ドル円が急速に円安方向に動いた。アメリカでCPIが発表されたがインフレが再燃する危険がある。またパウエル議長も議会証言を行い「利下げは急がない」との立場を明確にした。トランプ大統領はFRBへの圧力を強めることを示唆している。
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日銀は利上げを急ぐのではないかとの観測が高まりドル円は一時円高にふれた。しかしながら、パウエル議長は利下げを急がないと議会証言し、CPIも市場予測より高かったために「アメリカの金利は引き下がらないのではないか」との観測が高まり再び円安基調に戻っている。
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パウエル議長は議会証言を行い「利下げを急がない」考えを示した。
理由は2つある。第一にアメリカ合衆国の消費者物価が市場予測を越えて上がっている。インフレをかろうじて金利で押さえつけている状況で手を緩めれば再びインフレが拡大する可能性がある。
CPIの発表はパウエル議長の議会証言後だった。CPI発表を受けてパウエル議長は「自分の主張は正しかった」と改めて声明を出している。
加えてトランプ大統領の関税政策の全容が見えていない。トランプ大統領は関税を武器として利用しているが、関税は内国民に懲罰的に働くため消費者物価に大きな影響を与える可能性がある。
トランプ大統領はすでに司法を無視して自分の考える理想の政策を推進しようとしている。司法は法的拘束力は持つが大統領を椅子に縛り付けて猿轡(さるぐつわ)を噛ませるような拘束力は持たない。このため行政府が民意と軍隊・警察力を背景に暴走したとしてもそれを抑止することは出来ないだろう。
しかしながら大統領も市場原理を支配することは出来ない。トランプ大統領はFRBへの圧力を強めるものと考えられているが「関税と利下げはセットになっている」と意味のわからない主張をしているそうだ。関税は経済を冷え込ませることがわかっているため利下げを行い経済をブーストしたいということなのだろうが、無理に金利を引き下げるとインフレが加速する。Bloombergは減税よりも関税が先に来たことに懸念を示していたがREUTERSにも次のような記述がある。「これ」とはCPIの予期せぬ上昇を意味する。
これはインフレを招くと批判されているトランプ大統領の輸入関税推進に対する警告となった。経済を過剰に刺激する恐れのある減税、労働力不足や企業のコスト上昇につながる不法移民の大量送還など、トランプ政権の政策を危うくする恐れがある。
米CPI、1月は前年比3.0%上昇 前月比も1年半ぶり大幅な伸び(REUTERS)
ただし、トランプ大統領は「インフレはバイデン政権が作り出したものである」とも主張している。つまり自分の無理な政策がインフレを招いたわけではなくバイデンのせいでインフレに悩まされているのだと支援者たちを説得したいのだろう。
その後発表された1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%上昇と、伸びが4カ月連続で拡大した。これに対しトランプ氏は「バイデン(前大統領)のインフレが上がった」と、前任者に責任転嫁した。
金利引き下げ求める FRBに圧力―トランプ米大統領(時事通信)
パウエル議長はトランプ大統領の声明にはコメントしないとしている。
この投稿について質問を受けたパウエル氏は、トランプ氏の発言には一切コメントしないと回答。その上で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今後も経済情勢に基づいて決定を下すことを、国民は確信できると語った。
パウエル議長、FRBの仕事は終わっていない-CPI統計受け(Bloomberg)