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トランプ相場とメディア報道に翻弄される日本の一般投資家

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日経平均が1000円を超えて下落したそうだ。地上波のニュースを見たが説明が極めて面白かった。

日経平均が40,000円を超えたときには「日本企業が信認された」と盛んに宣伝されていた。つまり日経平均が下落すると「日本企業が見放された」ことになる。

だが当然そのように説明するところはなく「来週の業績発表に期待したい」とする説明で溢れていた。これまで投資をやっていた人たちは「まあこんなものだろう」と思うかもしれないが新NISAによって新しく市場に参加した人たちは当惑したのではないだろうか。

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今回の株価下落は「グーグルやテスラのようなアメリカのハイテク株の下落が日本に影響を与えた」のが原因で「日本企業の業績に疑問符がついたわけではない」と説明されることが多い。確かにテスラの業績は投資家を失望させたがグーグルはクラウドなどが好調だった。

またトランプ氏と河野氏がインタビューで「円安を容認しない」というメッセージを出したことがきっかけになったとも報じられているが河野太郎氏にそこまでの影響力はなくアメリカの投資家が勝手に期待しただけといえそうだ。

現在の投資市場はトレンドを読み借金で梃子(レバレッジ)をかけて儲けるという状態になっている。つまりトレンドがどちらに傾いても極端になりやすい。つまり方向さえ決まれば根拠などどうでも良いのだ。

このような状態はボラティリティが高い(変化が大きく先が読みにくい)などと表現される。一旦トレンドができると多くの人が追従するためにあたかもなにか大きな手が市場を動かしているように見える。このため今回の円高局面においては「誰かが介入しているのでは」と疑心暗鬼に陥る人もいるという。

経済アナリストの分析も信用できない。日経平均が4万円を超えたときNHKなどは日本企業の実力がようやく正当に評価されたと宣伝していた。ところが38000円台を割り込むような展開になると「まだまだ日本企業が見放されたわけではない」が「何らかの不測の事態が起こり株価が下がりました」などと解説される。長く投資情報を見ている人は「まあこんなものかな」と思うだろうが、新NISAをきっかけに投資に参入したような人は大いに当惑したのではないか。

日本のメディアは知らずしらずのうちに希望的観測を織り込んでしまう傾向があり(あまりにもその傾向が強いのでおそらくは無意識なのではないかと思う)表現は割り引いて捉える必要があるが、テレビニュースを見ると断片的な評価だけが耳に残っていることが多い。

ここまで読んだ人は「マスコミ批判や日本人批判などどうでもいいから、明日のドル円相場を教えてくれ」と考えるかもしれない。ところがこれはわからないとしか言いようがない。

トランプ氏と共和党の経済政策はインフレを加速放漫財政になると予想されている。ところが細かな主張を読み込んでゆくと明らかに相矛盾する発言が多く見られる。結果的に「誰がトランプ政権の財政を担当するか」によって円安になるか円高になるのかが決まる。

さらにいえばトランプ氏が勝つと決まったわけでもない。

暗殺未遂とその後のトランプ氏の神聖化によって「トランプ大統領で決まり」ということになり、トランプ相場に期待する声が高まった。ところがハリス氏陣営が予想外の立ち上がりを見せたため「大統領選挙は一旦リセットされた」という評価が出てきている。賭けの対象としてはトランプ氏優勢ということになっているそうだがトランプ相場への期待も一旦は仕切り直しだ。更に経済の専門家はアメリカの政治状況を掴みかねているようだ。彼らは何事も合理的に評価する癖がついているが、今のアメリカの政治は勘定によって大きく動かされている。合理性によって政権選択が行われないのだから投資家はその場の空気に乗るしかなくなる。そして一旦トレンドが作られると株や為替の価格に無視できない影響が出る。

スマホによって簡単に株や金融商品が買えるようになりアメリカの投資はボラティリティが高い状態が続いている。さらに政治の影響も大きく受けるがこちらも感情に支配されている。結論としては11月の大統領選挙に向けて何がどうなるのかわからないので、資金はどちらにも動かせるようにしておく必要があるということになる。

現在はドルが高くなっており日経平均も下がっているので「この機会にドルを買いアメリカの株を買おうか」と考える人も多いかもしれない。だが、実はハイテクが牽引するアメリカの株価も下がっており継続的に状況を注視する必要がある。

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