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「私達の王ではない」 チャールズ3世国王が議会で罵声を浴びる

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オーストラリアの議会である上院議員がチャールズ3世国王に対して「あなたは私達の王ではない」と叫び議場からつまみ出されたそうだ。分析の一つに「オーストラリアは先住民と条約を結んでいない」と指摘するものがあり、ニュージーランドとは違う状況があることがわかる。オーストラリアとは何かが政治的課題になることはあるが国民全般の関心はそれほど高くないという。それよりも自分たちの暮らしのほうが重要と考える人が多い。

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BBCによると罵声の主は「先住民」のリディア・ソープ上院議員だ。「あなたは私たちの国王ではない」と叫んだ。Wikipediaの英語版で調べると過激な発言で知られる活動家で過去にいくつもの問題を起こしている。この叫びに同調した逮捕者も出ているが運動としてはさほど大きく広がらなかった模様である。

ただしイギリス国王を好ましくないと考えるアボリジニ(特定の民族の名前ではなく先住民一般を指す)は少なくないようだ。オーストラリアには根強いアボリジニ差別があり経済格差も大きいという。

CNNは興味深い指摘をしている。条約の不在だ。

自身も先住民であるソープ氏は長年、条約締結を訴えており、これまでも英国君主制に激しく反対を表明してきた。オーストラリアの先住民は主権を譲り渡したことはなく、英国王室との条約締結にも関与したことはない。オーストラリアは英国国王を国家元首とする連邦国家であり続けている。

オーストラリアの先住民議員、訪問中のチャールズ国王に怒声 「あなたは私たちの国王ではない」

例えばニュージーランドとマオリの間にはワイタンギ条約と呼ばれる条約があり現在も生きている。ただしワイタンギ条約は英語版とマオリ版の表現が一致していない部分のある不完全な条約で今では「問題があった場合にはどちらも参照するように」と求められているそうだ。アングロサクソンならではの狡猾な方法といえるがそれでもないよりはマシである。

オーストラリアでは1999年にイギリスから独立して共和国になるべきかという国民投票が行われており反対55%でかろうじて否決されている。また2023年には先住民を最初のオーストラリア人と認めるべきだとする憲法改正案が否決されている。

中道左派のアルバニージ政権は「憲法改正」でオーストラリア人意識を高揚させたいという思惑があったようだが、国民は「生活に関する身近な問題のほうが重要」と考えており憲法改正を「問題隠し」と見なす傾向が高いという。

このようにチャールズ3世のオーストラリア訪問はオーストラリアの政治問題を刺激する可能性があった。このため、チャールズ3世じしんが「オーストラリアの問題には干渉しない」という意向を示していた。

今回の議会での罵声はチャールズ3世にとっては「手荒い歓迎」になったがそれでも大きな反対運動が巻き起こることはなかった。チャールズ3世国王はイベントを無難にこなしており、全体的に訪豪は成功だったのかも知れない。

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