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「イスラエルの情報がアメリカ経由でリーク」の波紋

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今、英語メディアで「イスラエルの情報がアメリカ経由でリークされたらしい」という問題が語られ始めている。情報はファイブアイズで共有されていたが、おそらくイスラエルは知らされていなかった。そしてこれを対外的にどのように伝えるかが政治問題化している。

日本のメディアはリベラル寄りのメディアから情報を取ることが多いためしばらくこの問題が大きく和訳されることはないのかも知れない。どんな情報でもたちどころに伝わるようになったと思えるがまだまだ日本語と英語の間には壁がある。

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最初に情報漏洩の可能性を伝えたのはアクシオスだった。リベラル系のメディアだがバラク・ラビッド記者がイスラエル側の情報を流すことがある。親イラン系のメディアにイスラエルの情報が漏れていて、どうやらアメリカから出たらしいと言われていた。

翌日になってCNNがアメリカの高官にこの情報をぶつけた。高官は情報がアメリカのものではないと否定はしなかった。ここでどうやら情報は本物らしいということになった。

アメリカの捜査当局は情報漏洩が「リーク」なのか「ハッキング」なのかを明らかにしていないそうだが、CNNは内部漏洩の可能性が高いのではないかと分析している。つまりアメリカ国内にイスラエルのイラン攻撃を憂慮する人がいてわざと情報を流す「ホイッスルブローイング(内部告発)」の可能性があるということだ。

バイデン大統領は「事態を注視する」としている。アメリカ合衆国にとって微妙な問題でありいつどう報告するかは政治マターになる。日本のメディアが好んで引用報道するリベラル系のメディアがこれを伝えることはしばらくないのではないかと感じる。また世論誘導を狙う人たちが新聞(WSJ、WS、NYT)経由で情報を流すこともなさそうだ。

だがそもそも何が問題なのか。CNNは「この微妙な時期にイスラエルがアメリカを警戒して情報を渡さなくなる可能性がある」と心配している。つまり大統領選挙に取って最悪の時期にイスラエルが極端な行動を起こすことを恐れているのだろう。

だがBBCはもっと踏み込んでいる。

第一にイスラエルが何らかの行動を起こした場合「答え合わせ」ができる。この時点で「アメリカが何を知っていて何を知らなかったのか」が皆に伝わってしまうのだ。さらにBBCは核兵器攻撃について懸念している。イスラエルが核兵器を使ってイランを攻撃する可能性は低いと見られるがこれを内部文書で検討した瞬間に「やはりアメリカはイスラエルの核兵器保有を知っていた」ことがバレてしまうのだ。イスラエルが核兵器を持っていることは公然の秘密だがアメリカ合衆国はこれを知らないことになっている。

ブリンケン国務長官はエルサレムでネタニヤフ首相と会談している。ハマスは代表をガザにおかずカタールでの集団指導体制に移行することに決めた。つまりイスラエルはガザでの目標を達成したことになり和平のチャンスといえる。しかし実際にはイスラエルを警戒しておりスパイ活動を行い(スパイ活動じたいは公然の秘密とされている)その分析結果がネットに広く出回っている。

このニュースではファイブアイズの特殊な結びつきも注目ポイントだ。民主党と共和党穏健派は「同盟重視」と言われる。だが実際には英語が通じる人たちとの結びつきは特別なものでその他の同盟関係とは明確に区別されていることがわかる。イスラエルに対する支援は国内にいるユダヤ系の支援を期待しているからこそ成立している「お金の関係」だ。ましてや日本との同盟などその優先順位はあまり高くないだろう。

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