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利下げの時が来た パウエル議長が高らかに宣言し米株価が上昇

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注目されていた日銀総裁の国会招致とパウエル議長の演説イベントを無事通過。アメリカの株価が上昇した。植田総裁は金融資本市場が不安定な間は利上げは行なわない姿勢を強調し、パウエル議長は「利下げの時が来た」と高らかに宣言した。パウエル議長の発言に気を良くした投資家がアメリカの株価を押し上げ400ポイント(ドル)以上の値上がりとなっている。

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パウエル議長ははっきりと政策転換を打ち出し「今後はインフレ抑制ではなく雇用維持に務める」との立場を明確にした。さらに「現在の雇用統計の悪化は解雇によるものでない」と一部にくすぶり続ける景気後退懸念を払拭した。

REUTERSによる発言要旨

この発言は予想以上のハト派発言とみなされニューヨークの株価は上昇している。また利下げ幅も当初予想されていたよりも大きなものになるのではないかと考える人が(多数派ではないものの)増えているという。

また植田総裁も「基本的な姿勢は変わらない」としつつも内田副総裁の発言を踏襲し金融資本市場が不安定な間は利上げは行なわないとの姿勢を明確にした。またQTも市場が恐れているようなものにはならないと懸念の払拭に務めていた。

「金融市場は不安定」との現状認識

これらの結果を受け、ニューヨークの株式市場は上昇した。またドル円相場は144円まで円が上昇している。

今後の日本側の焦点は政治がどの程度の円安を許容するかに移りそうだ。日本の政治には責任回避傾向が強く、日銀に対して「過度の円安は困る」「金利も上げてほしくない」と注文を突きつけるにとどまっている。一方で円安是正に効果がありそうな実効性のある成長戦略も打ち出せていない。鈴木財務大臣は「デフレに逆戻りする可能性もないわけではない」「まだデフレを脱却していない」と曖昧な答弁に終止している。

鈴木財務大臣「デフレ脱却に至らず」

安倍政権で推進されたアベノミクスの副作用の1つに低い金利を利用した円キャリートレードがあり、日本国民に円安による物価高という負担を背負わせている。しかしながら日銀と財務省の政策修正が急激なものになると示唆すれば投資家を刺激し8月初旬のような株価ショックが起こりかねない。このため財務大臣の姿勢は慎重かつ明確な方向性に欠けるものとなった。

今後、総裁選挙で候補者たちがアベノミクスをどう総括し円安と金利にどのような姿勢を見せるのかに関心が集まるが、現在はポジションを明確にしていない候補者が多いように見受けられる。

いずれにせよ、イベントを無事通過したことで8月の初旬のような株価ショックは起きなかった。投資家たちはほっと胸をなでおろしているかもしれない。

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