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中居正広氏とフジテレビ問題で第三者委員会が総括

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中居正広氏とフジテレビ問題で第三者委員会が総括を行った。ジャーナリストを含めた日本人がなぜ問題解決できないかがよく分かる非常に興味深い会見だった

が、見ている人の中には「問題は何も解決していない」と考える人がいたのではないか。日本人が考える「問題」と現代資本主義・民主主義の「問題」には大きなズレがある。

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第三者委員会の目的はフジテレビが再び広告主などの信頼を回復するための指針作りの手助けをすることだった。

このためまず中居正広氏と従業員アナウンサーの間に職務に関連した不同意性交があったことを認めている。

当初「現場の倫理観」で問題解決を図ろうとするのだが徐々に問題はこじれてゆくが、社長も現場と一体になっており役割を果たすことができなかった。役員会が執行と監査に分かれていないことなどもあり経営陣は急速に混乱と思考停止状態に陥ってゆく。

ついに、問題は週刊誌の知るところとなった。内部では(コンプライアンスと広報を熟知した)遠藤副会長を社長に復帰させる案が出されるが日枝氏がこれに難色を示した。

これが引き金となり広告主が離反することになる。

第三者委員会はこの構造を経営陣に示し、企業体としてのフジテレビが安心して広告を扱える会社に戻る手助けをするために設置されている。

副次的にフジテレビは報道機関としても機能していなかったことがわかっている。もと元フジテレビは公共の電波を扱う特別な企業として社会的役割が期待されている。

このためジャニーズ問題で総括が行われ報道局も検証に参加している。

ところが今回は反町理キャスターが性的色彩も強いパワハラを行っていたことがわかっている。問題に学ばないどころか問題の一部だったのだ。

反町氏は政治(正確には権力)好きな日枝氏に重用されていた。しかし彼らのいう「保守」の実態は単なる女性蔑視だった。

「日枝さんは政治好きで『プライムニュース』のキャスターだった反町理氏を取締役に抜擢。反町氏は、永田町の取材メモをいそいそと日枝詣での場で囁いていました。また、政治部上がりの石原正人取締役は一時期、報道局長から秘書室長に飛ばされたものの、反町氏と競うかのように永田町情報を日枝氏の耳元で囁き続けた。その結果、めでたく常務に上り詰めたのです」(政治部記者)

《退任へ》「俺が知らない奴は局長にしない」総資産13億、中居正広問題の裏では…日枝久氏(87)が“フジテレビの天皇”になるまで(文春オンライン)

また、2007年から2008年ごろ、別の女性社員を一対一での食事に誘い、あるときからは休日に「今何しているのか写メを送れ」という趣旨のメールをして、食事に誘うようになったため、女性社員が断わったところ、この女性に対しても原稿が遅いなどと不当な叱責を部内一斉メールで送信したり、電話での論旨が不明な叱責をしたりしたということです。

フジテレビ第三者委 反町氏など幹部のハラスメント事案も認定(NHK)

今回は第三者委員会の会見を見たが、ジャーナリストたちが調査結果ではなく「判決」を求めていることがありありと見て取れた。

この中にはTBSに長く在籍した金平氏も含まれている。彼らは第三者委員に「中居氏の不同意性交」の有罪判決と日枝久氏に対する何らかの判決を執拗に求めている。この判決を元に「誰々が悪かった」という記事を書けば社会的役割が果たせると考えているのだろう。金平氏は「法律的なことが言えないのであれば道義的にはどうなのか」と執拗に食い下がっている。

第三者委員は「資本主義において安全に投資できる市場を作るためには我々はどう変わるべきか」と問題を投げかけている。また副次的に政府から特権的に電波を預かる公共体の内部で半ば公然と(知っていた人はかなりいたようだ)従業員に対する人権侵害が起きていた。民主主義とメディアと言う意味では極めて問題が大きい。

しかし、記者たちはこうした問題には一向に関心を向けていない。日本のジャーナリズムの未成熟ぶりがよくわかる。

世間からの批判を集めたくない経営陣たちが問題から逃げ回っていた様子もよくわかっている。その一つの現われが会見と公表前の集団役員辞任だろう。この中には日枝氏も含まれている。

つまり「誰かのせいにしたいジャーナリスト」と「自分のせいにされたくない」経営者たちの不毛な争いという側面があるのだ。

報告書に非常に興味深い一説がある。当事者の一人として不同意性交隠蔽に加わったと認定された港浩一社長に問題があるという認識は当初からあったようだ。会見の前にコンプライアンスと広報に熟知した遠藤氏を社長に復帰させ問題収拾に当たるべきだという意見が出ている。

目的が何にあったにせよ「問題を認識しそのために行動を起こそうとしていた」ということになる。

結果的にこれは日枝氏に断られることになってしまうのだが、おそらく誰も「なぜ日枝氏が却下したのか」を聞いておらず理解しようともしていないようである。

日本解析を行う上でよく用いられる「中空理論」という構造論がある。東京の中心には空洞=ゼロがあるという理論で、その象徴が皇居の森ということになっている。

フジテレビにおいては日枝氏がこの「中空」になっている。この中空を置くメリットは2つある。まず、裁定者を置くことでつぶしあいの権力闘争を防ぐことができる。次に裁定者を置くことで意思決定に伴う責任を回避できる。

日枝久氏はある意味「祭り上げられた」人物と言える。

今後フジテレビが報道と広告を扱うことができる企業に戻ることができるのかは彼らが極めて古びた中空構造から脱却し普通の意思決定ができる普通の企業に変わる事ができるのかにかかっている。

しかしながら日本のジャーナリズムは「中核的価値観」を持たず「騒ぎの責任を取って誰を吊し上げるべきか」にばかり興味があり結果的に社会的責任を果たすことはできなかった。

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