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現在156円台 河野太郎氏が円安進行を阻止?

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一時160円台を超えて進行していたドル・円相場だが現在は156円台で推移している。為替介入が会ったのではないかと囁かれたのだが実は「河野太郎氏のインタビューが影響した可能性がある」そうだ。現在のドル円相場がアメリカの投資家たちの思惑で動いていることがよく分かる。

仮にアメリカの投資家の影響で円高になったとすると秋には一瞬円高に動く時があるのかもしれない。FRBは9月に一旦利下げを行うと考えられている。ただその後の為替がどう動くかは未知数だ。仮にトランプ氏が大統領になればかなりのインフレが予想されている。FRBも利上げに動かざるを得なくなるだろうが今度は利下げを織り込んだ利上げにはならないかもしれない。

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ロイターの記事は次のように書いている。次期大統領の可能性がでてきたトランプ氏の発言が影響するのはわかるが、なぜ日本側は岸田氏ではなく河野氏なのだろうか。

順番に見てゆこう。

東京時間には、ブルームバーグが伝えたトランプ氏の円安を懸念する発言や河野担当相が円安是正のため日銀に利上げを求めた発言が材料視されて、弱含んでいた。

ドル円は156円前半に下落、日米両サイドから材料(Reuters)

まずトランプ氏がブルームバーグのインタビューに答えた。トランプ氏の経済認識は1980年代で止まっている。日本は為替操作を行う悪辣な国であり円安のメリットを享受していると考えている。このため日本を不作法な国と糾弾している。

トランプ氏は、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘。米国の輸出企業にとって「すさまじい負担だ」との懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対し「不作法だ」と不満を漏らした。

トランプ氏、ドル高は「大きな問題」 FRB、選挙前利下げ回避を(時事通信)

またトランプ氏はFRBの利下げにも反対している。冷静に考えると利上げこそが円安の原因になっているのだから利下げが行われると円安は沈静化するはずだ。だが、トランプ前大統領も細かい理屈は気にしない。1つ1つ気に入らないことがあれば文句をいい誰かのせいにするのが現在のMAGA共和党流である。

ではなぜトランプ氏はFRBの利下げに反対しているのか。トランプ氏の政策は保護主義と低金利の組み合わせで高いインフレを招くものと予想されている。

Bloombergのインタビューに答えがあった。要するに「バイデン大統領の手柄にしたくない」という理由で反対しているようだ。トランプ氏を政策本位で理解してはいけない。あくまでも「自分にとって何がトクなのか」で動いているに過ぎない。そしてそれを堂々と主張するところにアメリカ人は魅力を感じる。

その一方でトランプ氏は、米金融当局が11月の大統領選前に利下げして、それが経済およびバイデン大統領への追い風となることを控えるべきだと警告。ウォール街では、選挙前の1回を含め、計2回の年内利下げを完全に織り込んでいるが、トランプ氏は金融当局について「彼らはそれをやるべきでないことを分かっている」とコメントした。

トランプ氏が政権構想明かす、経済・防衛・外交網羅-FRB議長運命は(Bloomberg)

アメリカ側の要因はわかった。では日本側の要因はなにか。

河野太郎氏は日本では次期総裁選レースからは出遅れていると考えられている。マイナンバーカード健康保険証問題でつまづき、麻生派にいながら菅前総理のエンドースメントを得ようと接近するという「コウモリ的」なところが嫌われている。しかしアメリカ人にはそんなことはわからない。今回のBloombergのインタビューでは「次期総裁を目指す有力者」と紹介されている。またトランプ氏の意見に同調するとも言っている。

つまりこの記事だけを読むと「河野氏はトランプ氏の意見に同調する次期トップリーダーの一人」ということになる。自分を大きく見せることには長けていて、アメリカ人に響いた。

アメリカの投資家はおそらく英語ニュースの見出しでトレードの意思決定をしているのだろうということがわかる。

トランプ前米大統領は16日に掲載されたブルームバーグ・ビジネスウィークのインタビューで、日本が円安の恩恵を受けていると批判した。河野氏は日本も過度の円安を懸念しているとし、両者の「見方は恐らく同じだ」との見解を示した。

日銀は円安是正のため利上げを-河野デジタル相単独インタビュー(Bloomberg)

仮にロイターの観測通りに本当に介入がなくこの両者の発言で状況が動いたとすると現在のドル円相場はアメリカにいる日本の事情をよく知らない投資家たちの思惑で大きく動いていることになる。

なおトランプ氏は台湾についても防衛費を支払うべきだと主張しているそうだ。台湾がアメリカの仕事を奪ったと糾弾したうえで、アメリカは保険会社のようなものだから保険料はきちんと支払ってもらわなければ困ると主張した。

トランプ大統領はそれぞれの事象を個別に判断したうえで自分たちの印象を押し付け気にいらないことがあれば割り込み自分たちのサービスを高く売り込もうとする傾向がある。そして細かいことがわからないアメリカの有権者はそんなトランプ氏が大好きなのだ。

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