1ドルが149円台に入った。アメリカで勝手に「日本は早期利上げに踏み切るのではないか」という観測が出ているようだ。またFOMCが金融引き締めをしばらくお休みするのではないかという観測も出ておりアメリカ側の国債価格が持ち直しているという。国債価格上昇・金利低下ということになる。
理屈ではなく「思惑や観測」で動いている。またトランプ大統領の不規則な発言で地政学リスクが高まったとされ金の価格が最高値を付けたという。金は利息をうまないためかなり例外的な動きと言えそう。
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確かに高田委員は利上げに前向きな発言をしている。
高田委員は19日の宮城県金融経済懇談会で、賃上げなど前向きな企業行動の持続性が確認されて経済・物価見通しが実現していけば、利上げで「一段のギアシフトを進める局面だ」と話した。会見では、長期金利の上昇は経済や物価の見通しを「普通に反映したものではないか」と述べ、事実上容認する姿勢を示した。20日には、日銀の植田和男総裁が石破茂首相と会談、長期金利について話題に出なかったと話した。
【日本市況】円一時約2カ月半ぶり150円突破、日銀利上げ観測高まる(Bloomberg)
しかしながら、金利を上げるとゾンビ企業の倒産が増えかねないという事情を考えると「それでも金融正常化を急がなければならない」と日銀が国民世論にシグナルを送っているようにしか感じられない。すべての条件が揃う訳ではないがそれでも金利を上げなければならないと日銀関係者はいいたいのではないか。
また植田総裁は石破総理と金利の話はしなかったとしている。参議院選挙前に利上げの(政治的)準備が整っているとは思えない。そもそも石破総理は予算を通さなければ総理大臣ではいられなくなる可能性もあるわけでとても長期的なビジョンを立てられるような状態ではないだろう。
だが見出しで買っているアメリカや世界の投資家たちがこうした動きを織り込んでいるとは思いにくい。権限がある委員がそういっているのだからそうなる可能性が高いと考えるのは普通のことだ。アメリカではFOMCに議席のある連銀総裁の発言で相場が動くことがある。
結果的に円買いが加速、対ドルで一時149円40銭台-日銀の利上げ観測強まるということになった。
さらに米価の急激な高騰も「インフレ加速説」を裏打ちする材料と見られたようだ。Bloombergの1月消費者物価で占う日銀利上げの行方、食品高騰で総合指数にも注目という記事には米価のグラフが出てくるのだがスカイロケット級の値上げになっている。
岸田・石破農政の失敗と言えるが事情を知らない人から見れば日本でハイパーインフレでも起きるのではないかと思われても仕方がない値上がりぶりとなっている。ぜひ、記事をみてグラフを確認していただきたい。
FOMCが量的引き締めの一時停止・原則を議論したことで国債の価格が上昇したそうだ。普通はアメリカの経済が信任された証とみなされるだろう。ただ背景を読むと少し心配になる。
トランプ大統領と議会の議論が揺れている。トランプ大統領の関税に関する発言は不透明極まりないものになっており世界経済に取り返しがつかないダメージを与えかねない。また債務上限の引き上げの議論も二転三転している。これに加えて減税議論が出ている。下院共和党の間には推進論があるが上院には慎重派の議員がいるそうだ。
政治的な不規則さがノイズとなり本来経済状況のシグナルになるべき短期金利が指標として意味をなさなくなりつつあるという。Bloombergは今回のFOMCの議論はアメリカ経済の堅調さや熱気を示しているわけではなくトランプ大統領がもたらす政治的混乱への備えだという市場関係者の見込みを伝えている。
QTへの言及は「基本的な見解の変化というよりもむしろ『不測の事態に備える計画』を示している。当局が将来に備えているということだ」と付け加えた。
FOMCが量的引き締めの一時停止または減速を議論-米国債の強材料(Bloomberg)