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緊急事態条項騒ぎ 立憲民主党に求められる支持者のリテラシー底上げ

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昨日一時「緊急事態条項成立」がトレンドワード入りした。立憲民主党の支持者と思われる人たちが緊急集会緊急事態条項と勘違いしたことが原因だ。立憲民主党が間違った人たちに対して間違ったメッセージを使って支持拡大を訴えかけてきたことがわかる。これでは立憲民主党がまともな政治課題を訴求しても一般市民にはなかなか浸透してゆかないだろう。「なんだか危ない人達だ」という印象にしかならない。

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どんな人達が騒いでいるのか。

まずは支持者たちの絶叫ぶりを見ていただくのが良いのかもしれない。Xの投稿を掲載しておく。枝野幸男氏の投稿について危機感に満ちたコメントが多数ついている。

どこからこのようなデマが出たのかは研究に値するテーマかもしれない。誰かが煽ったのならまだ良いが自然発生的に出たとすれば問題の根は深い。

もともとのニュースは「緊急集会についての討議」だった。こちらは時事通信に短い記事が出ている。この「緊急集会」というワードに対して立憲民主党の支持者や他のリベラルたちが反応したものと思われる。

この件についてQuoraで書いたのだが、このときにきちんと説明するのは意外と厄介だなと感じた。

立憲民主党は次回の選挙で苦戦するのではないかと個人的には思っている。「内輪化」が進み無党派層に支持が広がりにくくなっている。この一つの現われが蓮舫東京都知事候補の敗北だった。傍から見ているとハリスアメリカ大統領候補と同じ構造があったことがわかる。「セレブ女子のワチャワチャ」にしか見えなかった。

同じように護憲運動も日本の文字は読めるが日本語が理解できない人たちに占拠されているのかもしれない。これでは一般の無党派層は離反してしまう。明らかにお近づきになりたくない人たちだからだ。

だがなぜこうなったのかを考えてゆくとその背景は意外と複雑だ。

岸信介総理は日米同盟の双務化に成功した。しかしその領域は日本に限られておりトランプ大統領は片務条約だと批判している。さらに第二次世界大戦を覚えている人たちは日本が再びアメリカの協力し新しい戦争に参加するのではないかと感じた。死者まで出る学生反対運動も起こり岸総理は退陣を余儀なくされた。さらに自民党は国防についてはあまり語らなくなり経済第一路線を歩むことになる。

こうした背景から岸に近い一部の自民党政治家たちはなおさら憲法改正に固執することになる。岸の孫の安倍晋三総理もその一人だった。

しかし自民党が野党時代に作った憲法草案も極めて乱暴なものだった。中には下野させられた恨みから「日本人に天賦人権はなじまない」などとする乱暴な発言も出たくらいだ。

憲法改正の機運は盛り上がらなかったため、自民党は東日本大震災の記憶が新しいうちに「災害対策」を入口にして憲法改正運動を盛り上げようとした。自民党は過去の改憲案を否定しないままで4つの条文の改正を訴えている。

一方で財政運営に失敗し消費税増税に追い込まれた民主党も拠り所をなくしてゆく。一部の議員は市民運動に頼り「反安倍」運動を展開する。東日本大震災の記憶が鮮明だった頃はそれなりに反原発運動が盛り上がっていたが、最近では「内輪化」が進んでいる。極端な昔ながらの反米運動と無知が運動を支配している。

彼らの最後の拠り所が改憲勢力を許せば日本は再び戦争の道を歩むだろうという単純化されたメッセージだった。

一方で護憲派は参議院の緊急集会を使えば政治的空白は生まれないとも主張している。日本では過去二回の例があるそうだ。戦後の混乱期において安全装置としての役割を果たしておりおそらく大地震のときにも使える条文になっている。

そもそも現在の自民党・公明党政権は予算さえ通せないかもしれないと言われておりとても改憲などやっている余裕はない。さらに憲法審査会の委員長は立憲民主党が握っている。おそらく「この際これまでの議論を整理して緊急事態条項の優先順位はそれほど高くない」と議論を整理しておきたいのではないかとも感じる。

今回の支持者たちの反乱からわかるのはこの運動(それを何と呼ぶのかは別にして)に最後まで残ったのは日本の文字は読めるが日本語は理解できないという人たちだけだったということになる。つまり一般の国民・市民たちは運動から長い時間をかけて離反していった。残った人たちは、緊急集会と緊急事態を混同しており混同しているという事実すら受け入れられないという人たちである。まともな議論ができそうな人たちではない。

おそらく今回の問題の一義的な責任は、票目当てで、間違った人たちに対して「改憲を許せばすぐに戦争になる」と言う極論を吹き込んできた一部の人たちにあるのだろう。実際に議員の名指しもできるがここでは控えたい。

しかし、結果的には「立憲民主党は極端な人たちに支配された普通でない政党なのだから近づくのはやめておこう」という認識を広めているだけだったということになる。

つまり彼らが消費税の減税について議論をしても真っ先に飛びつくのはこれらの極端な支持者たちでありその運動が一般市民や国民に広がることはないだろうと予想できる。

身から出た錆なのかもしれないが、このままでは立憲民主党も参議院選挙ではそれほど躍進できないだろう。

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