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バイデン大統領の庇護のもとイスラエルが暴走

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本音ではパレスチナ国家との平和共存を認めないネタニヤフ政権のもとでガザ地区と西岸に対する攻撃が加速している。西岸ではかつてない規模でイスラエル軍が展開している。ガザ地区では国連の支援部隊が攻撃され、ポリオの流行も始まった。イスラエルはポリオワクチンの接種キャンペーンのために「数日の一時停戦(ポーズ)」を容認したと言われているが、専門家たちは「これでは足りないだろう」と指摘している。

パレスチナの状況は偽善と人間の冷酷さの博覧会場のようになっている。

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もうすぐお話するようになる。そこら辺を這い回って面倒を見るのが大変になるだろう。乳児親なら誰でも我が子の成長にちょっとした不安と期待をふくらませるだろう。もうじき1歳になるアブドゥル・ラフマン君の両親もそんな親の一人である。だが両親の願いはもう叶いそうにない。、アブドゥル・ラフマン君はポリオに感染した。ガザ地区では25年ぶりの感染者になったのだ。

来月で1歳になる。今頃はもう、歩いているはずだった。けれど突然、動くのをやめた

「突然動けなくなった」 ガザで25年ぶりポリオ感染の乳児、ワクチン間に合わず(CNN)

この報道を受けてイスラエル軍はハマスとの間に「地区を分けた一時停戦(ポーズ)」を提案している。ただし一時停戦機関は3日間でしかないため支援者はこれでは十分ではないと反論している。

イスラエルの行動は「人間はここまで残酷になれるのか」と言う見本になっている。

ガザ地区では国連WFPの人道支援が行なわれている。WFPはイスラエル当局と調整を行い支援を実施していたがイスラエル軍に銃撃されている。イスラエル軍は支援を容認しその支援者に攻撃を加えて萎縮させる。

希望を持たせたうえで、あえてそれを打ち砕き、支援者の心を徐々に破壊してゆくのだ。

ネタニヤフ首相はイランの外交施設や首都テヘランを攻撃しイランを戦争に巻き込むことに成功した。アメリカもイランもネタニヤフ首相の意図が挑発にあることはわかっているが十分に挑発を止めることはできていない。イスラエル北部住民は避難を余儀なくされているが外からの脅威が増したことでネタニヤフ首相の支持率は上がっている。少なくともネタニヤフ首相にとっては合理的な行動なのである。

西岸でも激しい攻撃が加えられ軍が展開している。ハリス副大統領は人道重視の立場からイスラエルに毅然とした対応をすると宣言しておりバイデン大統領も西岸入植者に経済制裁を食わえているがイスラエルの暴走を止められていない。

ネタニヤフ首相にとってアメリカを分断する大統領選挙はまたとない好機になっている。イスラエルを見捨てることはバイデン政権にとっては外交敗北を意味するとよくわかっているのである。結果的に民主党の主張はすべて単なる偽善になっている。

言っていることとやっていることが違うではないかというわけだ。

ハリス氏に追い込まれているトランプ氏は民主党攻撃を強めている。最近ではアフガニスタンの悲劇を蒸し返すために国営のアーリントン墓地で大統領ごっこをやってみせた。安全保障政策でバイデン大統領は無策であったと強調する狙いがある。

もちろんハリス氏は大統領選挙で手一杯になっていてアラブ系対策として民主党に批判的だったエジプト系弁護士を取り込もうとしている。一部の民主党支持のアラブ系は「白票行動」を通じてバイデン政権に異議申し立てをしている。これを阻止したいのだろう。

最も深刻なのはトランプ氏が民主党批判を強めれば強めるほど民主党側が「強いアメリカ」を有権者に保証しなければならなくなることだろう。結果的に現状把握と有権者への説得ができなくなる。

バイデン大統領が支援をやめてイスラエルがイランに攻撃されると「バイデン政権の敗北」が確定的になり大統領選挙が破壊される。泥沼から片手を伸ばし助けようとしているアメリカを引きずり込むというネタニヤフ首相の作戦はまんまと成功しつつある。

このイスラエルの状況を横目で見ていたウクライナも「極端な行動を起こしアメリカを引きずり込めば良いのだ」と気がついたようだ。ロシア領に展開し「ロシア領を攻撃することはウクライナの権利である」と主張し始めた。これはウクライナ市民の安全を脅かす(実際にこれまでにない規模の攻撃がウクライナ側に展開されている)が、政権の維持には役に立つ。

イスラエル(ガザ)の状況を作り出したのはハマスであり、ウクライナの状況を作り出したのはプーチン大統領だ。アフガニスタンの撤退に刺激されたプーチン大統領がウクライナに侵攻しこの混乱を横目で見ていたハマスも長年の蓄積を使うのは今であるとばかりにイスラエルへの攻撃をを加えた。

アメリカ合衆国はこうしたポップアップ型のイベントを扱えなくなりつつある。救出もできずかといって見捨てるわけにもいかない。手を伸ばしてきた相手の手を振り払えず泥沼に引きずり込まれる。

本来ならばこの状況を冷静に分析したうえでアメリカ国民に「どの程度までコミットするか」を問うべきなのだろう。だが、今のアメリが合衆国にはそのような政治的余裕はない。

この文脈で考えるならば中国が日本の領空を侵犯した事案なども同様の危険性をはらんでいると言えるだろう。今回の件はおそらくは日本のすずつきの事案がきっかけになっている。日本が挑発したから自業自得だと言うつもりはない。むしろ中国側が冷静に利用しているといえる。「深読みしないように」との説明を繰り返した。中国側の意図は不明だが政権の幹部たちは意味がよくわかっているのではないか。すずつきの際に同じ説明をした可能性がある。

すずづき事案が岸田政権の意図であるかあるいは現場の暴走なのかはわからない。だが、中国はこれを冷静に利用しており「他国の領土侵攻の意図はない」と言っている。二階幹事長らが中国を訪れているだけでなく、米中高官の対話も継続中だ。アメリカ側はこの問題を持ち出したようだが日本の行動がきっかけになっているとすれば何も言えなくて当然だ。そもそもウクライナとイスラエル問題を抱えるアメリカに中国と対峙する余裕などない。

結果的に領空を侵犯されても岸田政権は注視以上の対応ができないと言う実績が作られた。場当たり的な責任回避行動に終始する日本の「放任・自由落下容認」型の政治家と詰将棋的な中国の政治家・軍人を比較するとどちらが勝利者になるかは火を見るよりも明らかだ。

プライドが高い日本の保守界隈は「中国の挑発に乗らず淡々と対応しましょう」などと主張し部屋の中の巨大な象を無視しようとしているがおそらく国際的な安全保障環境は日本人が考える以上に変化している。

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