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「岸田はもううんざり」で菅元総理が動き出す

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衆議院で「政治と金の問題」が一段落し自民党は「次」に向けて動き出した。

まず北海道新聞が独自で内閣改造の動きを伝えている。何かのアドバルーンとも思えず好き勝手な情報発信が始まったのかなという第一印象だ。次に菅元総理が2時間弱の会合を行った。菅氏のお膝元の横浜では「岸田総理はもう退陣しては」という要求も出ている。最後に維新の馬場代表に政局勘がないこともわかった。パーシャル連合入りを目指して情報発信を行なっているが自民党の体制が入れ替わればおそらくこの話は最初からやり直しになるだろう。

国民の「それじゃない感」は放置されたままで、政治家たちはそれぞれの思惑で次に向けて動き始めている。

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北海道新聞が独自と銘打って「<独自>岸田文雄首相、今夏の内閣改造検討 今国会での解散は見送り」という記事を出している。なぜ北海道新聞なのかという気がする。記事には7月にも内閣改造人事を行うのではないかと書かれている。長期政権だった安倍政権下の内閣改造には引き締め効果があったが「9月で終わるかもしれない内閣」に参加したいという人が多いとも思えない。

このところ盛んに「夏の総選挙はなくなった」とする報道が出ている。岸田総理が解散権を奪われたとする分析が一般的だ。時事通信は次のように書く。

与党内では早期解散への反対論が大勢だ。自民の閣僚経験者は「今の状況で解散すれば大敗は免れない」と指摘。公明党の山口那津男代表は4日、記者団に「国民の政治不信はなお根強い」と慎重な対応を求めた。

となると自動的に「次の総裁は誰だ」という話になってしまう。岸田政権としては内閣人事で党内をまとめておきたいのかもしれない。支持率浮揚の材料が掴めないなかこれしか道はないということなのだろう。

一方、菅前総理も動き出したようだ。この決起計画はかなり念入りに計画されていたようだ。菅善総理は横浜市議の出身だが「お膝元」で事前にこんな発言を仕込んでいる。岸田おろしを地方組織に発言させたのである。議会対策に熟練した菅氏らしいやり方といえるだろう。

自民党横浜市連の佐藤茂会長は4日、同市中区で開かれた2024年度の大会で登壇し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正のめどが立ったとして、「総裁自ら身を引く決断をしていただきたい」と述べ、新たな体制で次期衆院選に臨むべきだと明言した。

その上で、安倍派所属の萩生田氏、二階派の重鎮で麻生太郎氏との関係が悪い武田良太氏、茂木派の加藤勝信氏、無所属で菅善総理に近い小泉進次郎氏を集めて「会合」の写真を撮らせた。時事通信はまるで菅善総理が仕込んだかのような完璧な文章を書いている。

出席者によると、党の地方組織から首相退陣要求が出たことが話題になった。

岸田政権下で、菅氏は非主流派に位置付けられるが、一定の影響力を維持している。派閥裏金事件の対応を巡り、首相に党内外の厳しい視線が向けられる中、有力者の会合は臆測を呼びそうだ。

マスコミの耳目を集め「憶測を呼びそうな」会合をセットし、おそらく事前に仕込んでおいた「党の地方組織」の話題が出たと報道させたのである。この報道の注目ポイントは「ここに呼ばれなかった人たち」だろう。

最後に維新は政局勘のなさも露呈した。政治資金規正法の問題は自ら政治不信を招き入れた自民党が国民に向けて謝罪と反省の気持ちを示すチャンスだった。国民にしてみれば政治と金の問題が透明化されたところで何のメリットもない。選挙対策として無駄にばらまかれているであろう税金が戻ってくるわけでもなければ国民の生活に寄り添った政策立案が行われるわけでもないからだ。つまり自民党案だろうが立憲民主党案だろうがどうでもいいことだった。

状況がわかっている議員は「苦渋の決断だった」との表情を作っている。だが、中には「立憲民主党の案でも良かったというのか」などと憤りをあらわにする議員もいた。自民党が申し開きのチャンスを無駄遣いしそれに維新が協力したというだけの話なので、そんなことは別にどっちでもいいのである。

馬場代表はおそらく岸田総理に協力すれば部分連合参入のチャンスが増えると感じているのだろう。わざわざ黒塗り容認の姿勢を示している。吉村大阪府知事はこれに対して懸念を表明している。単に共犯者という印象が増えるばかりかおそらくポスト岸田になれば「貢献ポイント」はリセットされてしまうだろう。岸田政権に対する貢献ポイントはリセットされるが国民の「維新も同じ穴の狢(むじな)なのではないかポイント」はリセットされない。

おそらく国民は「どうして国民の期待に沿った意思決定が行われないのだろう」とフラストレーションを募らせている。だが、政治の世界にはその声は全く届いていないようである。むしろ政治に興味を持ったり関わったりするのは面倒で厄介なだけだという印象を加速させる結果となっている。

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