なぜ日本の国会はG7首脳声明の前にLGBT理解増進法を成立させられなかったのか

「何でも先送りにする国」という印象の日本だがG7広島サミットが思わぬ形で我々に投げかけたものが二つある。それが資本主義のあり方と価値観の共有である。資本主義・民主主義のあり方については「チャイナ・デリスキング」で触れたので、このエントリーではLGBT問題を題材に「価値観」について主に扱う。LGBT理解増進法が国会で成立する前にG7の声明が出てしまった。

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「市川猿之助さん一家」に起こった悲劇にマスコミはただただ戸惑う

市川猿之助さんが意識朦朧とした状態で見つかった。ご両親は亡くなったそうだ。このニュースを聞いて歌舞伎に詳しい人はかなり動揺したのではないだろうか。「父親」として紹介された段四郎さんもまた歌舞伎界の重鎮だったからである。ただこの件は単に「澤瀉屋に起きた私的な悲劇」に止まらない。性的嗜好・性的指向をめぐる問題を我々がどのように扱うべきかを突きつけてくる。キーワードは「恥の意識」である。

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立憲民主党がジャニーズ事務所の「ハリボテ記者会見」の政治事件化を試みる

「ジャニーズ事務所が性被害問題で謝罪をした」としてニュースになった。ただ記者会見対応はできず「記者会見風」の文書の公表にとどまったようだ。「共犯」のテレビ局・雑誌社はこの記者会見風の文書を読み上げ「報道しましたよ」という実績を作る。テレビ局もまた「事件をあえて伝えない」という風評にさらされておりなんらかの対応が必要だった。一方で立憲民主党はこの件について被害者たちと面会し政治問題化を図りたいようである。このところ政治問題でスルーされることが増えた立憲民主党も「耳目を集めるネタ」探しに苦労しているようだ。

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G7前に岸田総理の「悪人顔」のTIME誌がSNS上に拡散

G7広島サミットが迫ってきた。岸田総理は日本の歴史上最も重要なサミットになると意気込みを語っているのだが、外交大惨事になりかねない事態が発生している。日本は軍拡に向けて邁進しているとする内容の記事がTIMEに掲載されて出回っている。官邸の稚拙な危機管理から「内容修正」を試みたことでさらに悪人顔の表紙がバラまかれることになった。国内でも「政治ニュース」に格上げされてしまったからである。TIME誌がどこまで計算していたのかはわからないのだが、宣伝効果は抜群だっただろう。

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アメリカの保守論壇に大きな影響があったFOXニュースのタッカー・カールソン氏が突然姿を消す

日本のネット保守論壇は元総理大臣をはじめとする政治家の主張がネット経由で拡散するという形式だった。アメリカはケーブルテレビのキャスターが「問題」を作り出し、ネットで広がり、それを政治家が採用するという形になっている。この台風の眼の一人だったタッカー・カールソン氏が突然FOXニュースから姿を消した。訴訟リスクを恐れて姿を消したのではないかなどと言われているようだが詳細は明らかになっていない。

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ナッシュビルのキリスト教系私立学校で銃撃事件を起こした人はトランスジェンダーだったようだ

ナッシュビルのキリスト教系私立学校で銃乱射事件があり子供3人を含む6人が亡くなった。犯人はこの学校に通っていた女性であると伝わっているがこの人はトランスジェンダーだったようだ。

BBCは「トランスジェンダーを自認していた」と毎回きちんと書いているがCNNなどのリベラル系のメディアではかなり配慮しているところがある。今回はこの事件について調べ、トランスジェンダーであるということをどの程度扱うべきだったのかということについても考える。

最後に「おそらくこれはTBSの誤報なのだろうな」という表現についてもお伝えする。微妙な問題を扱っているので「ここは違っているのではないか」という点についてはコメント欄などでご指摘いただきたい。

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全く注目されなかった城内実議員の「ウクライナが正しいと考えるのはむしろ少数派」発言の意味

少し前なのだが、ポストセブンが興味深い記事を書いているのを見つけた。城内実議員がオフレコで「同性婚はウクライナが正しいという人と同じで少数派」と発言したというのである。最初は意味がわからなかった。だが、考えているうちに「神道系保守層の意見を代弁しているのかもしれない」と感じた。彼らとってみれば「アメリカへの協力」というのは単なる便宜上のものに過ぎないのだろう。つまり本心ではウクライナ支援も納得していないということである。

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岸田総理が日韓関係正常化に向けて「保守離れ」を試みる

唐突な記事だった。「在日コリアンへの連帯表明検討 首相、宇治市のウトロ祈念館巡り」と共同が書いている。支持率アップを目指して子育て支援を表明したり、LGBT問題について触れてみたり、何かと忙しい人だなと感じた。だが在日コリアンには今の所は国政参政権がなく票田にはならない。いったい、岸田さんにはどんな狙いがあるのだろう。

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「価値観」を軽視する岸田総理はそろそろ外交上も問題になり始めているのかもしれない

BBCが「岸田首相、同性婚を認めないのは「国による不当な差別でない」と発言し批判される」という記事を掲載している。国内から批判の声が相次いでいるという書き方なのだがこれはBBCが批判的に見ているというのとほぼ同じ意味だろう。「みんなが言っていますよ」という日本人もよく使う手法だがBBCも同じようなことをするのだなと思った。

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国民民主党と自民党の連立交渉が暗礁に乗り上げたのはなぜか

国民民主党が予算案に反対することを決めた。政治を知らない人は「なぜ議論の前に結論を決めるのか」と違和感を覚えるだろう。自民党と公明党が多数派であることは変わりないためこのニュースは自民党と国民民主党の連立が破談になったサインとして報じられた。ではなぜ連立構想はなぜ生まれ破談したのか。玉木氏と岸田氏の両面から考える。

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