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CIA東京支局の存在を隠そうとした日米政権

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「ケネディ文書が黒塗りになっているのは犯人が別にいるからだ」という主張がある。大変ロマンあふれる主張だが、おそらく黒塗りの動機はもっとくだらないものである。国民に言いたくない事があるというだけなのだ。その一環としてCIAの東京支局の存在公表を日米政府が反対していたという記述が出てきたと共同通信が報じている。

ケネディ暗殺事件からだいぶ後の1996年の文書がなぜ「ケネディ文書」に含まれるのかなど疑問も残る。かなり拡大解釈され運用されていたのかもしれないし、共同通信が「ついでに」乗っかったのかなとも思う。

※当初「自民党政権」というタイトルにしていたが厳密には自社さ政権だったため表題の一部を書き換えた。

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モンデール駐日大使は「日米関係に悪影響が出る」としていたという。確かに1996年は非常に微妙な年だった。自民党が政権を失い政権回復の過程にあった。日米政権が「悪影響」を恐れていたとしてもなにの不思議もない。

政治とカネの問題を背景に細川政権が誕生する。細川政権が倒れた後で羽田政権が誕生するのだが小沢一郎が社会党外しを画策したことで自民党と結びつき自民・社会・さきがけの連立政権が作られた。その後で村山富市総理大臣が辞意を表明し1月には自民党の橋本龍太郎を首班とする政権が作られた。さらに秋に総選挙が行われ自民党の単独政権が誕生している。

自民党が隠したかったのはCIAによる資金援助だろう。1994年には自民党にCIAが資金援助を行っていたという報道が出ており今回の共同通信もこれを引用している。

CIAを巡っては、50~60年代に自民党に資金提供していたと米紙が94年に特報し、自民党が否定した経緯がある。日米両政府が米国による日本での情報活動の実態を伏せようと水面下で折衝していた実態が浮かび上がった。

CIA東京支局の存在公表に反対 日米、ケネディ文書に記録(共同通信)

2006年の日本共産党のウェブサイトにも記述がある。対共産主義対策だったので共産党には被害者意識があるのだろう。

自民党と同党議員への秘密資金援助は、九四年十月に元米外交官の証言を基にニューヨーク・タイムズ紙が暴露。本紙も当時、元駐日大使が米国務省に送った秘密書簡で、「岸(信介元首相)の弟の佐藤栄作(元首相)が共産主義者とのたたかいでわれわれに財政援助をせがんでいる」と述べていたことを報じました。

自民にCIA資金(日本共産党)

日本人の心情は非常に興味深い。「上」に弱いところがある。保守がアメリカ合衆国になかなか自己主張ができないということはすでにお伝えしたが、実は左派も「政府に認めさせないと事実にならない」と思い込んでいるようなところがある。外交文書ですでに出ているのだから事実として扱えばいいと思うのだが、なかなかそうならない。

今回の共同通信の記事はヤフーニュースにも転載されており高橋和夫さんのコメントが付いている。

日本の各分野にCIAが浸透している。かつての大新聞の経営者だった大物がエージェントだったという事実は、文書的にも確認されている。

名前をぼかして書いているが、公職追放を受けた正力松太郎氏が抗共産党活動に協力する見返りにCIAの協力者になっていることは公然の秘密と言って良い。読売新聞は今でもこのときの伝統を引き継いでおり日米同盟推進派である。非常に興味深いことに彼らは旧来の共和党的な日米同盟維持路線に属しているためトランプ大統領の政策に批判的な記事を書くことが増えている。

また民間放送もアメリカの生活の良さを宣伝し共産主義にネガティブな情報を発信するための装置として期待されていた。日本テレビがいち早く開局にこぎつけたのはそのためだろう。

何も「秘密扱いするような問題ではないのではないか」と思うのだが、日本では未だに公然の秘密として語られている。

トランプ政権はこれまでのアメリカ合衆国がひた隠しにしてきた各国での工作の実態をアメリカが引き継ぐべき遺産とは考えていないようだ。これまで対米協力路線を取ってきた自民党やそれに協力してきたメディアにとっては足元の大きな地殻変動として認識されているのかもしれない。

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