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石破総理の電話会談は不発 トランプ大統領の性格を読みきれず

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石破総理が電話会談を行い日本は不公正な取引などしていないと訴えた。これに対してトランプ大統領は「これまでひどい扱いをしてきた日本が心を入れ替えて交渉を申し出てきたぞ!」と宣伝した。USスチールの話はすっかり忘れていたらしいがこの会談で思い出したようで「そういえばどうなった?」と再検討を命じたそうだ。日本はいい加減、トランプ大統領の乱雑な性格を理解すべきだろう。

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日本の国会はパニック状態になっている。石破総理とトランプ大統領の直接会談を求める声が多かった。トランプ大統領は「交渉の成果」を誇っており「これまで50の国が交渉を申し出ていた」と宣伝している。だから電話自体はすぐにつながった。

石破総理は「日本は不公正な取引などしていない」と訴えたが、結論ありきのトランプ大統領の心に響くはずもない。大統領に都合がいいシナリオに書き換えられ「どうだ見たか!イシバは心を入れ替えたぞ」と宣伝に利用されただけだった。

In a post on his Truth Social platform after their phone call, Trump said Ishiba was “sending a top team to negotiate! They have treated the U.S. very poorly on Trade.”

トランプ大統領はトールスソーシャルに「これまで貿易でアメリカをひどく扱ってきたイシバは交渉のためにトップチームを送るぞ!」と投稿した。

NBC News Live Update

トランプ大統領はアメリカの経済には手術と薬が必要だと言っている。しかしながら実際に治療が必要なのはトランプ大統領の「間違いを認めたら死ぬ」という病状だ。

さすがにネタニヤフ首相との間には何らかの取引が成立するのではないかと思ったが、どうやら共同声明は発出されないようだ。記者会見は開かれないという情報がある一方で大統領執務室で会談の様子を記者に見せ「質問に応じる」という情報などが飛び交っている。イスラエルとしても両国の関係が決裂したとは見せられないのだろうが、ネタニヤフ首相をもってしてもトランプ大統領の気持ちを変えることはできなかったとわかる。

ただしトランプ大統領はUSスチールの話は思い出したようで「そういえばどうなった?」として再審査を命じたそうだ。あまりにも色々とありすぎてすっかり忘れていたのかもしれない。様々なディールに夢中になり自分が何に介入したのかさえ忘れてしまうのだ。

トランプ大統領は説得や話し合いには応じない姿勢を見せているためおそらくなんらかのプレッシャーをかける必要がある。EUは反威圧措置(ACI)の導入に向けて動き始めた。

軍事力をアメリカに依存する日本はアメリカとの直接対決は避けたいところだろう。アメリカとの直接交渉を行うよりはヨーロッパとの協力を通じてアメリカ合衆国に翻意をうながすべきなのだろうと感じる。

一方でJPモルガン・チェイスのダイモンCEOはヨーロッパに対して「あくまでもアメリカ合衆国と協調すべき」と働きかけている。これはヨーロッパが中国と結びつくのを恐れての発言と捉えることもできる。ある程度「アメリカ合衆国の不満に応える」形で自由主義陣営が結束するように求めているのである。

さらに北大西洋条約機構(NATO)や国連、国際通貨基金(IMF)といった国際的な機構や機関を強化する改革を呼び掛け、欧州指導者たちにも経済改革を行い、軍事支出を増やすことで関係強化につなげるよう強く求めた。米中間の「複雑な関係」については、中国はロシアやイランのような国よりも、強力な欧米諸国とパートナーシップを結ぶ方が「得策」であるとの考えを示した。

ダイモン氏、関税問題は早期解決を-米経済同盟の「悲惨」な分断警告(Bloomberg)

現在の日本はトランプ大統領という津波の高さを呆然と眺めている状態だ。合理的な判断力を失い「泳げば乗り切れるのではないか」と考えているかもしれない。

しかしここは一旦退避行動を取りその後はアメリカ以外の国と積極的に協力しアメリカ合衆国に対して働きかけるべきだろう。仮にそれでもトランプ大統領が翻意しなければいよいよ「切り離し」を検討すべきということになる。

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