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第二次トランプ政権下でのドル円相場はどうなるのか

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トランプ氏と河野太郎氏の発言をきっかけにして一時ドル円が155円台まで高騰した。だがその後のドル円相場は徐々に円安に転じている。このことからドル円が何で動いているのかがわかる。

市場の次の関心は「トランプ政権になったときに為替がどう動くか」だがこれはまだ方向性がでていないそうだ。ただし共和党からは中国を敵対視する発言が目立っており「半導体牽引相場」は終わりになる可能性がありそうだ。市場は次を物色している。

直感ではわからない経済の流れを順番に整理する。

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今回のきっかけはBloombergのインタビュー記事だった。トランプ氏の発言がサプライズとなり河野太郎氏が同調したことで大きく影響が広がった。日本ではさほど名前が知られていないBloombergだがアメリカでは広く参考にされていることがわかる。また日本の内閣の一員が(アメリカの意思に逆らって)為替相場に言及することなどあってはならないことだがアメリカ人はそれもよく理解していない。加えて英語に堪能な河野氏がアメリカで過大評価されていることもわかる。なお官房長官は「河野発言」の火消しに追われた。自己宣伝のためになりふり構わない河野太郎氏らしいエピソードと言える。

FRBはこのあと9月に利下げに動くものと期待されている。そうなればいったんは現在の円安は是正されることになるのかもしれない。

だが今回の円高はさほど長く続かなかった。

為替介入(と見られる動き)で投機筋が手仕舞いし、アメリカ人などの海外投資家は見出しで円を買った。だが日本には「この先円がどうなるかわからない」と不安を持った人たちが大勢いる。海外に資産を逃避させたい富裕層やNISA組に加え、企業もまた「安いドル」を期待している。Bloombergはそのうちの企業需要に注目した。現在はこれより進んで157円台で推移している。

18日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台半ばまで下落。1カ月ぶりの円高水準を受けて、国内輸入企業など実需のドル買いが強まっている。朝方は日本銀行に利上げを求めた河野太郎デジタル相のインタビュー記事をきっかけとした、円売りポジションの巻き戻しから一時155円台前半まで上げ幅を拡大していた。

円が対ドルで下落転換、国内勢のドル需要強まる-一時は155円台前半(Bloomberg)

次の投資家の関心事は「ではトランプ2.0でドルは今後どう動くのか」になる。ロイターが「コラム:ドル相場は「トランプ2.0」でどう動くのか=上野泰也氏」という記事を出しているので読んでみた。

実は為替相場の方向性が専門家を悩ませている。トランプ氏は大胆な景気刺激策を打ち出すものと考えられている。また法人税減税、保護主義的な関税政策、移民対策もインフレに貢献する。トランプ政権の二期目はインフレになるだろうと予想されている。

ところがトランプ氏は「ドル高はアメリカの製造業にとってはマイナス」で「インフレは悪である」とも考えている。

このためトランプ氏の発言を聞いていても一体彼が何を目指しているのかがさっぱりわからない。

現在FRBに対しては「利下げをやるな」と圧力をかけている。トランプ氏が利下げ反対派なのかと思いたくなるが実はそうではない。トランプ氏は利下げが手柄になると考えており、これをバイデン氏に奪われたくないだけなのである。トランプ政権が始まると今度は一転して利下げを迫る可能性があるがこれもまたインフレ加熱要因となる。

結局のところトランプ氏の発言からトランプ2.0の為替状況を占うことはできず「誰が財務長官になるか」で状況は大きく変わるだろうと記事は結論付けている。

トランプ氏の発言を聞いているとインフレが収まらなかった1970年代の常識と日本がアメリカの製造業を圧迫した1980年代の常識が入り混じっているようだ。アメリカの経済を巡る状況は「ボルカーショック」以前と以後で大きく異なっている。しかしトランプ氏にはこれを体系的に理解しようとする意欲は全く見られない。

Bloombergには共和党が上下両院を制すると大惨事が起きると予想する人がいる。一方でトランプ氏は周囲の評価を気にする大統領なので投資家のメッセージに敏感に反応し大惨事には至らないだろうと予想する人もいて評価が定まっていない。

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・シャーマン副最高投資責任者(CIO)は、「減税は採算がとれない」と述べ、市場にとって最悪の結末は、ホワイトハウスと議会の両方を共和党が制することだと指摘した。

トランプ氏のインフレ対策案、かえって物価高招く恐れ-減税裏目に(Bloomberg)

トランプ氏が何を目指しているのか、実際に誰を財務長官に指名するのか、議会構成がどうなるかによって状況が大きく異なるため「今はまだ何もわからない」という以外に結論が出せない。

ただし中国に対しては敵対的な姿勢が目立つ。例えばiPhoneやテスラなど中国での需要に反応して株価が上下する銘柄は影響を受けるだろう。このため次の銘柄を探す動きがありラッセル2000と呼ばれる小型株が急騰しているそうだ。日本の株価はアメリカの株高に支えられ一部の半導体関連株が牽引する状態になっていたためこの動きに大きく反応している。

なおトランプ氏の優勢が伝えられるなかでバイデン大統領は「左派・進歩派の支持拡大を狙う」方向にかじを切ったようだ。政治的には最高裁判所にブロックされる恐れが出てくるが、こちらも財政拡大路線なのでアメリカの国債価格が下落し金利が上昇するという予想になる。

なお債権が下落しアメリカの経済が悪化すれば株価全体が下落しそうに思える。しかし放漫財政が続くと資金はそれなりに行場を求めることになり株価は押し上げられることになる。消費意欲が減退しているにも関わらず株高が続く日本の例を上げるまでもなく、アメリカも経済が悪化しつつ株高が続くという状況が維持される可能性は十分にあるだろう。

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