国内政治と連動して複雑化するEU議会

EU議会の投票結果が開いた。当初の予想より極右・EU懐疑派の影響は少なくて済んだ(BloombergReuter)ようだ。だがその内容からは複雑な状況が透けて見える。






イギリスでは保守党が敗北しBrexitを主張する人たちが躍進(Bloomberg)した。表面上は進まないBrexitを加速させたいという意思表示なのだろうが、背景にあるのは保守党に反発する勢力の押さえ込みから数年間も続いている内政の混乱である。EUの連携を加速したいマクロン大統領も国民に離反され、結果的に極右と表現されるルペン氏が躍進(Reuter)した。マクロン大統領は国内では政府の赤字解消・年金改革などを控えているという。また、イタリアはすでに五つ星・同盟が既存政党から政権を奪ってしまっているのだが、同盟が躍進した(日経新聞)そうだ。

どの国も内政への不満が高まっており、それがEU議会選挙に反映した形になっている。共通するのは「緊縮財政」という起点と「悪者探し」という結果である。他罰感情をより刺激したほうが選挙に勝てるという傾向がある。

同盟は反EU・反緊縮を訴えて躍進した。かつては北部をイタリアから分離させようという運動だったそうだ。五つ星運動も同じような政策を掲げていたのだが、イタリアでは「生ぬるい」と思われ離反された(朝日新聞)ようだ。

ギリシャでもチプラス首相がEU議会選挙敗北の責任を取る形で総選挙を前倒しすることを決めた(Reuter)そうである。こちらは極左(急進左派)などと言われることがある。Reuterの記事には「対マケドニアの弱腰」が非難されたとなっている。急進左派にナショナリズムを求めるのはどうかとは思うのだが、国民は実は右でも左でもどちらでも良いと思っているのかもしれない。

ナショナリストたちは極右と呼ばれる反移民政策をとる人たちを支援するのだが、移民の人たちは極左・急進左派と呼ばれる人たちを支持(日本には存在しない欧州の新極左とは。(3) EUの本質や極右等、欧州の今はどうなっているか)しているということらしい。だが、結果的にそれらは同じように見えてしまうのだ。

ところがこうしたポピュリズム的な政権は持続可能性に欠ける。その行く末を示す事例も出てきている。

日経新聞によるとオーストリアでは極右同盟が連立政権を作ったものの分裂し、クルツ首相は不信任決議を可決されてしまった。クルツ氏は汚職などに手を染めた連立相手の自由党シュトラッヘ副首相を切り離して支持を得た。しかしこれに怒った自由党が連立を離脱した。これで野党が騒ぎ出し結局不信任案を提出されてしまったのだという。野党はクルツ批判を支持に繋げたいのだが、EU議会選挙で躍進したところを見ると、人々は却って自由党支持を強めるかもしれない。

民主主義国の国民は根本的な問題解決よりは手近な敵を攻撃する政治リーダーを好むことがわかる。そしてその怒りの原因は「今まで受けられた恩恵を取り上げられる」ことである。ヨーロッパの場合、リーマンショックに端を発した経済不安の後に移民が入ってきたのでこれが混同されているようだ。極右・極左ともに財政規律を強めるEUを批判しているが、財政規律が弱まればギリシャのように破綻する国が出てくる。結局、同じところをくるくると回っているだけなのである。

日本では国債を発行して緊縮財政を避けているのでこうした動きが「怒り」のレベルまでは至らない。野党側は安倍首相のやり方を攻撃するだけで、それよりも敵を作り出してポピュリズム的に有権者の獲得を目指すまでには至っていない。このポピュリストに一番近いところにいるのが政治部外者であった山本太郎だが、東京などの一部地域を越えた支持は広がっていないのではないかと思える。日本にはヨーロッパレベルの「本物の困窮」がないのだろう。

さらに面白いのはアメリカの共和党だ。ヨーロッパなら極右を支持しかねないような人たちをトランプ大統領が取り込んでしまった。共和党はあたかも大衆ポピュリスト的な政党になってはいるが形式的には二大政党のままである。だが、アメリカもポピュリズムを組み入れなければ政権は取れない国になっているのではないだろうか。民主党は急進左派的な人たちを取り込み損ねていて、決め手に欠ける大統領候補しかいない。

ポピュリズムは否定的な含みのある言葉であり、本来は「理性的に克服すべきだ」と書きたくなる。だが、現実を見るとどこもそうなってはいない。99%にやさしい資本主義・議会制民主主義が見つかるまで当面の間、先進国の政治はしばらくポピュリズムからは抜けられないのではないかと思う。

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憶測を生んだトランプ大統領のツイート

トランプ大統領のツイートが面白かった。

この前段はわかりやすい。貿易交渉をして農業と牛肉が大きな役割を果たすだろうとしている。安倍首相が製造業を守るために農業をアメリカに差し出したのは明白である。問題は後段にある。私が大きな数字達を期待する選挙達と言っており、これが憶測を生んだのだ。






安倍首相が貿易交渉で妥協するだろうという思い込みから「大きな数字達」は妥協のことを意味しているのだろうという意見が多かった。がwhereがついているのは選挙たちである。つまり、選挙に大きな数字達を期待しているというのが素直な読み方だ。まあ、これだけでも立派な内政干渉である。日本の首相が次も共和党が勝つなどと発言すればアメリカで大騒ぎになるだろう。実際にロシアの関与疑惑がなくならないのだから笑えない話である。

テレビなどはこれを「参議院選挙」と訳していた。しかし、選挙はwin a electionかwin the electionになるはずである。これが複数形になっている。これに注目したのが共産党の小池晃議員だった。これは衆議院と参議院のダブル選挙だと言っているのである。こうすると文法的なつじつまは合う。

ただ、これは大問題になる。本来、衆議院の解散は「内閣不信任案を出す」ことが前提になっているはずだった。これは憲法を作った当時のGHQが内閣が解散権を乱用するのを嫌っていたからだと言われている。

だが、当時の議会は脱法的な「馴れ合い解散」を行い、その後解釈による第7条解散が横行することになったそもそも何もないのに衆議院を解散するのは憲法違反である可能性が極めて高い。

加えて、議会対策・選挙対策とはいえ「首相の専権事項」を先に一外国の要人であるはずのアメリカの大統領に漏らしているというのは国会軽視・国民軽視の大問題であると言える。

のちに新聞は各選挙区の選挙をelectionというので選挙全体はelectionsと呼んで構わないのだという記事を出した。それくらい盛り上がった話題だったと言える。

大統領の言葉はとても重いはずだが、トランプ大統領は普段から曖昧で不正確なつぶやきを乱発している。日本もそれに巻き込まれた形である。今回はゴルフ中にもTweetをしていたのではという話が出ており、大統領のSNS中毒ぶりがうかがえる。

ただ、これら一連の報道や反応からわかるのは衆参同一選挙の可能性や通商交渉での妥協だけではない。重要なのは日本人が宗主国を求めているという点だろう。日本人がどれだけ不安になっているのかがよくわかる。

今回、アメリカの大統領はある意味宗主国の代表として報道された。もし宗主国のトップであれば国民より先に解散総選挙について知っていたとしてもなんら不思議はないし、選挙に介入して与党の体制を保証しても問題はない。ある意味日本が昔からやっていたことだ。金印をかざして中国の後ろ盾を誇るというような話なのだ。

だから国民はそれほど安倍接待部長に怒りを向けなかった。テレビはこうした国民の不安を「英語が堪能な両陛下が立派に大統領をもてなしてくれた」という論調で歓迎していた。閉塞感を抱えて不安になっている日本人が世界で一番強くて立派なアメリカに依存したがっているということがよくわかる。

日本人がしがみつけばしがみつくほどアメリカは高く自分たちの保護を売りつけることができる。アメリカにとってはおいしい展開である。トランプ大統領は日本の記者がおずおずと「通商交渉でのアメリカの要求はTPP以上の水準にはならないんですよね」という質問をすると、トランプ大統領は安倍首相を遮るような形で「我々はTPPに縛られない。あれはオバマの失敗だからだ」というような発言をして悦に入っていた。

令和最初の国賓のご接待は、世界第三位の経済大国であり二番目に儲けている日本としては実に情けない形で行われた。多分、明治維新以来の「西洋諸国へのコンプレックス」が色濃く残っているのだろう。150年経っても日本は小さくて弱い国という自己意識から抜けられないのだということがよくわかる。

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安倍政権はアメリカに見捨てられるのが怖い

米大統領訪日中に通商問題の合意ない見通し=茂木再生相という変な記事を見た。普通なら「合意があり日米が仲良くしている」ことをアピールしたいはずなのに、なぜ合意がないことを盛んに宣伝したがるのだろうかと不思議に思った。






多分、大方の人は日本がアメリカに押し切られるだろうことを見越しているのだろう。軍事的にアメリカに守ってもらっている以上、最初からまともに交渉できるとは思っていないのである。だから「トランプ大統領を接待して機嫌をとり嫌なことを先延ばしにしよう」と考えていて「それができるのは名接待部長の安倍さんしかいない」ということになっている。日本が弱体化していると感じれば感じるほど、自民党にとっては有利に働くのだ。

ところがこれをわかりやすくトランプ大統領がぶち壊しにしてしまった。あまりにもわかりやすいので笑ってしまったくらいだ。

対日貿易交渉で偉大な進展が作られつつある。農業と牛肉は重点項目だ。大きな数字になるだろう7月の総選挙まで待たなければならないが……

このbig numberが何なのかわからないがおそらく自民党が大勝するだろうということを指しているのではないだろうか。

ワシントンポストの記事を読むと、日本側は交渉に慎重でありそれをアメリカ側が押し切ろうとしていることがわかる。トランプ大統領が主に農業牧畜のことを書いているのをみると、日本は自動車や機械部品を取って農業をアメリカに差し出したのかもしれない。

ただ「日本がアメリカに負けたさあ大変だ」と騒ぐのもまたどうかと思う。ワシントンポストの記事の中に貿易収支の図表が出てくるのだが、中国があまりにも目立っていて日本の黒字は小さく見える。やはりアメリカのメインターゲットは中国なのだ。

さらに、前回見た「実は日本は儲けている」という話を加味すると話がちょっと変わってくる。前回見た「日本は儲かっている」は貿易黒字の話ではなく経常黒字の話だった。つまり、日本はアメリカに直接・間接的に投資して儲けているのであって、貿易では負けても構わないのだ。特に農業分野で負けたとしても「国としてはそれほど重要な問題」にはならない。

問題は、安倍首相がそれを隠して国民に言わなかったことだけなのだが、結局おしゃべりなアメリカの友達にSNSを通じて全部バラされてしまった。当然、野党はこれを攻撃材料に使ってくるだろう。

こうした騒ぎは裏腹に、アメリカが日本との間で貿易赤字を解消しても根本的な問題解決はできない。資本という面ではアメリカは利子を払い続ける側の国である。依然としてアメリカは経常収支では大赤字であり、それは隠されたままである。

もちろん、日本も国として「企業が儲けている」ことは隠しておきたい。企業が本業以外で儲かっていることが周知されてしまえば「企業が法人税で応分の負担をすべき」という共産党の声が支持を集めかねない。99%運動は社会主義が挫折した後にできた新しい大衆運動だが、日本では火がついていない。共産党はこれに乗って勝ちかねないのである。

日本が儲けているということを隠し貿易問題に必死になっている姿を見せることで自民党は国民の期待を集め続けることができる。

トランプ大統領も本来は「貿易赤字を多少改善したところで全体的な状況が変わるわけではない」ということはわかっているのだろう。が、資本分野の収支は隠して、製造業と農業の味方であるとアピールし続けたいに違いない。結局重要なのは製造業や農業の人たちの先頭に立って「庶民の味方である」という絵を見せ続けることなのである。共和党は実際には1%のお友達でしかないのだが、大衆に「自分たちの味方だ」と信じ込ませるだけで大衆はやすやすとトランプ大統領を応援してしまう。しかし、こうした演劇に手を染めていない民主党は99%の支持が得られない。

改めて引きの絵で見てみると、資本主義が終局に入った国の民主主義ではこのようにおかしなことが横行するのがわかる。問題が複雑なので権力者たちがいいように切り取ってしまい、マスコミもそれに追随してしまうのだ。

それでも、トップリーダーたちがゴルフをしたり相撲レスラーにトロフィーを渡したりするだけで大衆は安心してしまう。その意味で我々は資本主義が崩れゆく最後の瞬間を目撃しつつあるのかもしれない。我々の社会は複雑になりすぎてしまったのである。

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実は日本は世界で二番目に儲かっている国である

テレビで面白い解説を見た。日本はドイツについでに番目に儲かっている国なのだが、政府や企業はそれをあまり言いたくないのだという。






自民党は「日本が危機だからこそ自民党が必要だ」という印象を付けておきたいのではないかと解説されていた。企業も「応分の負担を求める」動きが出ることは避けたいだろう。例えば、企業が儲かっていることがわかってしまうと、消費税ではなく法人税でという提案がでかねない。日本は妬みが強く出かねない社会なので儲かっていてもあまりこれ見よがしには宣伝しないのである。

解説者は「どうせ安倍首相は誰かに言われたことを言っているだけなのだろうが、周りの人もこの事実について教えていないのではないか?」と言っていた。もし、周りが「アベノミクスのおかげで企業は空前の儲けをあげている」などと吹き込めば、共産党などは当然「では消費税をやめて法人税増税をしましょう」と言い出すだろうし、自民党からも賛同者が出かねない。知らない人は眠らせておいたほうがいいのだ。

ではこの「儲けている」という話は本当なのだろうか。内情を見てみよう。実際の動きを見てみよう。2018年の経常黒字、4年ぶり減少 : 「輸出で稼ぐ」から「直接投資」に構造変化によると、日本はすでに貿易立国ではなくなり、投資で直接稼ぐ国になっている。日経新聞も海外投資、日本の稼ぎ頭に 経常収支の構図変化という全く同じ論調の記事を書いている。

黒字の額は2つの柱でほぼ説明できる。1つは海外子会社のもうけにあたる直投収益の10兆308億円。もう1つは外国債券の利子などにあたる証券投資収益の9兆8529億円だ。貿易黒字は1兆1877億円にすぎない。

海外投資、日本の稼ぎ頭に 経常収支の構図変化

これが、評判の悪い「内部留保」になっている。海外企業から好調な配当があったとしても、賃金や配当金として国内に還元せず溜めてしまうのである。ダイヤモンドオンラインには日本人の特殊な意識を問題にする文章があった。

なぜ日本企業は内部留保を増加させるのかは、日本企業は突出を嫌い配当を横並びにする傾向があると言っている。儲けを余分に配当するとそれが期待値になり下がった時に文句がでかねない。

よく「狩猟と農耕」という言葉で日本文化を分析することがあるが、狩猟は「獲物がいる時にたくさんもらえる」社会なのだが、農耕は「毎年同じ収入があるのがよいこと」とされる社会だ。こうした違いが日本の企業に知らず知らずのうちに根付いているのかもしれない。

儲けた金を配当できないもう一つの理由は将来への不安かもしれない。足元の業績を見ると稼げていないのだろう。ここから、日本の企業が「老後」に備え始めていることがわかる。本業では稼げなくなり、足もとの消費市場は衰退している。しかし過去に儲けた金はまだ残っていて「老後に備えるためにとっておかなければならない」という社会だ。

ダイヤモンドオンラインの記事を二本見てみたが、10年から20年は大丈夫だろうという記事や2020年代後半には衰退が始まると言っている記事があった。結局のところ誰もいつまでこの状態が続くのかはわからないらしい。

実際には「令和初年度、5社に1社最高益へ」とあるように上向いている企業もある。だが、その動きが全体に広がらない。全体ではやや減益担っているのだという。

将来不安から、企業は儲けがあってもできるだけ外に出さないようにしている。従業員に給料を払わず、正社員を放出し、社会に社会福祉負担を押し付け、税金も支払わないようにする。皮肉なことにこれが「世界で二番目」と言われる企業収益の増加をもたらしているのだが、同時に足元の不安をますます強固なものにしている。

高齢化した市民社会は不安を抱え、現役世代は企業からも社会からの支援を得られていない。だから、まさか企業が史上空前の儲けをあげているとは想像もしない。もし企業が派手に役員報酬をばら撒き日本にこれ見よがしのリッチ層が生まれていれば、反発から99%運動が起こっていた可能性もあるが日本にはそれもない。

日本は世界で二番目に儲けている国になったのだが、その喜びを実感できないという意味では世界一不幸な国なのかもしれない。

なお、世界で一番儲けている国はドイツだそうだ。NHKによると構造改革に成功し、ユーロのために実力よりも低い通貨レートの恩恵を享受できているために、EUでは突出した勝ち組になっているのだという。

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「日本経済のファンダメンタルズはしっかりしている」ので理屈の上では消費税は増税される

多くの人が2019年10月に消費税増税があるのかを気にしているのではないか。5月24日に答えが出た。理屈の上では消費税は増税される。






2019年1月〜3月のGDPが出た時に各社が一律に「日本のファンダメンタルズはしっかりしている」という言葉を使った。あまりにも揃っているので不自然だなと思った。

どうやらこれは2018年12月に安倍首相が使った言葉らしい。読み返してみると日経も「内閣府幹部の言葉」と扱っている。菅官房長官がそう発言したとする記事もある。茂木さんも同じ言葉を使ったのですり合わせした「正解」になっているのだろう。

ところが、その中身がよくわからない。いつものような雰囲気だけの言葉なのである。このファンダメンタルズの内容がわからないので景気悪化の判断と景気継続の判断が入り混じると色々な憶測が生まれる。

2019年3月の景気動向指数は6年2ヶ月ぶりの「悪化」に転じたそうだ。ダイヤモンドオンラインは1~3月期GDPが景気動向指数と予想外の食い違い、景気の先行きは?と報じる。

ダイヤモンドオンラインの記事はわかりにくい。GDPの方が実際の動向に即しているから景気はそれほど悪くなっていないとしている一方で、次のように結論づけている。今は大丈夫だがこの先はわからないというのである。

稚園や保育園の無償化、キャッシュレス決済のポイント還元など対策は講じられるが、消費税率引き上げは年間で2.5兆円前後の家計負担増をもたらし、個人消費を減少させる方向に働く。消費税増税までに輸出が回復しなければ「19年度後半の日本経済は内外需ともに悪化する恐れがある」(斎藤氏)、つまり景気後退に陥る公算が大きくなるだろう。

1~3月期GDPが景気動向指数と予想外の食い違い、景気の先行きは?

首相らがあまり根拠を示さず「ファンダメンタルズはしっかりしている」と言ってしまったことで「忖度問題」も起きているようだ。ダイヤモンドオンラインの別の記事はエコノミストの忖度問題を伝えている。

ただし、これは必ずしもエコノミストの本心ではないかもしれない。なぜなら、エコノミストの景気判断は、政府の意図を忖度している面があるからだ。

景気拡大の力が「3つの押し上げ効果」で再び強まる

エコノミストは学者ではないので所属する会社の立ち位置によって表現を変える必要があるということなのだろうか。それとも自分だけ外れると格好がつかないのでみんなが書きそうなことを書いているのだろうか。いずれにせよ「政府が景気悪化を認めるまで自分たちも認めるわけには行かない」というような書き方になっている。

ダイヤモンドオンラインの二つの記事だけでも、楽観論と悲観論にわかれている。つまり、本当のことは誰にもわからないということである。

こんな中で月例経済報告がどうなるかということが注目されていたようだ。識者の見方が分かれる中で、これまでの「ファンダメンタルズはしっかりしている」というポジションを崩したら、それはすなわち消費増税を諦めるというサインになるからである。これが出たのが5月24日だった。

総括判断の表現は「輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している」とした。「緩やかに回復している」との表現は2018年1月以来、1年5カ月連続で踏襲している。

総括判断を下方修正 「緩やかな回復」は据え置く=5月月例経済報告

これで理屈の上では政府は消費税増税を言い出す材料を自らなくしたことになる。ゆえに消費税増税延期を題目にした衆議院解散もなさそうだ。とはいえ安倍政権はなんでもありなので、これがどう転ぶかはもちろんわからない。

一方の野党側は「勝つためには消費税増税延期を言い出した方が良い」とは言っているのだが、そのあとのまとまった提案はない。景気が悪いなら何かをしなければならないが、緊縮財政は有権者には受け入れられないだろう。かといって霞ヶ関に埋蔵金があるという話を信じる人はもう誰もいないに違いない。

野党は内情を知ってしまったので思い切ったことは言えないのだが、院外にいると好き勝手なことが言えてしまう。野党がまとまった政策を出せず10月に入り消費が冷え込めば、さらに極端な声が院外から聞こえてくることになるだろう。ヨーロッパではすでにそういう状態になっているようである。

そう考えると、MMTという禁じ手を叫ぶ議員を幹部がなだめるという与党のお芝居や過激な発言が目立つ維新の党を懐柔する一連の行動にも意味があるのだということがわかる。つまり、過激派を飼っておくことであらかじめ院外から過激な声が出るのを防いでいるのだ。

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行き詰まるブレグジットと行き詰まるイギリスの議会政治

QUORAの政治のスペースに毎日記事を書いている。ブログと同じくほぼレスポンスがないのだが、なんとなく書くテーマが決まって行き「ポピュリズム」について考えている。






ポピュリズムは議会軽視の中で、極端な主張が受け入れられてゆく政治過程のことである。日本でも丸山穂高のような「けしからん議員」を予備的に排除できないのかという声があることからわかるように、議会や政治家に対する疑念がうっすらと広まっていることがわかる。

ところがイギリスはもっとひどいことになっている。Quoraで聞いたところ「ブレグジット(EUからの離脱)は誰にもどうなるかわからない」のだそうだ。

イギリスについて調べたのはTBSニュースがきっかけだった。ファラージのブレグジット党が保守党や労働党よりも支持を集めているというニ。実際に英語でも調べてみたがそのような話はある(ロイター・英語版)ようである。ただ、これはEUの議員選挙の話だ。

これとは別の動きもある。実は地方選挙ではブレグジット反対派(EU残留派)の自由民主党が躍進したとBBCが伝える。全く真逆の人たちが支持を集めているのだから、既成政党の「穏やかな提案」が人々の飽きられていることがわかる。

イギリスの世論が真っ二つに割れていることから、議会制民主主義がいかに脆いのかということが見えてくる。国民投票で極端な意見が広まりその後始末ができない議会が非難されているのだ。メイ首相の提案は議会をまとめられず、かといってそれに代わる合意案も作れない。そうこうしているうちに「まとめられないからメイ首相が退任するだろう」という観測さえ出始めた。

どうしてこうなったのだろうかということを改めて調べてみた。EU側がキャメロン首相に「馬鹿げた国民投票はするな」と警告していたというBBCの記事が見つかった。

実際にこのEU側の懸念は現実のものとなった。ファラージ率いるブレグジット党がEU議会選挙で躍進すればEU議会にEU懐疑派が入り込み中から暴れ出すだろう。フランス財務・経済大臣は「出てゆくつもりならとっとと出て行け」と言いだした。しかしEU議会選挙ではイギリス以外からもEU懐疑派が躍進することが予想されている。

BBCの記事によると、キャメロン時代の保守党は単独で政権が維持できないので自由民主党と連立していた。国民の支持を集めるために「国民に直接意見を聞く」国民投票を持ちかけたのだという経緯が書かれている。キャメロンが「どうせ議会が反対してくれるだろう」と考えていたという人もいれば、国民投票をやるつもりだったと考えている人もいる。Quoraでの回答もこれを反映した形になっていて「どうせそんなことはできないから国民投票でもやれば反対派が黙るだろうと思われていた」という意見が書かれていた。

いずれにせよ、キャメロンは議会調整と敵対勢力の説得を諦めて、安易な国民投票を選び結果的に失敗した。国民投票をきっかけに世論が二分されてしまい、イギリスではいま政治家にミルクシェイクをぶつけるのが流行っている。議会制民主主義のお手本とされていた国で、議会や政治家に対する権威は失墜してしまったのである。

この件は支持を失いつつある既存政党と国民投票の危険性といういくつもの教訓を我々日本人に伝えている。

ヨーロッパでは既存政党が支持を失いつつあるが、寡占政党制の日本では既存政党が極端な意見を取り込んだ。それが安倍政権だったわけだ。安倍晋三が取り込まなければ別の過激政党ができていたかもしれない。同じ寡占政党のアメリカでそれをやったのはトランプ大統領だ。

安倍政権も現状不安を打破するために憲法改正の国民投票をやろうと呼びかけている。なんとなく閉塞感が拭い去れない現状を「憲法を変えて打破しよう」と考える人は少なくないかもしれない。

しかし、実際の危険は「どう決まるか」ではないのかもしれない。例えば49%が反対だった場合国内で「間違った憲法」の反対運動が再燃する可能性がある。議会調整を諦めたから国民投票に頼るのだし、国民投票をすれば賛成派と反対派の対立は先鋭化される。こうして対立が激化してゆくのだ。実際に大阪では「都構想」の住民投票が一旦否決されたあともこれをめぐるつばぜり合いが続いている。住民投票を巡ってこうした共通パターンを見出すのはさほど難しくない。

日本もすでに議会への疑いの眼差しはで始めており、いつイギリスのような状態になってもおかしくないのかもしれない。

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参議院議員選挙が終わった瞬間に景気がガタ落ちするかもしれない……

2019年1月〜3月期のGDP速報値が出てきた。輸出・輸入が減ったために形の上で赤字がなくなり、さらに公共事業と住宅投資がGDPを押し上げたことになっている。






もし速報値が悪ければこれを言い訳にして消費税増税延期を言い出したかもしれない。だが、それはできそうにない。一方で、内需はかなり傷んでいるようである。全て政治が悪いとは言わないが、企業は依然として国内市場に賃金を供給しようとはしないし、高齢化が進めばそもそも収入がない人が増える。そこで政府は躍起になって高齢者を経済に動員しようとしているという具合である。

政権に批判的な毎日新聞と東京新聞はネガティブな書き方をしている。東京新聞は「アベノミクスの是非が問われる」と書いているが、東京新聞の読者がアベノミクスに賛成のはずはない。

ここにきて消費税増税の判断に注目が集まっているが、安倍晋三首相が三たびの延期に踏み切るかどうかにかかわらず、はっきりしていることはある。六年以上、大規模な金融緩和と財政出動を繰り返してきたのに、多くの国民が安心、納得して消費税増税を受け入れられるだけの状況をつくり出せなかったということだ。夏の参院選では、アベノミクスの是非が問われることになる。

見かけの成長 下支え欠く GDP速報値

読売新聞は住宅需要が伸びている理由を書いている。消費税増税前の駆け込み需要なのだそうだ。消費が伸び悩んでいるのにもかかわらず住宅が売れているのにはそんな状況があるのだ。この数字も増税後(あるいは延期後)には消えてしまう。

読売新聞はもう少し露骨に公共事業依存を要請するのかと思った。「政府が長期戦略を立てればなんとかなる」ときれいにまとめてしまっている。地方としては「細かいことはどうでもいいから手っ取り早く公共事業をやってほしい」と要請するのではないかと思うのだが、その声は東京には届いていないようだ。

民需が主導する経済の実現にも注力したい。賃上げの継続や先端産業の育成など、長期的な戦略が重要だ。政府は6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などで、実効性ある具体策を示さねばならない。

GDPプラス 内需の弱さに警戒が必要だ

日経新聞は米中貿易摩擦などのニュースが「企業の設備投資を冷え込ませているのではないか」と懸念している。内需も芳しくなく、住宅も消費税増税前の駆け込み効果であり、その上外需も芳しくない。総合して読むと「良いところを見つけるのが大変」というかなり危うい構成になっているのだ。

深刻化する人手不足を踏まえれば、継続的な省力化やIT(情報技術)投資が不可欠のはず。しかし製造業では中国に関連する投資を手控える動きが出ている。

[社説]内需に不安を残した「2%」成長 

こんなお寒い状況なのだが、新聞は最後まで批判ができない。いろいろな新聞を読むと「ファンダメンタルは好調」と書いてある。最近の政府の口癖である。給料は下がっているが人手不足なので完全雇用状態にあり従って経済基調は好調であるという自己催眠をかけているのだ。

総理が力強いリーダーシップで消費税増税を決断するまでは、官邸も友党も何も言えない。菅官房長官は「GDPの速報値は消費税増税に影響しない」と言い続けており、景気が後退局面に入った可能性もあるのに公明党は「回復基調にある」と言い張っている。

麻生副首相はさらに露骨だ。

その一方で麻生副総理は、「今年度予算が執行されるのはこれからであり雇用や企業収益は高水準を維持し、ファンダメンタルズから言えばしっかりしたものが続いている」と述べ、今年度予算の執行などを通じて今後、景気は上向くとの見方を示しました。

1~3月のGDP 内需に弱さも今後は景気上向く 麻生財務相

そもそも駆け込みの住宅投資と公共事業が支えている形なのだが、これからはもっと予算が執行されるから大丈夫だと言っている。これは選挙前のことなのだろうから、選挙の後で消費税が上がった後どうなるかわからないということになる。

これらを素直に読むと、自民党はとにかく参議院議員選挙が終わるまでは公共事業でもなんでもやってGDPをよくしておきたいと思っている可能性がある。つまり10月以降はかなりまずいことになる可能性があるということになる。

が、その後には反動消費減がやってくる。もしその頃米中貿易摩擦が終わっていなければ外需にも期待できないわけで、安倍一強の中で経済停滞というような状況も起こりかねない。

ここで勝ちすぎてしまうとソリューションがないなかで、自民党だけが非難されることになる。関係者たちは密かに「野党にも少しは頑張ってもらわないと」と思っているのではないか。野党の反対で改革が進まないと思わせるためには一定の存在感が必要だからである。

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どうせ議会は何もしてくれないとうんざりする国民

「予算委員会が開かれていない」という記事を蓮舫議員が流していた。毎日新聞だけが伝えているようだが他は追随していない。今マスコミの関心事は消費税増税と解散総選挙だからである。






蓮舫さんの意見だけを聞くと、ルールは守ったほうがいいように思える。でもそのルールが何なのかがよくわからない。毎日新聞は冒頭だけしか読めないのでその先に何が書かれているかわからないし、蓮舫さんはそれ以上は説明するつもりはないらしい。そこで、まず議員規則とはなにかということを調べてみた。

どうやら、議員規則は法律ではないが法律に準じて運用されているらしい。つまり議会は自律的にやっていますから信頼して法律を守ってくださいねと言っているのだ。議会は自律しているからこそ国民から信頼されるのだが、すでに「与野党間のゲーム」になっている。毎回のように「数の横暴だ」いや「牛歩だ」などとやっている議会にもはや権威はない。国民は逆らうと面倒だから従っているだけである。

だから、蓮舫さんの発言がマスコミから注目されることはなかったし、それを応援する声も上がらなかった。

すでに議会の自律などという言葉を信じている人は誰もいないということは別のニュースからも確認できる。戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのかという別の記事を見つけた。議会は議員に辞職勧告できるのだが、それを無視して居座ることには法的な問題は何もないという。すでに「言論の自由だ」いや「戦争はいけない」というような膠着状態になっている。辞職勧告が単なるポーズに終わる公算が強い。これが前例になれば単なる「村八分宣言」に終わってしまうことになるだろう。

さらに解散についても別の記事があった。もともと総理大臣の議会解散権は本来の趣旨からは逸脱しており、かつては違憲という論争もあった。ところが、日経新聞によると与野党支持者ともに「解散総選挙をやればいいのでは」という声が多いらしい。自民党支持者は反対しかしない野党を議会から抹殺したいのだろうし、野党支持者もこの状況に耐えられないのかもしれない。解散風を煽っているテレビだが当のコメンテータたちが「この数字は理解できない」と首をひねっていた。

コメンテータがわからないのだから誰にもこの数字の真意はわからない。だが「選挙でもあってくれたら世の中がガラッと変わってくれるのでは?」という漠然とした期待があるのかもしれないとは思う。

さらに前回のように「消費税増税延期を言ってくれないかな」と思う人もいるだろう。解散=消費税増税延期となれば議会の審議がすべて無効になってしまうのだが、自民党としては勝てればいいのだろうし、有権者も過去の話し合いのプロセスにはさほどこだわりはないはずだ。

確かに記録を改竄したり特区を作ってお友達に利益誘導することは悪いことだが、予算の1/3は借金で賄っており税金ではない。「お金がない中でなんとかするしかない」とならないと国民は真剣にはならないのだろう。その中でなんとなく自分たちで決めたはずのルールすら守れない議会が世論に訴えようと大騒ぎしている状況だけが聞こえてくる。これでは有権者がうんざりするのも当たり前である。

こんな中、ワイドショーのもっぱらの関心事は小室圭さんのキャンパスライフである。もはやマスメディア側はすでにの子ニュースに飽きているようだが、手を替え品を替え番組を作っているところを見るとよほど人気のあるコンテンツなのだろう。国民の多くが勝手に皇室の親戚になったつもりで婿候補を品定めしている。

今まで「マスゴミ」が大衆を踊らせてきたと信じていた人も多かったのだろうが、実はマスコミは大衆が好み理解できるものを流してきたにすぎなかったということがわかる。そして話し合いができなくなった議会はそうした「民意」に訴えるべく日々虚しい奮闘を続けているのである。

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トランプ大統領との関係が破綻しつつある「外交の」安倍

共同通信が「日米首脳会談、共同声明見送りへ」という唐突な記事を出した。背景を調べてみたが、今度こそ本当に何もわからなかった。一瞬、トランプ大統領との関係はかつてなく悪いのではないかと思った。少なくとも記事はそのような書き方になっている。






まず日米首脳の会談の内容は日経の「日米首脳会談の要旨」という記事にまとまっている。この線に沿って安倍政権は「サイバー攻撃されたら武力反撃ができる」などと言って世間を騒がせたのだが、国内に与えるであろう波紋には構ってはいられなかったのだろう。安倍首相の頭の中では、防衛分野は日本が明け渡せるドメインということになっているのかもしれない。ただ、その維持のために消費税がどれだけ必要なのか安倍首相が考えているのかは微妙である。

安倍首相の目標は、自民党政権こそがアメリカに信任されているという印象を有権者に与えることである。その意味では古代の冊封関係に似ている。国外の権威から得た権力を背景にして内政の統治基盤を作り政治的ライバルを抑えるというのが日本の古くからの手法である。

アメリカから金印を得たものが日本の統治者としての正当な権利を得るというような類いの話だが、根拠なき信仰は意外と大きな力を持つ。民主党はこうした呪術的なお墨付きを得なかったので3年で政権を手放した。

さらに安倍首相はポスト安倍を見据えて「キングメーカーになりたい」と考えているというような話も出ている。いわゆるワイドショーの暇ネタとして語られる類いの話ではあるのだが、ポスト安倍の構想固めができるくらい参議院選挙は楽勝ムードなのだろう。自民党の中には安倍首相はトランプ大統領と話ができる唯一の男という評判があるらしい。これが依然として政治的に大きな意味を持つというのが21世紀の日本の政治の姿である。

だが、これは日本側の幻想に過ぎない。トランプ大統領は北朝鮮などの状況が「日本に高く売れる」と感じておりその機会を最大限に利用しようとしているようだ。孤立主義に傾いているアメリカは中華帝国のような宗主国になるつもりなどないうえに、トランプ大統領は宗主国のふりをするつもりすらないらしい。

こうしたすれ違いは戦後のちょっとした状況変化によって作られた。もともとアメリカは日本をライバルと考えていたし、直接統治する沖縄に基地が確保できれば日本などどうでもよかった。戦後は日本を農業国に戻して国力を削ぐつもりだったようだ。

しかし東西冷戦という特殊事情があり地域が赤化してゆく中で方針転換を迫られる。アメリカ人が当時持っていた赤化の恐怖というものを想像するのはなかなか難しい。レッドバージ(アメリカではマッカーシズムと呼ばれるそうだ)が全米を覆ったが、誰が共産主義者なのかということが判別できず疑心暗鬼にかられていたようである。

こんな中でアメリカは忠実な日本(正確にはリーダーが誰であろうとついて行く日本の官僚組織だが)を地域赤化の防波堤として使ったのだろう。こうしてアメリカは日本の宗主国であるフリを始めた。

アメリカが新しい宗主国になったから強がって独立を維持しなくてもいいのだというある種倒錯した安心感はジャパンハンドラーや日米合同委員会という物語によくあわられている。確かにそういう人たちはいるのかもしれないのだが、それが必ずしもアメリカの総意というわけではない。

両者の思惑の違いは「非伝統的な政治家である」トランプ大統領によって撃ち砕かれようとしている。トランプ大統領は手にするもの全てを「ディール」に変えて行くという特殊能力を持っている。彼は長期的な関係を売り渡して短期的な利益を得ようとするのだ。すると当然その類の幻想を基盤にしていた政治権力は揺るがざるをえない。その意味ではアメリカが作った自民党はアメリカによって破壊されてしまうかもしれない。

残る問題は、日本人がアメリカが宗主国ではなく実は自分たちが独立しているということを認めるのかそれとも認めないのかという点だけなのかもしれない。これまでの報道の経緯を見ていると日本はこの問題をスルーするのではないかと思えるのだが、それはこれからの成り行きを見てみないとよくわからない。

いずれにせよ今回のトランプ訪問は安倍営業部長の企業接待をみんなで固唾を呑んで見守るというものになるかもしれない。日本人の高齢者に取っても大きな問題だし、自民党にとってはさらに大きな問題だ。

相撲接待やそして天皇の拝観など、トランプ大統領の接待体制は万全である。ただ、共同声明だけは出せない。日本の防衛や外交が全て安倍部長の営業接待にかかっているというのは考えてみれば恐ろしい話ではあるが、安倍接待部長は是が非でもこれを成功させなければならない。

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中国にサイバー攻撃されたら日本はどうするのか

安倍首相が「サイバー攻撃されたら自衛権を発動する」と言ったというニュースが出てきた。「あ、これリベラルが騒ぐやつだ」と思った。今後どんな展開を見せるのだろう。






だが文脈が全くわからない。これが「マスコミの劣化」を示していると思った。安倍首相、組織的なら自衛権行使可能=深刻被害のサイバー攻撃でというタイトルになっているのだが、肝心な情報がなく余計な情報が入っているからだ。

知りたいのは「誰に対するどんな質問に答えたのか」ということだ。また「その戦争とはどんな戦争なのか」という想定も重要だろう。だがこれは一切書かれていない。そして、余計な文脈は「深刻被害の……」である。つまり、これはサヨクに叩かれるやつだからあらかじめ予防線を張ろうとしたのではないかと思う。

NHKは少し優秀だ。背景文脈を政府広報している。つまり「アメリカが中国に対処するときにはお前らも付き合えよ」と言われているので日本国民もよろしく頼むよと言っているのだ。“サイバー攻撃は武力攻撃” 日米安保条約適用で共同対処へというタイトルがついていることから、日米交渉の中で出てきた話だとわかる。

NHKは政府広報なので資金は政府が税金から出すべきだ。政権がアメリカとのお付き合いの中でアメリカに便宜を図っているというだけの話であって、それが日本のためになるかどうかにはまるで関心がない。ヨーロッパですらアメリカとの同盟関係を見直す(メルケル独首相、アメリカはもう同盟国ではない?)中、日本にとっては必ずしも最良の選択肢とは言えないのだが、アメリカを後ろ盾とする政権としてはこれ以外の選択肢はないし、国際常識にキャッチアップしていない一般国民にも関係のない話だ。多くの日本人は未だに冷戦が続いていると思っているのだろう。

この日本の受け身っぷりがわかるのが次の一節である。日本のリソースを使わせろよと言われているのだ。その環境整備として国会で既成事実を作ろうとしたのだろう。しかし、文脈を隠しているので唐突感が出るのだ。

また、日本の人工衛星にアメリカのセンサーを搭載して、宇宙の監視体制を強化することも確認しました。

“サイバー攻撃は武力攻撃” 日米安保条約適用で共同対処へ

もう少し背景がある記事が見つかった。別記事で韓国について強く書いているので右寄りのメディアだと思うのだが、日本の動きがあまりにも受け身な事を心配している。

最近、サイバー攻撃と自衛権に関する政府関係者の発言が目立つ

サイバー攻撃に実はなすすべがない日本の現実

ここには「日本がサイバー攻撃をされても対処できないしアメリカに依存している」と書かれてる。「だからなんとかしろ」というわけだ。もちろん右寄りなので政府が説明をはじめればそれに従って軌道修正するのだろうが、右の人たちはそれまではかなり強気のことを言う。権力構造に極めて敏感でありながら、単に従う側にいるとは思いたくないのだろう。

ここまで読んでくると、安倍首相がどんなつもりで答弁したのかわかってくる。たぶん安倍さんは「何が起こるかわからないし興味もないが、アメリカから言われているからやっとかないとな」と感じているのだろう。そして、攻撃されるのは日本ではなくアメリカという想定なのだろう。サイバー空間に距離は関係ないのだが日本にとって戦争とは遠くで起こるものなのだ。

このような一連の背景から、日本は特に自力では対処しないだろうし、対処しようとしてもアメリカから独立したシステムは作れないということがわかる。多分、アメリカは日本の防衛には興味はない。単に日本を利用したいだけなのだが、そう思いたくない日本は「アメリカがきっと守ってくれる」と自己洗脳を続けるだろう。

そして冒頭の記事が想定を伝えられな買った理由もわかる。どの程度の攻撃が対処の範囲に入るかはがアメリカが決めるから日本ではわからないのだ。これに議会自民党から反論が出ないのが不思議で仕方がないが、まあこれも見慣れた現実ではある。

そして、この曖昧さに苛立つ左翼の人たちが政権を攻撃することも目に見えている。安倍は戦争をしたがっているわけだから武力攻撃の口実にサイバー攻撃も当然使うだろうというわけだ。やはり安倍は戦争を従っているというわけである。

こうして、アメリカ追随の思考停止がまた一つ不毛な対立の物語を作ろうとしている。背景は明確になったがいつものように殺伐とした気持ちが残る。

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