商品券問題を理由に立憲民主党が暫定予算を求めている。自民党・公明党は持ち帰り「土日頑張って審議するから年度内に予算を成立させてください」と懇願する作戦に出るようだ。
なんか変だなあ・なんかもやもやするなあと思ったのだが当初は何が変で何がもやもやするのかよくわからなかった。
しばらく考えてみて「あ、計数化ができていないんだ」と気がついた。日本の政治家もマスコミも「お気持ち優先シンドローム」にかかっており合理的な意思決定ができなくなっている。
まず背景情報を確認する。石破総理に10万円商品券問題が浮上した。背景にあるのは「自分たちにも10万円を」という国民感情だが、ストレートには表現できないので「政治家だけずるい」ということになった。石破政権の支持率は急降下したが国民は「とはいえ辞任までは必要ないですよ」と言っている。
気を良くした立憲民主党はこの問題をできるだけ引っ張って選挙を有利にしたい。このため審議時間を伸ばすようにと要求した。伸ばすと3月末を越えてしまうので暫定予算が必要というのが立憲民主党の主張だ。石井参院国対委員長は要請を持ち帰ったうえで公明党と協議し「土日頑張るから年度内に成立させてもらおう」としている。
なんか気持ち悪い議論だなあと思った。バランスが極めて悪いのだ。とはいえ庶民感情というものがあり「たかだか10万円」などというと叩かれかねない空気が生まれている。
ここでふと思った。仮に[AI暫定予算ボタン]があり、それを押すと暫定予算が出てくるならばまあそれでも構わないのかもしれない。しかし実際には暫定予算を組むためにも事務経費はかかるはずだ。さらに仮に政府が言うように予算が景気対策になるのであれば「機会損出」も出てくる。
確かに「国民のお気持ち」を考えると、10万円商品券問題は重要かもしれないのだが、ではそのお気持ちを満たすためにはどれくらいの国費が必要なんだ?ということになる。
だがそんな発想をする国会議員は誰一人としていない。またそれを指摘するマスコミもない。つまり誰一人として「意思決定のために数字を用いよう」という発送を持っている人がいないのだ。
民間企業で全く数字を用いずに新しい事業の意思決定を行う人などいないだろう。プレゼン資料を作るときに「どんな市場があり」「どれくらいのコストで」「どれくらいのシェアが取れるのか」を説明させられるはずである。と考えると「日本人が計数化(目標を数値化して、その数値に基づいて計画を立てたり、進捗を管理したりすること)が苦手」という結論は出しにくい。
つまり、政治と政治に関わる報道をしている人たちには計数化という概念がなく、一般の民間人より意識が遅れているという結論を出さざるを得ない。これまで他人のカネをあたかも自分のカネのように分配してきたため計数化の概念が育ってこなかったのだ。
現在の計算では1日にかかる経費は3億円ということになっている。だがこれは毎年かかっている費用を日割りにしているだけで「土日に国会を開くと6億円が余計にかかる」という意味ではないそうである。
選挙優先・お気持ち優先で漠然と政治運営をしてきたこともあり日本の政治家は合理的な意思決定ができなくなっている。これではとても国民が期待する負担減要求に答えることなどできないだろう。
政府は議会運営だけでなく実際の政策でも数値化して計測するということはできなくなっている。その一つの現われが米価管理だ。備蓄米を放出しても米価が下がらずそもそも放出されたコメがいくらで売られているのかもよくわからない。石破総理は必要ならさらに放出するといっているが、そもそもどれくらい必要なのかさえよくわかっていないのである。