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ざっくり 「結局今の日本はスタグフレーションなのか」問題を考える

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  • 今はスタグフレーション。
  • 原因は2012年のアベノミクスだが下請けや労働者が犠牲となりインフレが防がれてきたものではないか。
  • アベノミクスが持続不能とる条件が整ったことで、抗い難いインフレが始まりスタグフレーションが顕在化した。
  • 定義上スタグフレーションを防ぐためには金融緩和をやめ生産性を上げるしかない。
  • アメリカは長期に渡り悪性インフレに苦しんだが「ボルカーショック」によって金融正常化が行われた。ただしこの間に2度の景気後退を経験したそうだ。
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長い間、日本は低成長の状態にあった。世界の工場の地位を中国に奪われ日本企業は市場を求めて海外に出ていった。

バブル崩壊から安倍政権が始まる2012年まではこの低成長の状態が続く。国内に残った企業は人件費や価格を下げて対応するようになりこれを「デフレ」と表現した。デフレの反対はインフレなのだから経済成長とインフレを同義語のように使うようになったのもこの時期の特徴だ。だが、これは経済学の定義上は正確な使い方ではないと指摘する人が多い。

本来ならば国全体の産業の成長性を高めて経済成長基調に戻るべきだった。だが、安倍政権は低成長状態を温存したままの延命作を講じた。これがアベノミクスの正体だ。「経済成長戦略と金融緩和の組み合わせ」とされたが実効性があったのは金融緩和だけである。

結果的に「今のままでいいや」という気分が肯定され定着した。

もともとスタグフレーションという言葉が最初に使われたのは1965年のイギリスだ。物価高のインフレと膠着を意味するスタグネーションの組み合わせだった。

スタグフレーションは供給問題と通貨の過剰供給の組み合わせで起こるとされる。つまり国が経済成長を伴わないにもかかわらず通貨だけが過剰供給されるとスタグフレーションが起きる。

アベノミクスで極端な金融政策が行われているにもかかわらず国経済成長が起きていない状態であり、これは定義としてはスタグフレーションそのものである。

一橋大学教授の野口悠紀雄氏は「今の日本は定義通りのスタグフレーション」に落ちいっているとしている。野口悠紀雄氏は2013年時点から日本経済はスタグフレーションに突入したと言っていた。金融緩和策が機能していないというのだ。

だがこの時は何らかの理由でインフレそのものが起きていなかった。賃金上昇抑制はインフレを防ぐためにはむしろうまく機能していた可能性さえある。だが残念ながらこれはもう持続不可能だ。

春闘に期待する人もいるが野口名誉教授はむしろコスト・プッシュの要因になるであろうとしている。生産性が上がらないにもかかわらず賃金だけが上がってゆくからである。

そう考えると、むしろ現在の課題は「これがいいインフレなのか、それともスタグフレーションなのか」ではない。

これまでもスタグフレーションの条件が整っていたにもかかわらずスタグフレーションが顕在化しなかった理由が知りたくなる。

スタグフレーションは定義上はインフレが起きないと成立しない。初期には中国など安い国に生産拠点を移すことで物価上昇を防いでいた。100円ショップが街中に溢れた時代である。またその後は労働者や下請けなどが犠牲になり価格転嫁分を被っていたという要素もインフレを抑えていたのではないかと思う。

その後中国の人件費も上がってゆくが、政府はさまざまな政策や「お願い事」を駆使して物価上昇を防いできた。だが、ついに万策尽きたということになる。

定義上は「金融緩和政策が継続されなおかつ生産性が向上しない」状態が続けば日本はスタグフレーションから脱却できない。

日銀はゼロ金利政策は解除するが金融緩和策は継続する意向でありスタグフレーションの一つの要因は継続する。金利正常化の後も円高ではなく円安に触れるだろうと予測する識者も少なくない。

ではそうすれば定着したスタグフレーションを脱出することができるのか。これは経済を徹底的に痛めつけるしかない。

アメリカがこのスタグフレーションから脱却するためには大胆な金融引き締めを行うしかなかった。ボルカーショックと呼ばれている。

ボルカーショックのあとアメリカは短期間に2回景気後退を経験したそうだが、その後はインフレの抑制に成功したとして後世ではボルカーFRB議長を評価する声が高い。

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