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なぜ30代後半から50代前半までのロストジェネレーションの意識改革が重要なのか

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本日は朝日新聞の強欲インフレの記事をきっかけに「岸田総理を退陣させることが日本を救う」というテーマでお送りしている。その際に見つけたいくつかのインサイト(洞察)についてお送りする。

1つ目は「ロスジェネは何度でもむしり取られる」だ。ロスジェネは30代後半から50代前半までの就職氷河期世代を指す。彼らは安倍政権を熱心に支えてきたが実際には最大の被害者である。そしてそれを正しく認識するまでは何度でも被害に遭う。まるで虐待された子供が社会に出ても何度も虐められるような状態である。

重要なのは意識改革だ。当事者はおそらく最初は反発するだろう。自分で納得するまでは煽られて行動すべきではない。それはかえって危険だ。だが仮に理解できたとしても今度は否認したくなるだろう。これまでの失われた数十年が無駄に思えるからだ。過去は変えられないが未来は自分達のものであるということを認識すべきである。

朝日新聞の強欲インフレの記事に永濱利廣氏のコメントが出てくる。第一経済研究所が既に書いたレポートを転用したのであろう。

しかし、年齢階級・学歴別にみると、けん引役は20代の若年層と60代以降のシニアであり、むしろ30代後半~50代前半のいわゆるロスジェネ世代では30年ぶりの賃上げにもかかわらずほとんど所定内給与が増えていない。

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本論は全体として人材は逼迫しているはずなのになぜ30代後半から50代後半の20年に生まれた人たちの給料は上がらないのかというものだ。50代後半の人たちのうち熟練した技能を持っている人たちは即戦力として活動できる。さらに現在の若者たちは少子高齢化を背景に金の卵状態になっている。大学生の就職率は98.1%と過去最高になっておりおそらくこの状態はこれからも続くであろう。

この失われた世代の人たちは安倍政権を熱心に支えてきた人たちである。経済状況が不安定化する中「ゲームのルールを無視して体制に逆らうと酷い目にあう」と信じ込んできた人たちであり、なおかつ自分たちが不遇なのは「努力が足りないからだ」と刷り込まれてきた自己責任世代でもある。

そんな彼らが信じたのが安倍政権の「体制に協力すればいつかはおこぼれがもらえる」というトリクルダウンセオリーだった。経済が成長していた時代に生まれた人たちの中にはそれなりに民主党を支援していた人たちが多いが、若年層は保守化が進んでいる。またたんに保守化しだだけではなく「社会に反抗する人たち」に対する敵愾心も強い。自分達が心理的に体制に反抗できないために他人にもそれを強要しようとするのだ。

だが賃金統計を見ると彼らは結果的にアベノミクスとその延長である岸田政権の政策の最も大きな被害を受けている。インフレは賃金上昇のチャンスにもなり得るがそれを活かしきれていない。

保守化傾向はロスジェネを超えて若年世代に引き継がれている。民主党政権はリーマンショック直後に始まり途中で東日本大震災を経験している。因果関係は別にして「非自民系の政権は経済にとって良くない」という印象があるのかもしれない。

しかしながら、若い世代は企業や組織への忠誠心はないので表向きの軋轢(軋轢)は嫌いつつも「これは自分の成長のためにならない」と考えるとさっさと辞めてしまう。なかには代行業者を使って企業に連絡を入れる人たちもいるという。ノーということに面倒臭さを感じてしまうのだろうが、企業が自分達を育ててくれるとも信じていない。

ミドル・シニア層の転職市場も活況を呈している。企業が人材教育を行えなくなっている上にスキルを持っていたシニア世代が続々と退職の時期を迎えている。このため即戦力になるスキルのあるミドルの需要が高まっている。バブル期は売り手市場だったため企業は正社員教育に熱心だった。ミドル・シニア世代は高度経済成長期とバブルの遺産をしっかりと受け継いでいる。

結果的にロストジェネレーション世代だけが取り残されている。永濱利廣氏がそう書いているわけではないが、大企業の給与が上がらずロストジェネレーションが引用されているということは、大企業にはロストジェネレーションの人たちの余剰感があるということになる。

子育てにお金がかかることもあり、最も改革を必要としている世代だが「どうせ次自分達が動いても状況が変わるはずはない」という諦めを持っていて結果的に現在の体制を支え続けているのだ。

冒頭に書いたように「ロスジェネは損をしている」などと他人に言われてもいい気持ちにはならないだろうということはわかっている。まずは自分なりに情報を集めて判断すべきだろう。他人に煽られて行動してもいいことは何もない。自分達は無力で不遇なのは自己責任であるという信念は他人に指摘されたくらいでは崩れないだろう。

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