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ロシアと北朝鮮の同盟は「本当に同盟なのか?」問題

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ロシアのプーチン大統領が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とベトナムを歴訪した。西側のロシア包囲網に屈しない姿勢を示すものと考えられている。北朝鮮との間には「包括的戦略パートナーシップ条約」が結ばれたが、その内容についてさまざまな議論がある。これを同盟と考えていいのか?が議論の対象になっている。

この約束がどのようなものであれ、いずれにせよロシアを中心とした「はみ出しもの」の軍事ブロックが形成されつつある。第二次世界大戦前の日独伊三国同盟を思わせる「国際的に孤立した国の同盟」である。今回の一連の騒動のきっかけは2014年あたりから始まったロシアのクリミア・ウクライナ侵攻だ。ヒトラーのズデーテン侵攻を思わせる始まり方をしており「歴史は繰り返すのかもしれない」と感じるが、日本政府の姿勢は「憂慮する」にとどまっている。

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ロシアと北朝鮮のパートナーシップ条約は

  • 国連が定めた集団的自衛権の概念を元にしており
  • 利用可能なあらゆる手段を用いて直ちに軍事援助やその他の援助を提供する

と言う内容になっている。

ロシアと北朝鮮の結びつきを警戒する人たちは「ベラルーシとロシアの関係に近いものだ」などと指摘する。ベラルーシはCSTOの枠内でも特別ロシアに近くロシアの核兵器を自国領内に設置している。起爆装置などはロシアが握っているものと考えられているがベラルーシの大統領は自国の安定に寄与すると主張する。だが北朝鮮は独自の核兵器開発技術を持っている。ロシアにとっては潜在的脅威になり得る複雑な存在だ。

一方で条約は本物の同盟ではないと主張する人もいる。「できる限り支援すると言っているに過ぎない」からだ。アメリカが各国と結んでいる同盟条約には「相互防衛義務」が入ったものがある。日本とアメリカの安全保障条約もその1つだ。だが、今回のパートナーシップ条約」にはそのような約束は含まれていない。日米安全保障条約がフルスペックの同盟だとするとロシアと北朝鮮の条約はそうではないと解釈できる。

ロシアはイランとの間にもパートナーシップ条約を結ぼうとしているが、こちらはライシ大統領らのヘリコプター事故でペンディングになっている。仮に事故がなければ今頃はロシア・アルメニア・ベラルーシ・カザフスタン・キルギス・タジキスタンからなる集団安全保障条約機構(CSTO)に加え、イラン・ロシア、北朝鮮・ロシアというロシアをハブにした軍事ブロックが展開されていた可能性もある。2014年のクリミア侵攻から始まった「新しい世界」は10年経ってNATOに対抗する新しい軍事同盟に変化しつつあるのだ。

CSTOには防衛義務が含まれているがアゼルバイジャンとアルメニアが争った時にはロシアは事実上介入しなかった。これに腹を立てたアルメニアはCSTOから撤退すると言っている。独裁国家において国家が約束を守るかどうかはすべて独裁者の胸先三寸で決まる。

今回のロシアの拡大に対して中国はどう反応するのだろうか。事実上の外交的敗北だと指摘する人もいる。だがこれはアメリカ側の発言だ。北朝鮮を中国の保護国との印象をつけることで「中国になんとかしてほしい」と主張しているに過ぎない。

一方で経済でのプレゼンス拡大を狙っている中国は今回の動きに沈黙を守るのではないかと指摘する人もいる。中国は台湾を武力的に侵攻する野望があるなどと言われることがあるが実際の軍事行動にはかなり消極的だ。

ロシアのウクライナ侵攻によりロシアは国際的な孤立を強めているが、そのロシアが孤立した他の国(北朝鮮とイラン)を巻き込んで第二次世界大戦前の日独伊三国同盟のようなリーグを結成しつつある。

アメリカもNATOもこの動きに警戒感を強めている。アメリカはどちらかと言えばこれを「覇権ゲーム」のように捉える傾向にあるが、NATOでは具体的な準備が進む。次の事務総長にオランダのルッテ首相が内定した。トランプ大統領の二期目に備えてアメリカから権限を移行していると言う話も伝わってくる。

世界情勢は急速に変化しつつあるが日本の政治も国民もこれにまったく対応できていない。そもそも今回の動きはあまり大きく報道されていない。代わりに取り上げられているのが東京都知事選の「女傑対決」である。

権力にしがみつく岸田総理のもとで政府の意思決定はほぼ麻痺状態に陥っている。国会が閉幕すると総裁選に向けた水面化の動きが加速すると言われている。すでに茂木幹事長が菅義偉前総理とステーキ会食したと言う話や高市早苗氏が本の出版すると言う話が聞こえてくる。田中角栄の「日本列島改造論」の頃からなのか次期総理大臣を狙う人は国家観を示す本を出版し総理大臣に対する意欲を示すと言うのが永田町の慣例になっている。

自民党員を含めた国民は蚊帳の外に置かれ次期総理の椅子を狙う人たちが首相経験者などの実力者と会食を行い「選挙運動」が加速する。今回のロシアと北朝鮮の条約について林芳正官房長官は「憂慮」していると言う。つまり心配して見ているだけで何もしないと言う意味だ。

日本の安全保障政策は「アメリカについてゆく」と言うものなので、当然次のアメリカ大統領が決まるまでは日本は何も決めることはできない。さらに自民党の政治家たちは権力闘争期間に入る。とても国民生活に関心を向けているような時間は彼らにはないだろう。

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