(という名の博徒)にとっては、今のアメリカは魅力的なハイリスクハイリターンな存在なのかもしれませんね。バブルが弾けてしまった後のことは、考えたくもありませんが(リーマンショックを思い出します)。

    1. とはいえ、インフレ下では現金の価値は下落しますからね。投資しないというのもギャンブルになりつつあるんですよね。資本主義社会に生きている以上は賭場から抜けられないということになりそう。