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岸田総理と交渉する維新の恐怖体験はサイコパス対応に似ている

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平気で嘘をつく人たち」という本が流行したことがある。岸田総理の行動を見ているとこの本を改めて読み返したくなる。維新から嘘つき呼ばわりされたあと改めて文通費改革に意欲を表明した。普通の人は嘘をつくと罪悪感を感じるものだが、そうでない人がごくたまにいる。この手の人は全く傷つかないが相手にした人の人生が破壊されることがある。今回被害を受けているのが維新だ。

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平気で嘘をつく人たち」はM.スコット・ペック氏の1983年の著作。アメリカの精神科医が自身の経験をもとに「平気で嘘をつく人たち」を分類している。嘘をついてはいけないというキリスト教的な価値観をもとにしているが実際には社会から嘘つきが消えたわけではない。おそらくこの本を読む人たちの目的は「この手の人たちにどう対応すべきか」を学ぶことだろう。

キリスト教社会のアメリカでは「嘘をつくのは異常であってはならないこと」とされている。このためこうした人たち一時は「サイコパス・ソシオパス」などと呼ばれていた。だが、このラベルは現在の精神医学では使われなくなっている。「あの人はサイコパスだ」と安易なレッテル貼りに使われてしまうこともあるためだ。

その後の研究からも彼らは罪悪感を感じたり相手に共感する能力が低いものと考えられている。彼らをどう呼ぶのかは別にして「こういう人たち」を相手にすると相手側の生活が破壊されてしまう。

サイコパス(精神病質者)ソシオパス(社会病質者)が「病気」と認定されるためには社会生活が破壊され本人が苦痛を感じる必要がある。だが、ペック氏は「こうした人たちの中にも社会的に成功してしまう人がいる」ことを発見した。これでは治療の対象にならない上に定義も難しい。

ペックは「こうした人たち」が跋扈すべきではないと考えたが現実にはますます「平気で嘘をつく人たち」が増えている。近年のアメリカの大統領選挙ではむしろこちらの方が主流だと言っても過言ではない状態になっている。トランプ氏は自身の主張のためなら平気で事実ではないことを主張する。それを熱心に支持する人も多いが一方でアメリカの価値観が破壊されることに深く傷ついている人も大勢いる。

治療の対象にはならないのだから社会の側がこの手の人たちに対する対応は学んでおく必要がある。見つけたら相手にしないのが一番の対策になる。つまり関わらないのが一番なのである。


岸田総理は局面の打開を図るために維新に接近し「覚書」にサインするというパフォーマンスを行った。ところが岸田総理が行ったのはそこまでだった。あとは部下に対応を丸投げし自分は何もしなかった。局面を打開し政権を延命させることだけを考えているのだろう。結果的に維新はこの戦略に引っかかり衆議院では共犯者という位置付けになった。

ここまでは維新の自業自得と言える。維新は関西圏以外では有権者の信頼を獲得できていない。もともと吉村知事の個人的な人気が関西圏のテレビで広まったことだけが支持の理由になっているからだ。そこで自民党に依存して内部改革者として存在感を示そうとした。維新は本来の改革マインドを忘れ権力に依存する道を選んだのである。

この後でふと冷静になった維新は慌てて「自民党は嘘つきだ」と騒ぎ出した。ようやく世間が彼らをどう見ているかに気がついたのだろう。

これに対する岸田総理の反応は異常なものだった。改めて文通費改革の重要性を訴えた。だが具体的には何もしない。岸田総理は嘘をついている自覚はない。だが約束を守らなければならないとも考えていない。浜田国対委員長は日程の影響で文通費に対応できないと言い続けているが岸田総理が浜田氏を叱責したという話も聞こえてこない。そして自分はそのままイタリアに旅立ってしまった。この時に「自分のリーダーシップで問題を解決する」との意欲を表明している。党内の問題さえまとめられないのに国際問題を解決できるはずなどないが少なくとも彼の頭の中では自分は偉大なリーダーということになっているようだ。

ここから岸田総理には「自分が嘘をついた」という認識も、相手が怒っているという認識も、自分がリーダーとしての資質に欠けているという認識もないことがわかる。結果的に彼は無傷であって何の苦痛も感じていない。だから岸田さんは「病質者」ではない。

ところが周りはこれに振り回されている。自民党の統治機構は大きく混乱している。派閥は中途半端に破壊され、議員たちは収入を失った。地方組織は毎日地元の支援者たちから「自民党は反省が足りない」と責め立てられ選挙でも負け続けている。「骨太提言」には財政再建と財政拡大の矛盾する表現が入り混じっており日本経済も再生できないかもしれない。

岸田総理は自分の任期内に憲法を改正すると言っていたがこれも放棄された。もちろん岸田総理は謝罪していない。さらにいえば「まだ約束を破った」と認識していない可能性がある。

この手の人に最も恐怖を感じているのが維新だろう。公党の約束は重いと維新は主張する。確かにその通りだ。岸田総理はこの維新の指摘に全面的に賛成するがだからといって約束を履行するつもりもない。結果的に「維新は政治資金改革を後退させた共犯者」であり「ツメが甘い」と批判されている。

おそらくこういう人に対する対策は一つだけである。できるだけ関わらないようにした上で主張は破綻していると冷静に示すのが良い。心情的に反発すると「エネルギーを持っていかれてしまう」だけだからだ。

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