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トランプ砲とその早すぎる失速

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Xにトランプ砲というトレンドーワードが出ていた。一部暗号資産がトランプ大統領のSNSの発言で高騰したらしい。Xには日本語でもトランプ大統領を称賛する声が溢れていた。「活気があってよろしい」と思ったのだが、一夜にして失速しているそうだ。実効性が疑問視されている。

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トランプ大統領が主催する暗号資産サミットが7日に開かれる。この前宣伝としてトランプ大統領はSNSで派手な情報発信をした。これに気を良くした投資家たちがこぞって暗号資産を買ったことで暗号資産の価格が高騰したという。1日で時価総額が36億円も増えたということなのでその熱狂ぶりは確かに本物だった。

だがトランプ砲という話題が出たらもう買わないほうが良い。祭りは終わったあとだからだ。ほどなくして「実効性に疑問がある」ということになり暗号資産の価格が下がり始めたそうである。

そもそもアメリカではトランプ関税が減税に先行するという話があり経済に失速懸念がある。ジョンソン下院議長は様々な矛盾する約束を各方面とかわしており、連邦政府は運営に行き詰る可能性が極めて高い。またアメリカ人はトランプ大統領の政策がインフレにつながるであろうと警戒を強めている。

こうした事情からトランプ大統領は成果を焦っており今回の性急な情報発信につながったものと考えられる。

暗号資産は2月に大きく売り込まれており、業界からの支持表明と多額の献金を受けて返り咲きを果たしたトランプ氏にとっては圧力となっていた。米証券取引委員会(SEC)が長年の業界締め付けを撤回しても、下げに歯止めをかけるには至らなかった。トランプ氏の関税政策や政府プログラムの抜本的見直しに対する懸念が暗号資産への売りにつながっているとの見方が多かった。

暗号資産への買い急失速、トランプ氏の戦略準備構想に懐疑論が浮上(Bloomberg)

トランプ大統領にとってはウクライナ人の命がかかった和平交渉も暗号資産もすべて同じことだ。メディアに注目され称賛されていたい。記者を交えたゼレンスキー大統領との対話も「記者に歴史的瞬間を目撃させる」ためだけに設計されていた。

もう一つ今回の件でわかったことがある。

NISAやIDECOを通じて投資に対する関心が高まっている。地政学・経済学を研究し堅実に投資をするという人も増えているようだ。YouTubeでは盛んに投資系のプログラムが作られておりどれも閲覧数は極め高い。

その一方で投資をギャンブルと考える人も増えているようだ。彼らは難しい問題には興味を持たず安倍総理のように相場全体を盛り上げてくれる救世主を期待している。そんな彼らが期待したのがトランプ砲なのだろうが世の中にはフリーランチなど存在しない。

おそらく彼らも最初は経済ニュースを見ていたと思うのだが次第に「どうせ自分にはわからない」と言うことだけを学習してしまったのではないか。代わりに誰かものすごく偉大なリーダーが出てきて自分たちを一斉に救済してくれると信じるようになってしまっている。

この手の人達は当初の熱狂には関心を持つがその後の副作用にはさほど興味を持たない。いわば何らかの刺激に中毒になってしまっている。強すぎる刺激を求めれば求めるほどあとの沈んだ時間が長いというのも薬物中毒に似ている。

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