ざっくり解説 時々深掘り

北方領土は帰ってこないし、拉致被害者も戻ってこないことを日本中が認識した日

2016年12月16日は北方領土が帰ってこないんだなあということを日本中が認識した日として記憶されるだろう。ネット上ではプーチン大統領が秋田犬をしつける写真が「プーチン安倍会談」を象徴する絵として出回っている。選挙で大勝することを期待していた二階さんは「国民はがっかりしているだろう」と落胆を隠さなかった。
安倍首相はなぜ北方領土問題を進展させられなかったのだろうか。それは「北方領土詐欺」の手法に引っかかってしまったからだ。あるテレビ番組によると詐欺は次のような手順で進むという。

  1. まずは安心させる。友達であることを認識して安心してもらう。
  2. 次に驚かせる。「なぜこの人は私が今まで誰にも話していないことを知っているのだろう」と思わせるなどして、詐欺師は特別な存在なのだということを被害者に感じさせる。
  3. いったん離れてみせる。詐欺の被害者が依存してきたことがわかったら今度は厳しいことを言って離れてみせる。すると被害者は「この人をつなぎとめるためには何をすべきだろうか」と考えて行動するようになる。嫉妬と説明されることもある。
  4. 周囲から分離させる。依存をさらに強めるために共通の第三者の悪口を言ったりして、引き離す。すると相談できる人が詐欺の加害者だけになるので、囲い込んで洗脳しやすくなる。

安倍首相側は「ウラジミール」とか「君」などと語っており、相手への依存が始まっていることがわかる。対するプーチン大統領は「閣下」という距離のある表現を使っている。詐欺でいうと「突き放し」のフェイズに入っていることがわかる。いつも待たせるというのもよい手法かもしれない。待っている間相手はその人のことばかりを考えて過ごすことになるからだ。
驚きがどう演出されたのかはわからないのだが「動かないとされていた北方領土問題を進展させる用意がある」というのが驚きになっているのではないかと考えられる。他にも小さなサプライズがあるのかもしれない。
このフレームワークでいうと残っているのは「分離」だ。例えば、トランプ大統領と親密なところを見せて嫉妬させた上で「実は君だけが本当に信頼できるパートナーなのだ」などと言えばよいだろう。「トランプは日本を食い物にしようとしているよ」などと吹き込めば、分離と囲い込みの完成である。
さて、安倍首相はなぜプーチン詐欺に引っかかってしまったのか。それは安倍首相の生育に関係しているのだろう。安倍首相は政治家の家に育ち「期待通りの子供」になることを強制されている。外からのインセンティブだけが動機になっているのだ。一旦就職するものの偉大な父親の秘書として囲い込まれ、その後は世間を知らないままに政治家になってしまう。一言で言えば「いい子」である。いい子は完璧をもとめ、相手の期待に応えようとする。いい子にとって一番苦痛なのは、ご主人様が何を期待しているかわからない時である。すると人間関係そのものが構築できなくなってしまうのだ。
この皮肉なメカニズムは共感がなぜ生まれるかということを考えるとよくわかる。共感は自分の経験が相手と合致したときにうまれる。つまり、自分の内的な状態に目を向けない限り共感は生まれない。普通の人が感じている共感ができないと、いつも疎外された状態になる。そこに明確な規範がもたらされるとそれにすがってしまうのだ。依存が病的な状態なのはそのためだ。
安倍首相は、歴史的な偉業を達成するであろう自分と力強い指導者であるウラジミールを待ちながら、安倍晋太郎元外相の墓参りをし「おとうさんより偉大な政治家になるからね」と報告していたのだろう。明らかに周りが見えなくなっている様子がわかる。
だが、安保法制で「僕の自衛隊」を国連に差し出したのと同じように、もともと自分のものを相手に差し出すことによってしか、自分の存在感を相手に認めさせることができない人なのだ。皮肉なことにこれが安倍首相が総理大臣になれた秘密なのではないだろうか。こういう人がトップにいてくれたら、まわりの政治家は「おねだり」するだけでいくらでも美味しい思いができるからだ。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です