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イスラエル=ガザ和平の進捗

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イスラエル=ガザ和平の進捗についてCNNアルジャジーラの英語版の情報を元にまとめた。2つの見方がある。1つはバイデン政権の一方的なイニシアチブを嫌うネタニヤフ政権が独自の動きをしているというもの。もう1つはネタニヤフ首相がトランプ次期大統領と極右の板挟みになっているというものだ。

いずれにせよ停戦合意の後に110名を超える犠牲者がでている。政治家の主導権争いの影で大勢の無辜の市民が殺されており「国際政治とはこんなものだろう」とはとても書けない悲惨な状態が続いている。

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CNNとアルジャジーラをまとめると次のようになる。

まず安全保障関係のメンバーの承認手続きは先程終わった。今後は内閣のメンバー(33人もいるそうだ)の承認に入る。日程は決まっていない。当初の締切は19日の日曜日でアメリカの大統領就任式(20日)の1日前になるはずだった。

ネタニヤフ首相は「バイデン政権はハマスの停戦違反があった場合には再び戦闘を開始してもいい」との確約が得られたから承認手続きを始めたと言っている。おそらく第2フェイズ以降に進むつもりはないのだろう。

CNNは停戦開始後に110名がなくなったと言っている。アルジャジーラは116名が亡くなったとしている。2023年10月7日以来の死者は(ガザの保健当局によると)46,876人だそうだ。

ネタニヤフ首相の抵抗の背景にいるのは、例によってベン・グビル治安大臣とスモトリッチ財務大臣だ。スモトリッチ財務大臣は42日後にイスラエルがガザに復帰しなければ政府から離脱すると言っている。ベン・グビル治安大臣も同盟国に向けて和平案を撤回するように息巻いているそうだ。アルジャジーラには「野党が協力すれば極右をネタニヤフ政権から追い出すことができる」とする識者のコメントが出ていた。安全保障閣僚の会合後に内閣が崩壊するかもしれないという観測もでていたが今のところネタニヤフ内閣は崩壊していない。

ネタニヤフ首相のオブジェクティブは人質の解放ではなく「自身の延命」である。

これらの周辺情報を見ると次のような見方を組み立てることができる。バイデン大統領は自身のヘリテージを作るためにディールのクロージングを焦った。しかしネタニヤフ首相は内閣と戦時内閣をまとめきれていない。そこでバイデン大統領が一方的に状況を作るのを恐れ自分たちのイニシアチブを強調しようとした。

つまりネタニヤフ首相がバイデン政権を振り回しているということだ。

しかしテレビ朝日が「【独自】ガザの停戦合意めぐり ハマス高官「トランプ氏が直接介入して圧力かけた」」という記事を出している。ハマス側からの情報だ。この記事には「トランプ次期大統領はネタニヤフ首相に圧力をかけた」が「極右閣僚が抵抗している」と書かれている。つまりネタニヤフ首相は板挟みになっているという。国際政治学者の鈴木一人氏はYahooニュースのコメントで「どちらに進んでも、ネタニヤフは詰んでいる」と総括している。

最初の見方ではネタニヤフ首相が全体を振り回しているという解釈になる、この記事を参考にするとネタニヤフ首相は追い込まれていることになる。おそらく実際には「どちらとも部分的に正しい状況=すなわち事態の流動化」が起きているのだろう。今後極右が離れた隙間に野党が割り込むかそんまま内閣崩壊かということになる。

いずれにせよ、ガザの市民と人質家族はこうした政治家たちの動きに振り回されており精神的に非常につらい状況に追い込まれているものと想像できる。

バイデン大統領は就任直後にアフガニスタン撤退で混乱を作り出した。しかし、最後までその悪癖はなおることはなく最後の日を迎えようとしている。

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