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稲田大臣の嘘はいつまで続くんだろう

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国会で稲田防衛大臣が森友学園とは関係がないと嘘をついていた。弁護士事務所が夫との共同名義になっているのだが「名前が載っているだけ」だというのだ。ネットでは籠池元理事長のビデオインタビューとともに面白おかしく稲田大臣との関係が取りざたされているので「この大臣は嘘つきだなあ」という印象が強まるわけだが、ご本人は「関係がない」という当初のお話を貫き通したいのだろう。よく考えてみると森友学園の弁護人になっていること自体は犯罪ではないわけで、逆説的に「隠し通さなければならない事情がある」と白状していることになる。
まず最初に「いったん嘘をつくとひっこみがつかなくなるんだな」と思った。去年の夏散々安保法制は憲法違反ではないという嘘をついてきた。あの時はそのうち嘘がバレて大変なことになるのではと思ったわけだが、嘘を嘘でなくすプロのような人たちに囲まれているので、それは嘘でないということになっている。南スーダンの状況は泥沼だが「一定の成果が出たのでミッションコンプリートだ」と言っている。現在版の転戦宣言だ。そこで嘘をつくのをやめればよかったのだが、いったん嘘依存になってしまうとそこから抜けられなくなってしまうようだ。
ところが今回はちょっと違っている。永田町と霞ヶ関のような村では口裏さえあわせておけば「嘘を嘘でなくす」ことができたのだが、籠池さんみたいな「おもろいおっさん」が出てきてしまった。彼は多分「大義があって偉い人のお墨付きがあれば何でも通ってしまう」と思っているのだろうが、嘘職人にはそれなりの「エンジニアリング技法」みたいなものがある。いわば国会議員と官僚は嘘職人なのだ。
籠池さんみたいな「おもろいおっさん」には嘘職人に対するリスペクトみたいなものがない。だからこういうおっさんが跋扈すると困ることになる。彼らの芸術的なストーリーが崩れてしまう。いったん崩れたら最後、連座した人たちは嘘アーティストではなく単なる詐欺師になってしまうだろう。そこで「記録がなくなった」とか「忘れた」とか「認知していなかった」などというしかなくなってしまう。
ではなぜ彼らは嘘をつかなければならないのか。まず思いついた理由は民進党がだらしないからというものだ。政権交代の可能性があれば政権も少しは「ぴりっと」するのだろうが、その可能性はほとんどない。だから政権は嘘をつき放題になってしまう。
じゃあなぜ民進党がだらしないからというとそれは政権を取れるくらいの大きな約束ができないからだろう。民進党は赤字国債を発行するか、消費税増税するという提案しかできない。しかし連合という「今のままでいいや」という既得権益層と「原発と戦争はいやだけどどういう社会にしたいかという具体的なビジョンはないし継続してどこかの政党を支持するつもりもない」という人しか相手にしてくれない。
現在日本が取れる道はいくつかあるが、どれもぱっとしない。一つ目の道は衰退とそれに伴う負担を平等に受け入れて行くという道でもう一つの道はこのままではダメだということを受け入れて自ら変わってゆくという道である。
民進党の支持者(というより安倍政権が嫌いな人たち)は、目の前にある現実を受け入れられないが、それを変えるための意欲をほとんど持っていない。それは自らの変革を意味するのだが、そんなことはとてもできそうにない。上野千鶴子さんが炎上したことからもわかる通り、衰退を受け入れることもできない。
そこで安倍首相が編み出した画期的な方法が「衰退を見なかったことにする」というものだ。つまり安倍首相の存在がそもそも嘘にに支えられているのだ。安倍首相がその地位にしがみつくためには、支持者に嘘をつき続けるしかない。誰かからむしり取って支持者たちに利益を分配するしか道はない。これは国家的収奪行為なので、いったん手を染めたらやり抜くしかない。
だが、支持者たちはこの嘘の魔術師の苦労を知らない。そこで、だんだん収集がつかなくなってゆくのだろう。