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予算の年度内成立確定など 忙しい人でも3分くらいでわかる国内政治情報まとめ

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予算の年度内成立が確定した。ここでは「だいたいどんなことが行われているのかがざっくりと知りたい」という人向けに報道をまとめた。

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年度内の予算成立が確定へ 防衛予算の拡大だけが目立つ内容

2月28日の衆議院本会議を通過したことで2023年度予算案の年度内通過が確実になった。予算には衆議院優先規定があるため参議院で拒否されても衆議院の議決が優先し30日で自然成立する。ただし参議院でも自民党・公明党が多数派のため大きな問題が起きなければ順当に通過するものと思われる。国民民主党と維新は組み替え動議を提出したが否決された。

内容は増税を視野に入れた防衛費だけが膨らむ構成になっている。防衛費だけが突出しているという印象を与えないように「子育て予算も倍増させる」と総理大臣が表明し「虚偽なのではないか」と話題になった。官邸側は「いつまでにと期限は言っていないから嘘はついていない」と説明している。また最側近の木原官房副長官が「子供が増えれば予算も増えますよ」と言い捨てて批判の対象にになっていた。

野党は審議拒否はせずれいわ新選組だけが抵抗

審議拒否などが必ずしも支持率回復につながらないことから立憲民主党は目立った審議拒否はせず「安倍政権下の失われた10年」キャンペーンに注力していた。

与党との協力体制を構築するかに見えた国民民主党は党内や支持母体の連合をまとめきれず最終的には予算に賛成しなかった。玉木雄一郎氏が国民民主党をまとめきれなかった経緯については先日別のエントリーを作った。

目立った抵抗を見せたのはれいわ新選組だけだった。大石議員は「売国棄民予算!」と叫んだのだが規定時間内に投票を済ませることはできず反対票は無効になった。公明党は「意味がわからない」と困惑している。当の大石議員は「粛々と予算を通すなんて私には無理」とTweetしたようだ。

少子化が加速するものの政府は有効な対策を打ち出さず

少子化が加速し2022年の出生数は80万人を若干下回った。時事通信の記事にはグラフが出ているが自由落下的に出生数が減っており日本は子供を産み育てられる環境ではなくなっていることがわかる。官邸は危機感を煽るばかりだが有効な対策を打ち出していない。ただし時事通信のグラフを見ると婚姻数がやや回復傾向だ。コロナ禍で結婚式を延期した人が多かったのか生き方を考え直した人が多かったかなどの理由は明らかになっていない。

木原官房副長官は「子供が増えれば予算も自然に増えますよ」との発言を否定している。だが実際に日テレの番組で発言しており、確かにそのような発言はあった。先日に別のエントリーでまとめている。

官邸は危機的状況とは言っているが「いつまでにどれくらいのことをやります」とは言っておらず「子供が増えれば予算も増えるだろう」程度の認識しかないことがわかる。

政府はアメリカの意向を気にするが国民にはさほど興味がないことがわかる。国の安全の基(もとい)が人口であるとするならば安全保障上の大きな脅威である。

ただ、有権者の側も政治にはさほど興味はなく「他に代わりも見つけられないから」と今の政府を支持し続けている。このためこれら一連の発言が大きく反発されることはなかった。

林外務大臣がG20を欠席するもクアッドの会合には出席意向を滲ませる

G20が3月1日と2日に外務大臣会合を行うのだが林外務大臣は出席しない見込み。議長国インドの顔を潰すのではないかと外務省は心配しているようだ。ただしせめて「クアッドには参加したい」と言っている。日本の外交が国際協調には重きを置いておらず対中国囲い込みに優先順位を置いていることがわかる。残念ながらスケジュールの都合上こちらも難しそうだ。

「なぜこうなったのか」については過去にヒントとなる記事がいくつか出ている。審議スケジュールを決めるのは与野党の国会対策委員長の仕事だが高木毅氏(安倍派)があまりうまく機能していないようである。野党が審議遅延・拒否戦略を取らなかったことでかろうじて救われた形になっている。

岸田総理のキーウ訪問も実現していない。こちらは国会の事前承認を巡りそれぞれの党の思惑が交錯しているようだ。岸田総理がキーウ訪問したい理由は「G7で自分達だけが行けていないから」というものである。華々しい外交成果を出して得点を稼ぎたい人たちと成果を出されては困ると考える人たちが駆け引きをしている様子が伺える。

ただし事前承認は「慣例」に過ぎないため総理の訪問が法律上・憲法上できないわけではない。日本の政治は空気に流されやすい性質があるため、国民が熱烈に支持すれば結果的に反対した人たちが黙り込むということはあったのだろうがすでに各国の首脳がキーウ入りしており「遅れてやってきた」という印象は否めない。政治的な「度胸」の問題で乗り遅れたという印象はある。

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