銃撃事件を受けたトランプ氏が「大統領選挙第三の男ケネディ氏」に電話をかけた。すわ命を失うという事態でさすがのトランプ氏も神妙になってしまうのではないかと思われたのだがそれは杞憂に終わった。電話の内容を聞く限りトランプ氏は今日も絶好調だった。
ケネディ氏は情報のリークを謝罪したものの立候補の取り下げは行わなかった。またバイデン大統領は憲法改正を含めた最高裁判所改革を打ち出すものと見られている。
ロバート・ケネディ・ジュニア氏は大統領選挙の第三の男である。トランプ氏とバイデン氏の双方の不満の受け皿になる可能性があるとして両陣営から警戒されている。トランプ氏は当然ケネディ氏に立候補を諦めてもらい自分への推薦(エンドースメント)を得たい。
そこでトランプ氏はケネディ氏に電話をかけて「俺が勝つから立候補は諦めろ」と主張した。ただそれでは「取引」にならないと思ったのだろう。ケネディ氏のワクチンの主張は理解できると述べた。なぜかその内容がSNSで拡散され話題になっている。
銃撃戦については興奮気味に「なんかすごいことが起きたぞ」と伝えたかったのだろう。しかし彼の語彙は限られており「世界一大きな蚊のような音だった」というものになっている。
米大統領選で、共和党のトランプ前大統領と、「第3の候補」と呼ばれるロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)の電話での私的な会話がインターネット上に流出した。トランプ氏は、13日の銃撃で右耳を負傷したことについて、「世界一大きな蚊のような音がした」と語った。
トランプ氏、銃撃は「世界一大きな蚊のような音がした」…ケネディ氏との私的電話が流出(読売新聞)
次にワクチンについて自分の考えを説明した。立候補を諦めればワクチンについて味方してやるというつもりだったのかもしれない。だが言っていることが無茶苦茶だった。まずワクチン(これはコロナではなく小児用の複数のワクチンを指すようだ)は馬のために開発されたものをそのまま人間に使っていると主張。その後ワクチンを打ったあとに性格が豹変する子供が相次いでいるとも言っている。ABCはこのニュースを伝えたあと「この主張は虚偽のものである」と付け加えていた。
ロバート・ケネディ・ジュニア氏のワクチンに対する主張もかなり陰謀論的なものでありYouTubeからは削除されているそうだ。だが陰謀論には陰謀論なりの組み立てがある。この組み立てから外れたことをいうと却って「自分のことを理解してくれていない」と怒り出す事も考えられるだろう。だが「ケネディ氏の出馬を阻止したい」という思いで頭がいっぱいになっているトランプ氏はそんなことは気にしない。相手の主張には全く興味はないのだろう。
いずれにせよトランプ氏は得意げに銃撃事件について語っており一方的に自分の主張をまくしたて相手の気持ちなど全く理解していない。トランプ氏のキャラクターは全く変わっていないことがわかる。
日本のトランプ支持者の中には「神の意志に触れた」トランプ氏の人格が変わってしまうことを恐れていた人もいるかもしれない。それは「弱さ」の象徴だ。だが、そんな心配は全く無用のようだ。
ケネディ氏は「大統領(この場合はトランプ氏)に謝罪する」としたうえで動画を削除している。が本当に間違ってアップされたものかどうかはわからない。トランプ氏の「絶好調ぶり」が伝わってくるからである。
バイデン大統領も虚偽を織り交ぜた主張でアメリカの民主主義が無茶苦茶になってしまうことを恐れているのだろう。文化闘争に加担しトランプ大統領の裁判を阻止するために大統領の絶対免責を認めた最高裁判所の改革を訴えている。しかしこちらは大統領・上院・下院が揃って民主党にならなければ実現しないのだろうし、憲法改正はもっとハードルが高い。民主党は7月にバイデン氏を正式候補として指名するスケジュールをキャンセルし8月に延期した。内部ではおそらくバイデンおろしが収まっていないのかもしれない。できれば8月15日までに行いたいとしている。
結局「暗殺未遂ごとき」でアメリカの政治情勢が変わることはまったくなかったようだ。これまでにも増して激しい文化闘争が虚実入り交じる中で展開してゆくことになりそうだ。
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