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「2024年日経大暴落はアベノミクスのせい」で確定

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まだ名前のない2024年8月日経大暴落はアベノミクスの後遺症であると確定した。「やはり全てはアベのせいだ」といいたい人にはこれ以上の情報はないのでバックボタンで戻っていただくことをおすすめする。

ポイントは円キャリートレードだ。そして最も大きな損害を受けたのはレバレッジをかけた取引を行っている人たちだった。彼らは強制退場になっており多額の損出を抱えたものと見られる。自己責任だと言いたい気持ちもあるがニュースを読めずティッカーだけを眺め続けることが投資だと考えていた。日本の国語教育の犠牲者だったとも言える。

今回最も重要なのはメカニズムの理解だ。巻き戻しはまだ50%の段階と言われている。つまりまだ続く可能性が高いのだ。これを理解できず株価の上下動に一喜一憂していると何度も犠牲者になる可能性が出てくる。投資会社は「市場にとどまり継続的に買い進めなさい」と勧めている。

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REUTERSが「アングル:世界株安もたらした「勝ち組トレード」の巻き戻し」という記事を書いている。これまではアメリカの景気後退懸念が世界的な株安の原因と言われてきた。だが実際には低金利の円を調達して高金利市場の金融資産を買う「キャリー・トレード」が株高を下支え(アンカー)してきた。

ブラックロックのエコノミスト兼アセットマネジャー、ジャン・ボワバン氏は、円キャリートレードが「世界市場のアンカー」の役割を果たしてきたが、日銀が先週利上げを実施したことでそれが揺さぶられ、逆回転が起こったと説明。「日銀が非常にタカ派的なパスを進まないことが確認されれば、世界市場は落ち着きを取り戻すだろう」と予想した。

アングル:世界株安もたらした「勝ち組トレード」の巻き戻し

植田総裁の「タカ派発言」は政治の要請に従ったものと見られている。つまり、円安対策を強調した発言だ。背景に政府の強い働きかけがあったと指摘するエコノミストもいる。ところがこれが英語で伝わるとニュアンスが消し去られ額面通りに受け取る人が出てきた。金利の高い新興国にいる人は自国の状況から連想し「日本も高金利政策にかじを切るのでは」と考えたかもしれない。

ではなぜ円キャリートレードという流行が生まれたのか。それは黒田日銀総裁時代の低金利政策から日本が抜け出せなかったからだ。もともとアベノミクスは政府の実質的な財政ファイナンスで景気を刺激しその間に構造改革を進めるというものだった。だが安倍総理と自民党はそれを理解しなかった。

国内産業は低金利に慣れてしまいゾンビ企業が増殖する。するとますます低金利政策を抜け出せなくなってしまう。この結果「ギャンブルの資金調達はコチラ」という看板が生まれる。つまりアベノミクスは世界的な賭場(カジノ)を作るのに貢献していたということだ。

日本の長年にわたる超低金利政策に支えられたキャリートレードは円の借り入れブームを引き起こした。国際決済銀行(BIS)のデータによると、2021年末以降、国境を越えた円の借り入れは7420億ドル増加した。

焦点:世界株安、米経済見通しよりキャリートレード巻き戻しの影響大

今回円キャリートレードが解消された結果円高が進行した。これまでの円安がギャンブルによるものだったことがわかった。つまりアベノミクスは世界の金融市場を賭場に変えただけでなく消費にも大きな悪影響を与えてきたことになる。

もちろん当ブログのこの記事はアベノミクス批判ではない。底打ちしたかを見極めることこそが重要だ。

今回の騒動でレバレッジをかけて投資してきた人たちは強制退場を余儀なくされている。彼らは最大の被害者だが彼らの整理は終わったものと見られているそうだ。日々変わりゆく国際ニュースに興味を持たずティッカーだけを眺め続けてきた人々は敗北した。

「短期的には前日の大引けが個人投資家による投げ売りのピークで、株安はいったんのクライマックスとみていいだろう」と松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは話している。

アングル:個人投資家の損切りはピークアウトか、株価急落で追証回避の売り殺到

一方で円キャリートレードは未だに50%程度しか巻き戻していないそうだ。次のイベントはジャクソンホールである。今回はFRBがFOMCを待たずに追加利下げするのではないかという観測がでている。日米金利差が縮小するサプライズとなれば更に円高が進む可能性も否定できない。USBのストラテジストの発言はこれを意識している。

UBSジャパンのマクロストラテジスト、ジェームズ・マルコム氏は6日付の顧客向けメモで、ドル・円キャリートレードがピーク時に少なくとも5000億ドルまで拡大したと指摘。ここ2─3週間で約2000億ドルの巻き戻しがあったという試算を示し、巻き戻しは終わっていないと述べた。

円キャリー巻き戻し、50%程度完了 なお継続の見通し=UBS

現在の相場はデッド・キャット・バウンス(死んだ猫が跳ねる)と呼ばれている。REUTERSの分析を読むと「今は投資を積み増す時期ではない」とする分析が大半である。もちろんここでバーゲンセールを狙って不当に評価が下がった株を物色するのは構わない。だが、一般的にはここを「底値」と考えるべきではないと言うことになる。

なおBloombergは今回の株価の乱高下がせっかく根付きかけた日本の投資マインドを冷やすのでははないかと危惧している。ウォーレン・バフェット氏を引き合いに出し「今は我慢のときだ」と訴える識者の声を紹介している。株価が高いときにも安いときにも継続的に書い続けた人が最も良い成果を上げるという過去の原則に照らしているのだろう。

「市場にとどまること、そして安く買うことだ」。コモンズ投信社長で最高運用責任者(CIO)の伊井哲朗氏は、著名投資家で投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏の言葉を借りて相場急落後の5日夜、電子メールで個人投資家は長期投資の視点から冷静に対応するべきだと訴えた。 

個人投資家、バフェット氏に倣い「市場にとどまれ」-急落時の心得

しばらくは荒い値動きが続くだろうが自己資金の範囲で継続的に書い続けるべきだとということだ。

単にアベノミクスを批判したい人は「アベノミクスで株価が下がった」ということだけを覚えておけばいい。だが本来重要なのはそれがどのようなメカニズムで市場に悪い影響を与えているかを理解することだろう。

仮に日銀が今回の件で金利を上げることを恐れるようになると「やはり日本の金融市場はギャンブルに最適だ」ということになり為替と株式市場を荒らし続けることになる。

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