というわけで、日本の国柄とか民主主義とかを考えている。これまでいろいろ好き勝手に書いてきて、国の文化を他国と比べたら日本にふさわしい民主主義の形が見つかるのではないかと思った。そこでホフステードの最新版データをダウンロードしてきて、Rでクラスター解析してみた。クラスターの数は7つ。といっても難しいことは何もない。kmeansという関数をくぐらせるだけである。これが妥当な方式かどうかは分からないのだが、余興としては面白そうだ。
7つのグループを作ったのだが、スロバキアが単独でグループを形成したために6グループになった。指標は左から、1.権力格差が大きいか、2.個人主義かどうか、3.競争が激しいか、4.リスクを避けたがるかということになっている。
第一のグループは権力格差が低い個人主義国だ。特徴は共助の精神が旺盛で居心地の良さを求めるという点。左派・リベラルの人が憧れる国が並んでいる。オランダもワークシェアリングと同一労働・同一賃金などで有名だ。北欧の人たちが「とりあえず思いついたことを試してみよう」と考えるのに比較して、オランダ人はやや慎重らしい。
次の国々は個人主義ともいえないし権力格差もそこそこという国だった。割と慎重な人たちが多い。そして「居心地の良さを求めるかどうか」という点に関しては差が大きい。福祉にお金をかけそうな国が上位になるように並べた。こういう国は多党制民主主義があっているのではないかと思う。
日本はこのグループに入る。日本で民主主義がそこそこ根付いたのは偶然ではないということになる。日本は島国だが「大陸民主主義型」とした。イギリスが含まれていないからだ。このグループにはフランスが含まれるが、フランスは二大政党制だそうだ。なお12分類すると、このグループは解体し、日本はドイツやイタリアと同一の一群を形成する。フランスベルギーなどと独立したグループを形成した。
次の国々は権力格差が大きく集団主義の国。リスク回避傾向にはばらつきがある。競争的かどうかという点では中位だ。アフリカ、中国、インド、ASEANのいくつかの国が含まれる。ホフステードはアフリカを東西にざっくり分けているので、サブサハラの国はすべてこの中に入った。どうラベリングしていいか分からなかったので「開発途上国」としたのだが、Developingの綴りを間違えた。インドは世界最大の民主主義国として知られている。
意外とここに入る国が多かった。アラブ圏、ロシア、中南米の国、トルコが入る。この中で「まともな民主主義」国はウルグアイしかない。中南米はうまくやっていると思う。現在テロが蔓延している地域なのだが、意外なことに韓国、タイ、ポルトガルが含まれている。「民主主義が失敗して軍隊が介入しました」というのが時々ニュースになるが、すべてここに含まれているのだ。調べてみるとポルトガルも軍政を経験しているそうだ。
基本的にこういう国では民主主義は無理なんだろうなあと思う。特徴は権力格差が大きく集団性が高いところだ。リスクも避けたい傾向があるらしい。
なぜか日本人が憧れてやまない国々。明治政府はドイツ型の憲法を導入したし、現在の政府はアメリカ製の憲法を押し付けられた。個人主義が強く上から押さえつけられるのを嫌がる傾向がある。北欧型との違いは、競争するのか共助で行くのかという点だろう。こういう国では個人が自己主張するのでコンペティションが成り立つのだろう。スイスが入っているのはおかしいと思う人がいるだろうが、ホフステードはスイスを2つにわけている。これは平均値を取ったもの。
最後はどっち付かずの国々。ウラル民族のフィンランドとイランなどが入る。個人主義の度合いが低いことでここにまとまったようだ。イランを除いて権力格差が大きくない。
最後に色分けした。現在の世界は、中ロ(時々イスラム)・欧米が対立している構造を持っているのだが、この色分けでいうと、薄いブルーと緑・茶色、青、赤国家の対立ということが言えるだろう。
ちなみに、クラスターを12に分離するとグルーピングが変わった。
- バングラディシュと南米の一部(大コロンビア地域)
- ドイツ・イタリア・日本(日独伊三国同盟)+ハンガリー
- 北欧
- 中国・インド・マレーシア・フィリピン
- アフリカ・香港・インドネシア・ジャマイカ・シンガポール・ベトナム
- アングロサクソン諸国
- アラブ・アルゼンチン・ブラジル・イラン・スペイン・トルコ
- ブルガリア・南米の一部(太平洋岸)・韓国・スロベニア・台湾・タイ
- フランス・ベルギー・ポーランド
- スロバキア
- ギリシャ・ポルトガル・ルーマニア・セルビア・スリナム・ウルグアイ