硫黄島で80周年記念式典が行われ石破総理とヘグセス国防長官が出席した。両者とも日米同盟のさらなる強化を主張しているがトランプ政権の同盟国の関わり方を疑問視する声は大きい。
カナダのカーニー首相はトランプ政権の脅威を活かし自分たちの選挙を有利に進めようとしている。日本の保守派も同じようにチャンスを活かすことができるはずなのだがそのような兆候は見られない。
「一体これはなぜなのだろうか」と考え込んでしまった。
予算の年度内成立の目処が立ち石破総理が硫黄島での80周年式典に参加した。石破総理は日米同盟の強化を訴えヘグセス国防長官もそれに応じたとされている。日本のメディアはヘグセス国防長官のアメリカでの問題について触れ「個人的な資質」を問題視してはいるもののそれ以上の踏み込んだ分析はしていない。
一方アメリカでは「どうせ日本は何もできない」という論が語られているようだ。ワシントン・ポストの関税問題についての論評をクーリエが引用しているのを見つけた。日本人としては反論したくなるが「おっしゃるとおりでございます」としか言いようがない。
石破茂首相は「あらゆる選択肢を検討している」として、報復関税をほのめかしている。だが米紙「ワシントン・ポスト」によると、安全保障同盟を危険にさらす可能性を考えれば「日本が反撃することは難しい」と専門家らは考えているという。独自の対策が打てるカナダや中国、メキシコ、EUとは違うのだ。
米紙が指摘「自動車に重い関税をかけられても、皮肉なことに、日本は黙ってトランプに従うしかない」(クーリエ・ジャポン)
どうやら保守派のメディアは日米同盟が変質しつつあることを掴んでいるようだ。バイデン政権との取り決めに従って日本は作戦司令系統を統一した。しかしアメリカ側は在日米軍が日本の米軍の一部を指揮下に置かないことがわかっている。日米同盟(日本の防衛)と中国の囲い込みが別枠に置かれるということになる。
日本としては30日に行われるとされる防衛大臣級会合でこの辺りについてしっかりと説明を受けたいところだが、ヘグセス国防長官は国防総省を把握していないということが明らかになりつつある。これが日本ではあまり伝えられることがなかった「チャット問題(一部ではシグナルゲートなどと言われている)」の持つ意味だ。
日本人は統合的な問題分析が苦手で感覚的に物事を掴んで終わりになるが、このチャットの会話からはいろいろなことがわかってきている。第一にヘグセス国防長官は軍の作戦についてよく理解しておらず軍部の提案を右から左に高官に説明したことがわかっている。これがヘグセス・アマチュア論だ。
本来なら複数の目で妥当性をチェックするのは悪いことではないだろう。しかし、バンス副大統領は極めて強くヨーロッパを敵視しておりトランプ大統領の姿勢さえも疑問視していることがわかっている。能力よりもトランプ大統領の忠誠心によって選ばれた高官たちは強い思い込みを持つバンス副大統領をとりなすのが精一杯で戦略的妥当性にまでは気が回っていないようだ。そのバンス副大統領は独自の外交を展開している。グリーンランドに渡り「アメリカが防衛したほうが良いはずだ」とグリーンランド市民に語りかけた。戸別訪問もしたようだが住民からは拒絶されている。
バンス副大統領は本気でグリーンランド取得を目指しておりだからこそ「住民の意思で帰属を変えるべき」といっている。プーチン大統領がウクライナ東部で同じようなことを言っていた。ただトランプ大統領はこのあたりがうまく理解できていないようで「軍事力の行使」について曖昧な態度を取っているようだ。
シロウトが国防総省を管轄しなおかつ集団的無責任体制が広がっているというのが今のトランプ政権の実態ということになる。
さらにヘグセス国防長官は何が機密なのかもよくわかっていないようだ。機密情報が扱われる会合に奥さんを連れて行ったことがわかっている。奥さんはもともとFOXニュースのプロデューサだったということなのでジャーナリスト的な野心がないとは言い切れない。
ヘグセス国防長官は「嘘をついている」とされているのだが仮に何が機密なのかを理解していないとすれば「少なくとも嘘はついていない」ことになる。イスラエルからの情報が含まれていることがすでにわかっているのでファイブアイズの国々もアメリカに情報を渡すことをためらうようになるだろう。
おそらく日本のメディアは自分たちも不安になりたくないためこのような日米同盟に起きている不可逆的な変化を扱いたくないのだと思う。しかしヨーロッパではこの機会を活かして軍拡や財務拡大を目指す動きが顕在化している。またカナダのカーニー首相も反トランプを掲げることで自由党に対する支持を再拡大させている。
主語を石破総理に置いていいのかどうかはわからないが、自民党もこの機会を活かして「トランプ大統領に対抗できる日本」を打ち出せば保守の支持を再獲得することは不可能ではないのだろう。だが、そのような動きは見られない。
いわゆる日本の「保守」と呼ばれる人たちは移民や外国からの帰化人をいじめてみたり、マスメディアはオールドメディアであるなどと騒いでいる。弱さの裏返しとして自分たちより弱いものにばかり目を向けている印象だ。日米同盟は対等だなどと言いつつ本音では「太刀打ちできるはずなどない」と最初から諦めているのかもしれない。
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