自民党(特に石破政権)では局面の打開は難しいだろうと思う。つまり立憲民主党などの野党に期待したいと個人的には思っている。だが立憲民主党は支持できない。誰それさんが気に入らないからではない。単純に政策が作れないからである。
小沢一郎らの自分勝手な誘導によりシンクタンク機能を潰してきたツケが出ている。今回「新しい財源」として日銀による財政ファイナンス提案を出してきたがおそらく当事者たちはこの法案の持つ意味には気がついていないだろう。シロウトが政策を作るとこうなる。
Bloombergが「立民が日銀保有ETF活用法案を再提出-高校無償化・子育て支援財源」という記事を出している。あからさまな日銀による財政ファイナンス提案だ。国民民主党と維新の賛同は得られなかった。
調べてみると過去にもこの法案を出そうとした経緯があるそうだ。背景事情はだいたい察しがつく。
鳩山内閣では戦略室を作ろうとした。ところが意思決定の主導権を奪われることを嫌った小沢一郎らにこの計画を潰されてしまった。あくまでも選挙による利益誘導を優先すべきだということになる。この手法は昭和時代に田中派の隆盛を支え後に田中角栄氏の没落につながった。田中後継の人たちも同じような「政治とカネ」の問題で次々と政界を去っているが、小沢一郎氏は自分を昭和に幽閉したままで次の神輿を探している。
結果的に野田政権は財務官僚に頼らざるをえなくなり消費税増税に踏み切った。これが下野のきっかけになったこともあり野田佳彦代表は今でも党内でくすぶる消費減税をブロックし続けている。しかし増税にも否定的な考えを持っている。だったら埋蔵金を利用しよう!ということになり結果的にアベノミクスの資産を活用すべきだという筋悪な提案が出てきた。
民主党の事実上の後継政党である立憲民主党にはまともな政策立案組織がない。このためシロウトが集まり「政府資産を活用すれば増税が回避できる」と考えたのだろう。見ていて痛々しい。
立憲民主党の提案は「日銀による財政ファイナンスである」とはみなされていない。そもそもアベノミクス下のETF買い入れそのものが「禁じ手」とされているからである。
中央銀行が金融政策の一環として株式を買入れることは、世界的に見て異例の策であり、ある種禁じ手でもある。ところがこの政策は、導入当初の予想に反して10年も続き、現在でもいつ終わるのか目途も全く立たない状況にある。
日銀ETF買入れ10年と将来の処理スキームの展望(野村総合研究所)
野村総合研究所はEFT買い入れの副作用を心配している。株価が暴落した場合に日銀の存続そのものが危うくなってしまうからである。含み損が出るラインもすでに計算されている。日経平均が1万4000円を割り込むと問題が出る。
今回の議論から立憲民主党の議員たちがアベノミクスについてさほど勉強していないことがわかる。と同時に「今は株価が好調であるから将来もそうだろう」と理解していることがわかる。経済が動的に動くという直感が働かないのだろう。経済を勉強したことがない人によく見られるありふれた傾向である。
今なんとかなっているから将来も問題は出ないんじゃないの?
ということなのだろう。
党が党なら支持者も支持者という状況だ。支持者たちは「憲法改正について話し合えば戦争が起こる」というオカルトを信じている。憲法についての理解は進まず参議院の緊急集会と緊急事態条項の区別すらついていない。
岸信介自民党は日米同盟の片務性を解消するために憲法改正がしたかった。これを学生運動で潰されたことが恨みになっており「何としてでも9条改正を成し遂げたい」という人たちがいる。一方で護憲派の人たちは「憲法に触れると戦争が起こる」とまるで9条をタタリ神のように扱っている。
衆議院で憲法審査会が開かれ緊急集会について議論が行われた。改憲派は緊急集会は70日が限度という提案を持ち出し護憲派は「いやいや無期限だ」と言っている。東日本大震災の事例を見ても70日もの間選挙すら行えないほど政局が混乱するのはもう第三次世界大戦くらいしかなさそうだ。確かに可能性としてはゼロではない。だが、もっと他に話し合うべき「仮定のお話」はいくらでもあるのではないかと感じる。
いずれにせよこの結果を受けても特にXでは大きな騒ぎは起きなかった。おそらく議論の内容には最初から興味がないのだと思う。