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ショッカーはなぜ幼稚園バスを襲うのか

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大学生のころサークルでよく聞く冗談に「世界征服を狙うはずのショッカーはなぜわざわざ幼稚園バスから始めるのはなぜかか」というものがあった。この答えは簡単で、子供向けの番組なので、ターゲット層にとって切実な問題を扱ったからなのだろう。
だが、よく考えると世界征服のために洗脳しやすい子供から始めるショッカーの作戦にはある程度の妥当性がある。だが、ショッカーの幼稚園に子供を通わせる親はいないからショッカーは幼稚園バスを襲うしかないのだ。
さて、そんなことを考えたのは、瑞穂の国安倍晋三記念小学校の件が政治的な大騒ぎになっているからだ。森友学園は幼稚園児を洗脳し次には小学生を洗脳しようとしていた。いわばショッカーが幼稚園を経営していたようなものだ。
そこで問題になるのは親がショッカーと分かって子供を通わせていたかそうでないかという点なのだが、今のところは「分からなかった」ということになっているようだ。ただしいろいろとおかしな兆候はあったようであり、全く気がつかなかったといういいわけも立ちにくい。
保護者たちは必ずしも愛国的教育にシンパシーを感じていたわけではなく「そこしかいくところがなかった」という親もいるそうだ。もし、近くにもっとよい幼稚園があればこのような幼稚園に子供を通わせる親はいなかっただろう。
ここで新しい疑問が沸いてくる。なぜ他の教育機関は稚園を作らなかったのだろうか。ここで、幼稚園とか小学校とかは面倒な事業になっており、まともな企業は手を出したがらないのではないかという可能性が見えてくるのだ。
学校に「洗脳」という側面があるというのは疑いようのない事実だ。例えばミッション系の学校はキリスト教を広めるために非キリスト教地域に作られる学校を意味するし、民主主義を学校から広めるのも「洗脳」と言えなくはない。ただし、善い考えは押し付けるものではなく「内面からよいと信じさせる」ものであるべきである。
今回の森友騒動(一部では疑獄と呼ばれているようだが)は安倍首相が「もし土地の斡旋に関与してたら俺は辞めてやる」などと口走ったおかげで「首相夫人を証人喚問しろ」とか「検察でてこい」みたいな話になっている。だがそれだけが問題なのだろうか。
教育というものに情熱を持つ人がいなくなっており」「変な政治的主張を展開するため」か「補助金を食いつぶすため」か「将来土地を高値で転売するため」だけに教育機関を作るような人たちしか残っていない末に生じた問題だと考えると、大分見方が変わってくる。
つまりショッカーが問題なのではなく、ショッカーくらいしか学校や幼稚園を作らなくなった(つまり誰かを支配したいという病的な欲求を持った人たちしか教育に興味がなくなった)世界だということになり、われわれ側の問題になってしまう。さらにこの問題は有毒物質の存在を政府が隠蔽したのではないかという疑念も呼んでいる。もし掘り返して何かが出てきたとなると、政府が知っていながら子供を危険にさらしたことになってしまうのだ。
言い古された言い方なのだが、日本にはたいした資源がなく、もう人的資源くらいしか未来を託することができるものはない。だから社会が子供を育てるのだというのはおおむねコンセンサスとして受け入れられてきた。そんな国で誰も教育に情熱を傾けなくなったとしたら、国には何が残るのだろうか。
保育園にいたっては、企業もお金を出したくないし、保護者もお金を出せないというような状況になっているようだ。給料も出せないので保育園を作ることすらできない。
高度経済成長期のショッカーは幼稚園を経営できないので幼稚園バスを襲うのだが、もしショッカーしか幼稚園を経営する意欲がないような世界ができてしまったら仮面ライダーも手の施しようがないのではないだろうか。
意外とそんな情けない社会になってしまっているのかもしれない。