自民党憲法草案の深刻な欠陥

Twitterで、憲法を改正するんだったらどんな項目がいいかというようなタグが流れてきた。最初に面白半分で考えたのは、国会議員に結果責任を負わせるように憲法を改正するというアイディアだった。
だが、いろいろ考えているうちに、全く別のことが気になり始めた。国会議員は自分たちで始めた戦争にどのような結果責任を取るのかという問題だ。今の制度下では国会議員はいかなる責任も取らなくてよい。実際に責任を取らされるのは現場の自衛隊員である。例えば、サイコパスが首相になれば、自分たちの政治的利益のために自衛隊を政治利用することができてしまうわけである。
では、国会議員を戦場に送り込んではどうかと思ったのだが、これはこれで別の問題を生み出す。つまり、軍人が政治家になるということになってしまうのだ。これは軍部の膨張を招くだろうし、作戦の失敗の責任を回避するために課題な予算を要求するということになりかねない。戦前の失敗が繰り返される。
ここまで考えてきてふと思った。自衛隊員(あるいは軍隊)が庶民院(つまり衆議院のことだ)の言うことを聞くのはなぜなのだろうか。平安朝の昔、武力集団が貴族に従っていたのは、彼らが貴族より下等な存在だと見なされていたからだ。だが、その状態は長くは続かなかった。武力集団はやがて武士となり、貴族の影響を排除して幕府政治を始めることになった。現在の自衛隊は国会議員より格下だと見なされているわけだが、その状態が長く続くためには保証が必要である。
軍隊は武力蜂起ができる。現在の制度下で抑止力として機能しているのは、実は米軍だろう。もっと端的に言えば、米軍が持っている核が自衛隊の暴走を抑えているのだ。
もっと、考えを進めてゆくと、日本で非軍人が統治を担うようになってからの歴史は、わずか70年に過ぎない。もともと天皇家は武力集団だったわけだし、武士は私兵集団が軍事組織化したものだ。明治維新になっても軍隊は国会や内閣の指揮下には入らなかった。もともと薩長土肥は武力集団なので、藩閥政治が終わるまでは武人政治が続いていたことになる。
自民党を中心とする庶民院の人たちが、武人政治の影響下に入らなかったのは、米軍が日本の軍事組織を解体し、藩閥からなる貴族社会を崩壊させたからだ。故にエクストリームな人たちが言っている「本来の日本の政治」というのは、自民党や民進党などの政党が支配する政治ではない。政党は庶民から権力を与えられているに過ぎないので、その権威を否定してしまうと、庶民院そのものの権威が喪失してしまう。つまり、それは民主主義を放棄して武人政治に戻るということなのだ。
憲法第九条を奉っている自称リベラルな人たちは夢想的だ。だが、教育勅語さえ与えていれば国民は自分たちに従うだろうと考えるのも同じように夢想的である。軍人たちは自分たちなりの利益があって天皇制を支えているわけで、決して黙って犠牲になろうとは思っていないはずなのだ。軍人が特攻したのは、パニック期の例外現象なのであって、常態ではない。国家総動員態勢もせいぜい1940年頃から5年程度の異常事態にすぎない。
安倍首相の外祖父は「革新官僚」だった。これは官僚による革命思想だが、5年程度しか保たなかったことになる。孫も革命を指向しているようだが、この権力は正当性の根拠のない革命と言える。せいぜい10年程度しか保たないのではないだろうか。
天皇が元首であり、その権威の下で文民が軍隊を睥睨するべきだなどという人がいるかもしれないが、天皇は反徳川勢力の武人に担ぎだされた君主に過ぎなかった。形式上は指揮官なのだが「自分の兵隊」を持っていない存在に過ぎない。もし、天皇を実行力のある権力にしたいのなら、天皇を軍人にし、人事権を掌握させなければならないことになるだろう。
つまり、政党が絶対的な権力を持ったまま、天皇にも権力を掌握させず、軍隊を保持するなどということはとてもできそうにない。欧米のいくつかの国では文民統制が機能しているとはいえ、それはきわめて例外的な姿だ。少なくとも日本にはそのような歴史はない。
例えば、アメリカではなぜ軍隊が政治の実権を握らないのだろうか。それは、州には兵隊がおり、連邦軍とは別建てになっている上に、国民が民兵組織を作って政府に対抗することが憲法レベルで認められた共和国だからだろう。その上、軍隊は国民の税金で食べさせてもらっている。予算が止められてしまえば活動ができないのだから、民衆に歯向かうのは得策ではない。国民はスポンサーなのだ。
最近「自民党が参議院選挙で勝ったらどうなるか」という検索キーワードで流入がある。普通に考えると憲法改正議論が盛んになり、いわゆる「立憲主義」が破壊されてしまうという未来が予想できる。自民党の政治家は、政権を放逐した国民に報復したいと考えており、民主主義を敵視している。と、そこまでは間違いがなさそうなのだが、これは同時に自民党が依って立つ権力の源泉を否定することになる。つまり、これは過渡的状態だということになるだろう。
もし仮に左派が心配しているように貧乏人が軍隊に駆り出されるようになったらどうなるだろうか。不満分子に武器を与えるというのと同じことだ。彼らが軍隊内で出世すれば、政権にとっては危険な状態になるだろう。逆に二等兵レベルをこうした人たちで構成すれば、軍事的なオペレーションが不安定化するに違いない。
そこから先に予想されるのは、新しい権力構造の創出だ。多分、その中心にいるのは自民党ではないだろう。つまり、政権交代のない権力構造を作ろうとすると、別の非民主的な形で政権交代が起ることになるのではないだろうか。
だが、このようなことは起りそうにない。軍人が支配する体制のコストは大きい。生産性が著しく阻害されることになる。典型的な例が韓国だろう。韓国はかつて軍人大統領が支配する社会だったが、民主化運動が起こり治安が維持できなくなった、韓国が先進国の仲間入りをしたのは、民主的な政権ができてからだ。同じことは北朝鮮でも観察できる。タイやエジプトのように軍隊が民主主義の欠陥を補う社会はなかなか先進国入りができない。
近視眼的に見れば、自民党が勝つことは立憲主義や民主主義の行き詰まりだと言えるのだろうが、結局のところ、国民が持っている潜在的な成長力を統治者が活かしきれなくなっていることを意味しているに過ぎないのだろう。そこで国家社会主義的(あるいは国民総動員的)な発想での経済成長を模索してしまうのだ、といえる。自民党の憲法草案はその意味で大局観を失っていることになる。

EXILEのダンスとジャニーズのダンスはどこがちがうのか

テレビ東京で4時間の音楽番組をやっており、そこにEXILE系のグループ「EXILE SECOND」が出てきた。常々、EXILE系の人たちの踊りはジャニーズと違っていると思っていたのだが、何がどう違うのか分からない。Yahoo!知恵袋で聞いてみたのだが、そもそもこの話題に興味がある人もいないらしい。体系的な研究はないようだ。
ジャニーズのダンスは伝統的な「歌謡曲ダンス」らしい。曲全体に流れがあり、動作が止まらない。源流をさかのぼるとバレエに行き着くのではないかと思う。全体的に優美に見える動きが多い。一方でEXILEのダンスには直線的な動きが多く、動作に切れ目があるようだ。リズムによるメリハリが付く。偏見だけでいうと「ストリート」というか「アフリカ系」の踊りなのではないかと思う。キーワードが断片的に浮かぶだけなのだが、ランニングマンはヒップホップであり、ヒップホップにはアップとダウンという二種類の相があるということである。あまりにも雑駁な感想なのだが、リズム重視なのは間違いがなさそうだ。
EXILEのダンスは組体操のように見える。日本人は生真面目なので、直線的なダンスを揃えてしまうのだろう。多分、アメリカ人はそこまで集団でダンスを揃えるという発想を持たないのではないかと思う。三代目 J Soul Brothersのダンスを見たが威圧的なのも特徴だ。足を大きく踏ん張って相手を脅かしてみせる動きが多い。これもストリートの影響なのではないかと感じた。
意外なことに踊りに着目すると、最近のジャニーズはあまり踊らないらしい。関ジャニ∞のダンスは途中で切れていた。昔のジャニーズのダンスがデザイナーが制作したブランドものの服だとすると、最近のジャニーズの踊りはカジュアル服のようだ。パーツパーツは印象的だが、全体としてはまとまりのない「振り」がダンスの代わりに使われている。
これが当たり前になると、却って本格的な踊りが時代錯誤に見えるようだ。なぜかSMAPはテレビ東京の番組には参加しないのだが、木村拓哉がきれいにダンスをすると「古くさいなあ」と思われたのではないかとすら思う。
かといって、ダンスのカジュアル化はジャニーズの踊り手が「ダンスができなくなった」ということを意味しないだろう。国分太一は普段は踊らない(キーボードなので踊れない)のだが、シブがき隊の一員として昔風のダンスをこなしていた。その他のジャニーズメンバーも基礎があって崩しているというところなのではないかと思う。
一方、その対極にいるのがAKB48グループだ。そもそもかわいい動作をさせることに力点が置かれている上に、ダンスの基礎もなさそうである。日本のダンスはこうした人たちでもそれなりに見せられるように進化してきたのではないかと関心した。
その点、E-Girlsは、胸を強調してみたり、足を開いてみたりと、大きくセクシーに見えるような動きが目立つ。体のコントロールという意味でも難易度は高そうだ。
ただし、日本人は男性も女性も幼形成熟を好むという印象がある。このE-Girlsはどのようなターゲットを意識しているのかよく分からない。男性が大人の女性を恋愛対象にするとは思えないし、かといって女性がE-Girlsのダンスをまねるのもなかなか難しそうである。
いずれにせよ、日本のダンスがどのような体系と歴史を持っているのかについて研究した人は多くなさそうだ。調べてみると面白いのではないかと思うが、多分踊れる人は実際に真似して踊ったほうが楽しいのかもしれない。

計算し尽くされた自民党の演劇的な政治

自民党の参議院選挙キャンペーンがうまいなあと思った。青い空をバックにした安倍晋三首相が出てきて明るいメッセージを流したうえで、何やら数字をだし、世界の首脳と語り合う写真を使っている。15秒のCMでは印象しか残らないので、全てがうまく行っているような気分にさせられる。
メッセージは単純だ。「あの暗い時代がいいのか」「それとも今のような状態が良いのか」という二択だ。日本人はバブルが崩壊してから「日本は変わらなければならない」と考えてきたのだが、それが「あれは暗い時代だった」ということにされてしまっている。大げさに言えば歴史を改ざんしているのだ。
安倍首相はかなり印象操作を勉強しているようだ。ポスターの作り方や手の使い方などに、アメリカ流の大げさな演出を感じる。ゆっくりと切って話すのも計算されたスタイルだろう。野党の議員が高音の早口でまくしたてると「序列」が作られてしまう。高音の早口は弱者のむなしい抵抗に聞こえる。視聴者は議論の内容など分からないのだ。
一方、民進党のメッセージは悲惨なものだ。岡田党首が表情が暗いのは仕方がないとして、民進党の基本的トーンが暗いのは2つの理由があるだろう。安倍首相を批判する立場から現状を暗いものと捉えざるを得ない。また、民進党は政権担当を前提とした組織であり、存在に対する危機感もあるのだろう。だが、視聴者の間には印象しか残らないので「民進党=暗い」という印象しか残らない。
Twitterを見ていると左派のトーンは暗い。世論が付いてきていないという焦りのようなものがあるのだろう。だが、このトーンが却って右派が正義で左派は抵抗勢力(かつ弱者)という印象を強めている。つまり、左派がメッセージを発すれば発するほど、右派(つまりは改憲勢力とされている人たちだ)に有利に働くことになる。
確かに、自民党の手法は演劇そのものである。言ってしまえば、単なるプロパガンダだ。だから騙される国民が悪いということになる。しかし、国民が印象にやすやすと騙されてしまうのもまた事実である。人はなんとなく景気が良さそうな方向に誘導されてしまうのだ。これは2009年にテレビが大々的に自民党を叩いたのと同じ図式である。あのときには民主党の議員たちが「地方分権」などの改革について訴えていたが、実際には全く中身がなかった。財源が手当できなければ後で謝れば良いという実力者さえいたのだ。
このプロパガンダ合戦は実は民主党が始めたものなのだ。これを下野した自民党(正確には安倍首相)が模倣したのだろう。一度火がついてしまったわけだから、これに追随せざるを得ない。
つまり、民進党も演劇的な手法を駆使したCMを作り、メッセージを発信する必要がある。演劇的に自民党を悪辣にしたて上げる手法はいくらでもあり、そうした映像表現に長けた演出家もたくさんいるだろう。相手を徹底的に悪役に仕立てつつ、自分たちの権威を演出するような手法を開発しなければならない。岡田党首はまじめそうなので、ネガティブキャンペーンには頼りたくないのだろうが、負けてしまっては何もできなくなる。
とはいえ、これは果てしない演出合戦であり、何の成果ももたらさない。起点になっているのが、約束事を平気で破る政党なので、それに対抗しようとする政党もすべて演劇合戦に巻き込まれてしまうことになる。政治をまじめに捉えて消えてしまうか、果てしない演劇合戦を繰り広げ消耗戦を展開するかの二択ということになるだろう。
日本はそうして政治的な資源を消耗して行くのだろうと思う。先進国の政治は軒並みこうした演劇的な政治に翻弄されている。SNSではヘッドラインだけが消費され、適当に加工されており、自己実現的な予言が蔓延している。これがどうやったら終わるのかと考えたのだが、壮絶な演劇合戦の結果、国民がかなり痛い思いをしなければならないのかもしれない。
 

東シナ海の緊張 – 参議院選挙の隠れた争点

参議院選挙、都知事選、イギリスのEU離脱で盛り上がっている裏で、かなり重要な事件が起きているようだ。元航空自衛隊空将の織田(おりた)邦男氏がブログで「東シナ海で中国軍が日本の自衛隊機に攻撃動作を仕掛けた」と発表し、毎日新聞が取り上げている。防衛省幹部が事実と認めたのだそうだ。その後、毎日新聞は両国政府がこれを認めなかったと再度報道した。様々な意味で、きわめてきな臭いことになっているようだ。
この件に関しては6月29日に一度書き、両国政府が認めなかったという記事を読んで再度書き直した。
可能性はいくつかある。

  • 実際に衝突が起きたが、政府が隠蔽した。
  • 実際に衝突は起きなかったが、何らかの政治的意図があり情報を流した。自衛隊が参議院選挙で共産党への拒否反応を引き出すために、わざと偽情報を流した。

なぜ政府は情報を隠蔽する必要があるのだろうか。実際には日本政府には衝突に対する手だてがなく問題を放置しているという疑いもある。放置しているのは、官僚機構ではなく政治家側だろう。自民党とその支持者たちは口では勇ましいことを言うのだが、実際にはこの問題に無策かもしれない。アメリカに訴えてみたのかもしれないが、アメリカはこの問題に対してとても慎重だ。尖閣諸島のような「小さな」海域のために、日中の衝突に巻き込まれることを恐れているからだ。
自衛隊員の命が毎日のように危険に晒されているというのが事実だったとして、日本政府がそれに無策だったなら、現場隊員の危機意識は高まるだろう。そこで、OBを通じて危険をアピールするというようなことが起きているかもしれない。
もちろん中国が日本の領土を狙っているというのも危険だが、現場の自衛隊隊員の不満が高まっているというのも危険なことだ。防衛省と自衛隊は憲法上の制約から他の役所のようには発言できない。しかし、やはり人間が働いている組織であり「認知されず面白くない」という感情も働くだろう。性質上、感情的な抑圧が働きやすい環境だと言える。
一方で、自衛隊員や元自衛隊員が憲法第九条の改正を狙って「カジュアルな嘘をついた」という可能性もある。政治的には中立であるべきなのだが(憲法上、非常に微妙な立ち居位置にいるので)政治的に影響力を及ぼさないように最新の注意を払うべき存在なのだが、それが分からなくなっている可能性もある。
よく、右翼系のブログなどで「中国には確固とした態度を取るべきだ」などと紋切り型の文書を目にすることがある。正直「アホなんじゃないか」と思う。実際には日本は単独では何もできないからだ。実際の自民党・公明党政権には何かあったときに日本人の命を守る覚悟などなさそうだ。その証拠にジャーナリストも北朝鮮の拉致被害者も返ってこない。反対に、自衛隊が自分たちの立ち位置を忘れ、政治的影響力を及ぼうそうと言う野心を燃やし始めたとも考えられる。
最初の報道は「戦争法というレッテル貼りがいけない」などと、野党攻撃に使われ始めたが、たいして盛り上がらなかった。今度は逆に「選挙になると中国脅威論が盛り上がる」という人が増えている。実情はそんなに単純なものではなさそうだ。確かに憲法第九条だけで平和を守ることはできないのだが、同時に日米同盟があれば何をやっても平気ということにはならないのだ。

労働移民に寛容な自民党と経団連

現在、イギリスの国民投票を巡って様々な困惑が広がっている。さまざまな観測が出ているが、高齢のイングランドの地方在住者たちが移民の増加を嫌ったことが影響しているという見方が一般的なようだ。
一方で、日本の地方の高齢者たちは労働移民に寛容らしい。少し古い記事だがTPPを推進する経団連の当時の会長が「日本TPPに参入し、労働移民を取り入れるべきだ」と主張している。「経団連会長、TPP「人口減少で影響、移民奨励すべき」 (2010.11.8)」記事の出元はリテラではなく日経新聞である。つまり、自民党を支持することは、将来の移民流入を承認することになる。

経団連は安い労働力を欲しがっている。その方が企業運営に有利だからだ。TPPはアジアや南アメリカといった比較的物価と人件費の安い地域を含んだ経済連携だ。こうした国々に出かけていって工場を建てるよりも、地元に誘致したほうが楽なのだ。だから経団連の主張には経済合理性がある。公共工事への海外企業の参入も促進されるので、例えばアメリカ企業がベトナム人労働者を使って公共事業を取り仕切るというのも一般的な光景になるだろう。

自民党の支持者はどちらかというと、日本の民族の純粋さを希求する人たちだという印象があるのだが、それは間違っているようだ。実際の自民党支持者たちは、経団連などが支持している政党を応援することで自由な移民政策を推進している。つまり、自分の子供や孫たちが海外からの労働力と競合する未来を選択しているということになる。かなり自信があるのだろう。

賢い人なら分かるだろうが、人の往来の自由を制限しつつ、市場へのアクセスなどできるはずはない。これはヨーロッパの例から見ても明らかだ。移民の制限をしようと思えば、ある程度経済市場へのアクセスを諦めざるを得ない。途中で脱退することも可能なのだが 、ペナルティはかなりシビアなものになるはずだ。脱退への制裁を覚悟すべきである。それでも前に進もうというのだから、その勇気は相当のものである。

新しい移民政策は、現在のものよりも人権に配慮した物となるだろう。現在は南米の日系人(偽装している人たちも多いようだが)を受け入れたり、研修生という名目で短期間低賃金労働に従事させ、使い倒した上で放り出したりしている。一部は逃げ出して闇市場で働いているのだからほとんど奴隷と変わりはない。自由に労働市場にアクセスさせるということだから、福祉や労働者保護にもアクセスさせることになるだろう。雇い入れておいて「病気だから放逐する」というわけには行かないはずだ。

中には、こうした事情を知らずに共産党や民進党が嫌いだからという理由や、近所人に頼まれたという理由だけで自民党を選ぶ人もいるかもしれない。しかし、それは一部のあまり賢くない人だけだろう。これだけ情報があふれているのだから、将来日本に移民が流入してきたときに「私は知らなかった」などとは言えない。もしそう主張するとしたら、よほどの情報弱者だろう。

中国や韓国人を嫌う人が多い印象のある安倍政権支持者だが、移民政策には寛容なのだなということが分かる。これは実に意外なことだ。

自民党、公明党、民進党ともにTPPには反対していない。つまり、労働市場の自由について寛容でリベラルな政党が揃っていることになる。ヨーロッパやアメリカでは労働市場から移民を閉め出したいという動きがかなりでてきているのに比べて、日本の移民を巡る考え方はリベラルになったものだなあと思う。

セキュリティ上の危機を見逃すマスメディアの愚について考える

佐賀県の学校で作っているシステムが無職の少年(17歳)に侵入された。奪われたのは個人情報や背成績などだ。少年は独学でシステムを学び「最新鋭の」システムをハックした。この他にもネットでB-CASカードのハッキングなどを行っていたそうだ。不正に取得した成績は小学校時代の友達と共有されていた。システムの脆弱性はすでに修正されているとのことだ。
報道各社は画一的にこのニュースを伝えているのだが、これは大変愚かなことである。とはいえ、その愚かさに気がつかない人も多いのではないだろうか。
少年は17歳だった。無職とされていることから学校には通っていないようだ。一方で、独学でシステムのセキュリティについて学んでおり、ハッキングに成功している。第一の疑問は、なぜスキルのあるこの少年に仕事がなかったのかという問題だ。
学校には様々なカリキュラムがあり「プログラミングだけを学びたい」というニーズには対応してくれない。だが、日本では学歴がなければまともな仕事につくのは難しい。加えて佐賀県は九州の端に位置しており、たいした産業はなさそうだ。さらに、仕事にありついたとしても日本のIT産業はIT土方と呼ばれており、あまり魅力がない。そもそも仕事がなく、さらにあったとしても少年の知的好奇心を満たすほどの質がなかったことが容易に想像できる。
つまり、日本の産業構造は才能を活かさず埋もれさせていることになる。開発途上国ではこうした人たちは埋もれているだけなのだが、先進国にはリソースがいくらでもある。だから、不正もできてしまうのである。
次の問題はシステムの脆弱性についてだ。「脆弱性」には三つの可能性があるだろう。

  • 第一の可能性はシステムそのものが脆弱だったというものだ。「最新だった」ということだが、公開を前提にセキュリティ管理されていなかった可能性がある。
  • システムそのものは堅牢だったが、脆弱性のチェックに予算がかけられなかった可能性がある。デバッグには人手がかかるのだ。
  • 最後の可能性は、安全対策がめちゃくちゃだったというものだ。パスワードがずさんに管理されていたり、デフォルトのままで使われているなどが挙げられる。システムが堅牢であっても、運用がずさんであればセキュリティレベルは低下する。

17歳のいたずらで破られるということは、例えば中国人が集団でハッキングをしてくれば、容易に破られてしまうであろうことは想像に難くない。同じようなベンダーが国家機密や個人情報に関わりそうな(例えばマイ・ナンバーなど)ネットワークにも潜在的には同じような脆弱性があるのかもしれない。「マイナンバーは気をつけているだろう」と思いたいのだが、実際に運用するのは村役場の職員や臨時職員かもしれないのだ。コンピュータ教育を受けていない可能性は十分にあるだろう。
そう考えるとこれは国防問題なのだが、報道を見ていると「少年のいたずら」に矮小化されていることが分かる。日本人のセキュリティに関する意識は第二次世界大戦中のものとあまり変わっていない。つまり外国の軍艦が大挙してやってくるのが「国防上の危機だ」と考えているのである。
この問題には少なくとも2つのセキュリティ(国防)上の問題がある。

  • スキルのある少年がやることもなく犯罪に走るしかない。潜在的な不満分子と言える。
  • コンピュータシステムが脆弱でリスクを検証する仕組みも整っていない。外国からみると格好のターゲットになる。

それを見過ごして型通りの報道に終始する人たちは、愚かとしか言いようがない。

参議院選挙・各政党を比べる

参議院選挙関連のあれこれを聞きながら、政党の長所・短所をまとめた。雑感は次の通り。

  • 新興国並みとは行かないまでも、欧米で実現できているような経済成長を目指す政策や産業界とのつながりを持った政党がない。経営者的な良識を持った人たちは選挙から離脱しており、深刻な状態と感じる。
  • 非正規雇用者などを代表する政党もない。有権者の自己認識と現実の間に深刻なずれがあるのだろう。
  • 全ての政党になんらかの懸念事項があり、手放しで応援できそうな政党がない。
  • そもそもマニフェストが「票欲しさ」であとでいくらでも変更できる約束集と化しており、議論そのものも「新しい約束」という言葉で覆されてしまうほど意味がないため、選挙自体が無意味なものになっている。
  • かといって、選挙に行かなければ今の状態が続くことになる。

各政党についての雑感は次の通り。

自民党

  • 官僚や利益団体とのつながりが太く、日本を安定させるためには最善の選択肢と言える。
  • 基本的には何もしないことで失敗しない(安定した)政治を実現している。
  • 中央集権が強いので、強い党首の指導力のもとで安定感がある。
  • 党派対立を経て成長を指向する経済政策を失ってしまった。
  • 基本的には大企業よりなので、非正規労働者を含む労働者にとっては最善の選択肢とは言えない。
  • 日米同盟依存であり、実はこれといった対中国戦略を持っていない。
  • 野党時代のルサンチマンに満ちた憲法改革案を未だに保持しており、議会と民主主義を理解しているようには見えない。党内に基本的人権を軽視する過激な思想が蔓延する。復古主義的な団体とのつながりが指摘されており、国民の主権が制限される可能性が高い。
  • 政治倫理に欠け(あけすけに言えば党首が嘘つきである)現在の政治不信の原因を作っている。

民進党

  • 公共投資より子育てなどの福祉政策を前進させようとしている。
  • 民主主義を理解していない現与党を抑制することができる唯一の現実的な選択肢だ。
  • 基本的には大企業よりなので、中小企業の労働者や非正規労働者にとっては最善の選択肢とは言えない。
  • 党内に右派・左派が同居しており、政策合意ができそうにない。党内に政策をまとめるシステムがないので、方向を決めるたびに、Twitterなどで反対表明が出る。候補者に直接聞いてみないと「右派・左派」どちらかなのかが分からない。
  • テレビポリティクス(短期的に争点を作り政権批判をする)に依存しており容易に脱却できそうにない。
  • 党首が暗く、見ているだけで絶望的な気分になる。

公明党

  • 地域にネットワークがあり現実的な諸問題を解決してくれる可能性が高い。
  • 自民党を政権内部から抑制する力を持っており、おおむね役割を果たしている。
  • 母体が宗教団体であり閉鎖性が高い。支持母体と党ともに官僚化が進行しつつあり、支持者が一部離反している。支持母体が高齢化しているとも言われる。
  • 一部の支持者が熱心な「布教活動」をするために拒否反応を持つ有権者も少なくない。

おおさか維新の会

  • 地方分権という経済活性化策を唯一維持している。
  • 地方自治体を統治した(あるいは現在している)実績はある。
  • 教育の無償化をテコに憲法を改正しようというポピュリスト的な一面がある。
  • 民進党を攻撃してみたり、自民党を攻撃してみたりと、オポチュニスト的な側面が強い。

共産党

  • 地域にネットワークがあり現実的な諸問題を解決してくれる可能性が高い。
  • 民主主義を理解していない現与党を抑制することができる。
  • 分配政党であり、経済成長に対する理解がない。大企業の税負担を増し、軍事費を削減するというのが唯一の経済政策である。
  • 非正規雇用者が支持すべき選択肢だが、当の非正雇用者は弱者扱いされたがらず、政治にも関心がなく、アクセスできていない。『蟹工船』に代表される貧乏なイメージがある。
  • 天皇制の廃止、日米同盟の廃棄、自衛隊の解体など、現状維持を望む国民から支持されない政策を維持している。
  • もともとの支持母体だった共産主義者は高齢化している。

生活の党と山本太郎と仲間たち

  • テレビの討論番組では山本太郎参議院議員がよいキャラを出している。
  • 実際には自民党の派閥争いに破れた小沢一郎衆議院議員が左派の主張を取り入れた政党であり、立ち位置は民進党と同じ。
  • と、いうことであまり興味が持てない。

社民党

  • 沖縄の不満に対する唯一の受け皿になっている。
  • 社会主義・共産主義は既に「終わった主義」だが、そこから脱却できない。にも関わらず共産党との党派対立があり、大局的な団結も難しいようだ。
  • 分配政党であり、経済成長に対する理解がない。大企業の税負担を増し、軍事費を削減するというのが唯一の経済政策である。
  • 党首が暗い。

日本のこころを大切にする党

  • 公共工事頼みでまともな経済政策がない。多分、考える意欲もなさそうだ。
  • 自民党にすら在籍できなくなった過激な(元)政治家の集まりになっている。
  • 「消費税ポイント制」という?な政策を掲げている。年金や税についての基本的な理解がなさそうな上に「ポイントを付ければ消費者がなびく」と考えているあたりに深刻な時代とのずれを感じる。

新党改革

  • 表現の自由派にとっては唯一の選択肢。投票数が少なければオタクや若年層は票にならないという評価が広がるだろう。
  • 参加する候補者がほとんど素人である。
  • アベノミクス支持だが、脱原発というポジションは政策実現性がなさそう。
  • 政治家は外見のさわやかさで判断されることが多いが、背が低く声が低い党首というのはなかなか厳しい。

国民怒りの声

  • 本気で議席を取りに行く雰囲気ではなさそう。
  • 「現政権が気に入らない」以外の政策がない。
  • 党首に感情的なつながりを作る力がなさそう。話が退屈に聞こえるので、支持を集めるのは難しそうである。
  • 党首をブレーンにできなかった野党側の力量不足が残念ではある。

支持政党なし

  • 知名度がない。
  • 政党政治の基本を放棄している。欠点とも言えるのだが、政党が信頼できず、都度判断したいという人には選択肢になる可能性があるかもしれない。

自民党のつく嘘が大好きな日本人

自民党の稲田朋美議員が「自民党の憲法草案は」国民主権・基本的人権・平和主義を遵守していると発言した。この人は相変わらず息を吐くように嘘をつくなあと思った。自民党の安倍首相に近い一派は野党時代に国民主権・基本的人権・平和主義こそが諸悪の根源だと主張しており、未だに撤回していないからだ。自民党の憲法草案にはこれまで国民が自民党の統治の邪魔をしてきたというルサンチマンが渦巻いている。
こうした嘘つきが跋扈するのは国民が安倍政権を甘やかしているからだ、なんとかしなければならない。……と、数年前なら書いていたと思うのだが、現在はそういう気分になれない。普段から観察していると、どうやら国民の方から騙されたがっているからだ。
自民党がついている嘘にはいくつかあるのだが、おおむね通底するメッセージは一つだ。それは「今のままで大丈夫。あなたたちは何もしなくてもよい」というものである。NHKは「約束した全ては実行できないものの、アベノミクスの果実を分配する」と言っている。だがこれは「安保法制で動揺した国民をなだめるためにいろいろ「議論」と称して約束をしていたが、全て反故にする」というのと同じことだ。
これは「国会の議論などは儀式に過ぎない」というあけすけなメッセージになっている。つまり、選挙公約も全て「嘘になるかもしれない」ということになる。与党ですらそうなのだから、野党も嘘を書いた方が得だ。聞きたいことを聞かせてやって「自民党が反対しているから」と言った方が受けがよいし、辛い現実を突きつけても有権者が離反するだけだからだ。つまり、全てのマニフェストは無効なのだ。
NHKは国民が一番ほしがっている物を提供する。それは安心感だ。これを受け取った人は「ああ、暮らしは今まで通りだが負担は少なくて済むのだなあ」などと思うに違いない。徐々に悪くなっている分には気がつかないし、将来不安は直視したくないのだろう。
人の信任を得たかったら、相手がほしがっている物を与えるのがよい。自民党が取っている「戦略」は嘘でもいいから相手が欲しい物を与えるというものだ。ただそれが嘘だったとき、それでも、相手がほしがっている物を与えるのがよいのかという疑問が残る。

沖縄はどのように日本から分離独立すべきか

テレビで沖縄の女性が「本土は加害者だ」と言っているのを見た。米軍基地のほとんどを沖縄に押し付けているからだ。これは正しい見方だ。昨今、分離独立がトレンドなので、とっとと日本からの分離独立運動を展開してみてはどうかと思った。
沖縄県が独立するには経済的には難しそうだ。中国と対峙しており防衛費がかさむ上に、これといった産業がないからだ。独立すれば中国かアメリカの従属国として庇護してもらう必要があるのだが、日米は沖縄が中国の従属国になるような動きを許容しないだろう。
そう考えると、沖縄にとって一番良いのは、アメリカの一部になることだ。アメリカは基地を失わずに済むし、日本は中国の伸張を防ぐことができる。日本からの独立手続きを定めた法律はない(そもそも自分たちの意志で日本の一部になったわけではない)のだが、アメリカが「寄越せ」と言えば文句は言わないだろう。
公用語が英語になればコールセンターなどの需要は爆発的に膨らむだろうし、米国本土にも自由に出入りができるようになる。夢想だという人がいるかもしれないのだが、ハワイと沖縄の人口はほぼ同じなのである。
ネックになりそうなのは経済だ。沖縄のGP(refecture)PはハワイのGS(tate)Pの半分強しかない。ほぼワイオミング州と同じ最低レベルだ。その場合にはプエルトリコのような形態が考えられる。プエルトリコは300万人以上の人口があるということである。沖縄が貧しいのは日本の施政下にあるからかもしれない。
アメリカは基地を確保できるので変化はない。沖縄は本土並みの保護を得られるのでセキュリティは増す。基地の外も中もアメリカの司法下に入るからで、州のステータスが得られれば法律を作ることもできる。これまでのように無駄と分かっていながら陳情を求めるということはなくなるのだ。
ここまでは数日前にだらだらと考えていたことなのだが、沖縄独立を考えたとき、最大のネックは日本の存在のようだ。沖縄に基地を置き「日本を守ってやっている」ことにしておけば日本から協力費が得られる。沖縄が米国の領土になるとアメリカはこれを失うことになり、沖縄の基地を自前で維持しなければならなくなる。いわば「用心棒をしてやるから飲み食いはおまえ持ちでな」と言われているのと同じことなのだ。比較的平和な地域でリゾートのような状態なのだが、それでもいるだけでお金が貰える。アメリカに取って割のよい商売である。
もちろん、これはアメリカがこの地域に関心を持っており、基地を置くことに「経済合理性」があると考えたときにのみ有効な構図と言える。アメリカでは最近「世界の警察をやめて米大陸に引きこもろう」という動きが出ている。過激な人の中には「国連から脱退すべき」などという人もいるらしい。

年金を株式市場から引き上げるべきか

イギリスのEU離脱騒動で株価が大きく下がった。日本の年金資金が株式市場に流れ込んでいるため「かなり損が膨らんでいるのではないか」と言われている。問題なのはいくら儲かっているかということがよく分からない点である。野党(特に民進党)は年金資金を株式市場から引き上げるべきだと主張している。
だが、これは間違っている。調子がよい時に株に投資し、調子を崩した時に株から引き上げれば、損が確定してしまうからだ。なけなしの資金を全て株式に投資した結果、値下がりすると怖くなって引き上げてしまうというのは、お金がない人の典型的な行動だ。さらに大量の資金を引き上げてしまえば株式市場はさらに混乱するだろう。実態経済を不況してしまうことになる。
民進党が近視眼的に「アベノミクスは間違っていた」と言いたいがために、自身の発言が何を引き起こすのかが分からなくなっているんどあろう。これに世論が呼応すれば(反応するかは分からないが可能性はある)人民裁判的に(つまり、ろくな議論をしないまま)で投資動向に影響を与えることになり、経済に深刻なダメージを引き起こすかもしれない。現在の市場はパニック状態にあり何が起るか分からないのだ。
民進党が間違っていることは論理的に説明できたが、ではこれは安倍政権が株式市場依存に陥ったことを正当化する物ではない。巨額の資金を使って株式市場の価格を維持しようとしたという疑いが持たれており、もしそれが正しかったとすると、それは明らかに間違っており危険な選択肢だ。そもそもいったん株式市場にコミットしてしまうと資金が引き上げられない。株式市場は複数ある選択肢の一つではない。これは明らかに危険だ。
問題は、国内市場が成長しないため国内株式市場や債券市場で高いリターンが望めないことと成長が見込める新興国経済が過剰投機の対象になっているということだろう。これを解決するためには日欧米の先進国が投資環境を整える必要があるのだが、安倍政権は何もやってこなかった。結果、年金資金に大きな穴があけば、自民党は恐らくこの先政権を取れなくなるに違いない。
日本の政治家の限界は、世界の金融市場を安定させるために自分たちに何ができなかったかを考えてこなかったことから生じているようだ。よくも悪くもアメリカ追従の歴史が長かったために、リーダーシップについて学ぶ機会がなかったのだろう。
いずれにせよ、現在のパニック的な状況を「政治的に利用できる」と考えているのであれば、そのような政党は支持できないし、政権を目指すのは諦めた方がよい。今すぐ、考えを改めるべきだろう。