REUTERSが「韓国軍、大統領拘束に向け官邸への警察立ち入り許可=聯合ニュース」という記事を出している。聯合ニュースの引用だが聯合ニュースの日本語版にはまだ記事が出ていないようだ。
これが確かなら大統領が本日拘束されることになるがそうすんなりとは進まないのが韓国である。
しばらく取り扱っていなかったために経緯をおさらいする。
野党代表の李在明氏がが公民権を失うまで秒読み段階に入っているため野党は弾劾裁判の執行を急ぎたい。このため数日前から野党側が弾劾告発要件から内乱罪を外そうとしていた。結果的に弾劾裁判で今回の行動が内乱に当たるのかは審議されないことになった。
野党は弾劾審議でさんざん「大統領は内乱を起こした」「大統領を庇い立てするものはすべて第二内乱だ」と騒ぎ立てていた。このため「あのときの騒ぎはなんだったのだ?」と疑問視されている。大統領の支持率はわずかながらあがり反対に野党の支持率は落ちているという。
一時国外逃亡の可能性があるなどと報道されたが大統領側は「協力姿勢」を見せていた。しかし、尹錫悦大統領は結局弾劾裁判に出廷しなかった。
このため「内乱罪による逮捕」についての話し合いが行われている。この時点では「大統領警護処」は警察を阻止する意向を見せているとされていた。
聯合ニュースの2つの記事の主語は「大統領警護処」となっているが、REUTERSの主語は「大統領官邸を警備する軍部隊」となっている。おそらくこれは同一ではないため警察は2つのバリケードを突破する必要があるということになる。軍は警察とは事を構えないことにしたようだが、大統領警護処がどう対応するかは未知数だ。
この時点ですでに公捜処は突入を警察に丸投げしている。もともと「共に民主党」が検察権限を弱体化させるために作った組織だったようだが、規模が小さく大統領に対峙する強い捜査・行動能力は付与されていないようである。この公捜処の弱腰ぶりも批判対象になっている。朝鮮日報のこの記事は弱腰ぶりを批判する野党を保守の立場から批判するという複雑な構成。野党は政府批判を公捜処に丸投げしていたが「成果が出ない」と見るやいなや「役に立たないなら廃止してしまえ」という声が上がったと、野党の場当たり的な対応を批判している。
文政権時代に無理筋で高位公職者犯罪捜査処を作ったのに他人事のように「廃止」を主張する人々【1月8日付社説】(朝鮮日報)
韓国は大統領権限が強い国でありこれがさまざまな問題を引き起こしている。しかしながら強い権限を持った大統領が不在になると様々な集団が責任の押し付け合いを始め収拾がつかなくなってしまうことがわかる。良くも悪くも強い権限を持った「王様のような存在」がいないと成り立たない国なのかもしれない。